toremorの旅手帳

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かつての大動脈、今ではバラバラに…【信越本線の今⓪】

大動脈、信越本線の今を追う

こんにちは。トレモロです。

自己紹介から入るの苦手なんですが、当ブログは皆様のおかげで累計3万pvを超えました。

いつもご覧いただき本当にありがとうございます。

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信越本線の特急に使用された189系。

さて、そういう節目でございまして今回はシリーズ物で、かつて高崎から長野経由で新潟までを結んでいた、信越本線と呼ばれた鉄道路線の現在を追ってみたいと思います。

 

信越本線は当初から官設鉄道(国が建設した鉄道)として建設され、現在でもほとんどの路線は現存しています。

 

しかし現在、一部区間で平行する北陸新幹線が開業し、第三セクター(民間と国や地方公共団体が共同で運行する)鉄道に移管され、それらは別の路線となっています。

つまり「信越本線」と名乗っている路線は高崎ー横川間、篠ノ井ー長野間、直江津ー新潟間と途切れ途切れになっているのです。

 

「だから何なんだ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれの地域で抱えている事情や信越本線の役割の違いがそこから見えてきます。

第1回…いや第0回は信越本線の歴史と、現在をざっくりと俯瞰してみます。

 

 

歴史は日本最初の鉄道建設に遡る

あまりイメージが沸かないかもしれませんが、信越本線は日本の中でもトップクラスに歴史の深い路線です。

 

信越本線の建設ルートの一部は、「中山道幹線」と呼ばれる明治初頭の計画ではじめて示されました。

中山道幹線は東京と京都を結ぶ目的で計画されたもので、文字通り中山道に沿うルートでした。

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中山道幹線のルート(赤)とその支線。Tam0031 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=45461426による

東京と京都を結ぶ鉄道ルートとしては、東海道ルートと中山道ルートが案として出されていましたが、「陸運・海運が盛んだった東海道よりも先に、不便な中山道に沿って建設する」ということで中山道ルートの建設が決まりました。

 

色々あって現在の高崎線(上野ー熊谷ー高崎間)が日本鉄道という私鉄によって開業したのは、なんと東海道線の建設よりも前のこと。

 

高崎から先、西側(京都方面)へ向かう中山道幹線(高崎ー軽井沢間)とその建設のための資材を運搬する路線(軽井沢ー直江津間)として建設されたのが、信越本線です。

 

  • 高崎ー横川間…1885年開業
  • 直江津ー関山(新潟県)間…1886年開業
  • 関山ー長野ー軽井沢間…1888年開業
  • 横川ー軽井沢間(碓氷峠)…1893年開業
  • 直江津ー新潟間は私鉄北陸鉄道として開業

ご覧のように信越本線はほとんどの区間で1800年代の開業。

歴史が古いことが分かります。

 

信越本線の今はどうなっている?

高崎ー横川間:「信」でも「越」でもないのに…

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横川駅に停車中のD51 498と旧型客車。土日を中心に運行される。

群馬県内で完結するこの区間は「信」も「越」も通りませんが名前は信越本線のまま残っています。

JR東日本の管轄です。

 

平行して北陸新幹線(高崎ー長野間)が1997年に開業しましたが、こちらは第三セクターになっていません。(基本的に新規開業の新幹線に平行する路線は第三セクター化されます)

 

新幹線と平行はしているものの接続駅が高崎しか存在せず、横川から先、軽井沢までは廃線になっているので、現在では都市間輸送よりローカル輸送に特化した路線になっています。

 

またこの区間は、観光列車としてSLを運行していることでも知られています。

 

横川ー軽井沢間:最大の難所は廃線に…

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碓氷峠を越えるためだけに製造されたEF63。普通列車も特急列車もこの機関車を連結しなければならなかった。

横川ー軽井沢間には碓氷峠と呼ばれる峠が存在します。

この峠、「上って下る」一般的な峠ではなく、長野側が一方的に高く、群馬側が一方的に低くなっています。

つまり峠の頂上付近と麓を勾配に弱いと言われる鉄道で結ばなければならなかったのです。

 

開業も他の区間に遅れること5年。

開業当時は「アプト式」と呼ばれる歯車を組み合わせたユニークな鉄道で結ばれました。

 

