松本→名古屋の競合関係
松本から名古屋までは約200kmあります。
主要な移動手段は中央西線・篠ノ井線の特急「しなの」と高速バスの2つ。
こちらの区間も、中央東線と高速バスほど熾烈な争いではないものの、競合しています。
どちらが便利なのか…今回は項目別で「しなの」と高速バスを比較します!
特急の方が早く目的地に着ける
特急「しなの」の松本―名古屋間の所要時間は約2時間、高速バスの松本バスターミナル―名鉄バスセンターの所要時間は3時間30分です。
約1時間30分の差で、早い方は特急「しなの」ということになります。
始発、終電や終バスの時間を比較してみます。
※コロナウイルス感染症の拡大防止のため、現在はバスが大幅減便となっていますが、今回はコロナ前のダイヤで比較します。
始発は…
特急「しなの」 | 高速バス | |
---|---|---|
名古屋→松本 | 7:00 | 7:10 |
松本→名古屋 | 7:04 | 5:30 |
終電、終バスは…
特急「しなの」 | 高速バス | |
---|---|---|
名古屋→松本 | 19:40 | 20:40 |
松本→名古屋 | 20:31 | 19:30 |
高速バスと特急は、基本的には両者を補完するようなダイヤになっています。
名古屋→松本の移動では、特急の終電が19:40とかなり早い点が残念ですが、特急を逃しても1時間後のバスに乗車できる利便性はなかなか良さそうです。
本数は特急「しなの」が約1時間に1本、高速バスは約2時間に1本。
基本的に利便性は特急「しなの」に軍配が上がります。
料金は2000円差でバスが勝利、しかし…
高速バスはかなり安く移動できる
先ほど「利便性は特急の方が良い」と言いましたが、価格ではバスに勝ち目があります。
特急「しなの」の通常の運賃+普通車指定席料金と、「繁忙期」の高速バスを比較しても、2000円近く差があります。
特急「しなの」 | 高速バス | |
---|---|---|
料金 | 6140円 | 4100円 |
目的地が名古屋以遠の場合は要検討!
しかし、特急「しなの」と新幹線のきっぷを同時に購入すると、指定席料金と特急料金があわせて半額になる、というルールがあります(乗継割引)。
一方でバスにはそのような制度はありませんので、高速バスを乗り継いでもそれぞれ別料金が加算されます。
目的地によりますが、松本ー名古屋以遠の場合は「高速バスのお得感」が薄れる場合があります。
正直、18きっぷシーズンでなくても特に関西圏ー松本の場合は、普通列車を乗り継ぐ移動が最安であり、所要時間もバス乗り継ぎよりは早いと思います。
意外とバスの車内も快適
最近の昼行高速バスの設備は、なかなか良いものです。
トイレ、コンセント完備、座席も広々としています。
一方の特急「しなの」に使用している383系という車両は誕生から26年。
さすがに鉄道の方が快適ではありますが、コンセントがないのは辛いかもしれません。
実はルートがだいぶ違う
「競合」と言っておいて最初から何なんですが、実は走行するルートが異なります。
特急「しなの」は塩尻から木曽路を南下する中山道ルートを進み、多治見、千種を通って名古屋へ。
特急「しなの」は木曽路を縫うように駆け抜け、風景もなかなかのものです。
特に紅葉の時期は「絶景のアトラクション」になるのでおすすめです。
途中では浦島太郎伝説の残る寝覚の床も一瞬見られます。
高速バスは伊那谷を南下して駒ケ根、飯田方面へ進み、中央アルプスをトンネルで越えて、中津川に至ります。
名古屋近辺の市街地もルートが異なり、鉄道ファンの間ではピーチライナーでおなじみの桃花台を通ります。
(地図は実際の走行ルートに近いですが、完全に一致するものではありません)
高速バスの景色も引けを取りません。
のんびりとした伊那谷の風景を大きな窓から楽しめます。
鉄道ファンがバスに乗っても見どころがあります。
こちらは恵那山トンネル。
中央アルプスを8000m級の長大トンネルで貫いています。
このトンネル、飯田と中津川を結ぶはずだった国鉄の未成線「中津川線」の役割を引き受けています。
ここに鉄道があったら…と想像すると面白いかもしれません。
将来的にはこの辺、リニアも通りますからね~
お次の見どころは廃線跡、名古屋方面、桃花台バス停を過ぎてすぐの左手からは…
日本初の「新交通システムの廃線」、桃花台新交通ピーチライナーの跡です。
名古屋近辺の交通手段って時々、計画段階から迷なものがありますよね…
ルートが違うからこそ、景色は鉄道も、バスも違うものが見られます。
まとめ
早くて快適な特急「しなの」と、安くて違った風景のみられる「高速バス」。
単なる移動とすれば特急「しなの」に軍配が上がる気がしますが、どちらの風景も魅力的。
鉄道ファンでもバスの車窓が楽しめます。
気が向いたときに乗り比べてみてはいかがでしょうか。