その後改良され速度も向上しましたが、専用の機関車を連結しなければ鉄道は登ったり下ったりできない難所であることには変わりませんでした。

運行コストが高く「満員電車になっても赤字」とも言われたこの区間、1997年北陸新幹線長野開業に合わせて廃線、バス転換されています。

 

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レンガ造りの手前の路線が旧線(アプト式)、奥の架線柱が見える路線が新線(EF63の併結運転)。どちらも保存状態良く残されている。

横川駅にはかつて峠越えの専属の機関車が常駐していましたが、そのあとは「碓氷峠鉄道文化むら」という博物館になっています。

  

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軽井沢ー篠ノ井間:しなの鉄道に移管

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しなの鉄道SR1系とJRから譲渡された115系。

新幹線と完全に平行するこの区間は、北陸新幹線長野開業に合わせて第三セクター化されました。

「しなの鉄道」は移管当初経営難に陥っていましたが、様々な取り組みによって改善、現在では「第三セクターの成功例」として語られることがあります。

 

2020年に完全新造の新車を導入。

「信越本線」のルートの中では最も新しい車両が走っています。

 

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篠ノ井ー長野間:わずか9.3kmだけ残った信越本線

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篠ノ井駅のホーム案内板。しっかり直江津方面と書かれている。

篠ノ井ー長野間は長野県内で唯一残った「信越本線」です。

JR東日本によって運行されています。

 

この区間には篠ノ井駅で接続している篠ノ井線(松本方面)から、名古屋ー長野間を結ぶ特急「ワイドビューしなの」が通ります。

新幹線と完全に平行する区間ですが、第三セクター化されていない珍しい区間です。

この特急しなのと北陸新幹線の接続のためJRのまま残されているとも言われています。

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信越本線長野駅まで乗り入れる特急しなの。

長野近辺の輸送を担っていて、列車は篠ノ井線かしなの鉄道(旧信越本線)と直通していて、第三セクターがJRに乗り入れる形で運行されます。

 

営業成績はあと一歩で黒字、1時間に3~4本程度とほんの少し「本線らしさ」を感じる区間です。

 

長野ー妙高高原間:直通するJR飯山線も3セク通過を強いられる

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妙高高原駅。北しなの線でも115系はまだまだ活躍中。

長野ー妙高高原間は再び第三セクター「しなの鉄道」の管轄。北しなの線と呼ばれます。

この区間は北陸新幹線金沢延伸開業に合わせて第三セクターに移管されました。

 

この区間の途中駅「豊野」からJR飯山線が分岐しています。

飯山線は北しなの線に長野駅まで乗り入れていますが、豊野ー長野間は「しなの鉄道」なので別料金で運賃が上乗せされます。

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飯山線に使用されるキハ110形。一部区間だけ旧信越本線に乗り入れる。

先ほどの篠ノ井ー長野間とは逆で、JRの路線が第三セクターに乗り入れています。

ややこしい~

 

基本的に複線だった旧信越本線は、北長野から先の区間では基本的に直江津まで単線に変わります。

 

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妙高高原ー直江津間:スイッチバックが現在も現役

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現在も残る二本木駅のスイッチバック。

妙高高原ー直江津間は「えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン」という第三セクターに移管されています。

えちごトキめき鉄道は新潟県内を走る新幹線に平行したJR路線を引き継いだ会社で、旧信越本線(妙高高原ー直江津間)と、旧北陸本線(市振~直江津間)を所有しています。

 

途中にあるスイッチバック駅、二本木駅では現在でもスイッチバック運転が行われ、名所となっています。

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北しなの線SR1系ととえちごトキめき鉄道「雪月花」。

こちらも経営難でしたが最近「雪月花」という観光列車を導入。

予約が取れないほどの人気があります。

 

上越妙高駅から先は新潟方面まで、旧信越本線と信越本線を直通する特急「しらゆき」が運行されています。

 

直江津ー新潟間:まとまった距離のある珍しい区間

直江津駅から長岡駅を経て新潟駅へ、この区間が最も信越本線としての原型をとどめている地域です。

こちらはJR東日本の管轄。

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青海川駅は夕日が美しい。

特に直江津ー柏崎間は海沿いを走る景色のよろしい区間です。

信越本線は山だらけのイメージですが、海沿いも走るのです。

青海川駅は日本一海に近い駅の一つと言われ、夕日の時間には絶景を楽しむことができます。

 

長岡から先は打って変わって通勤路線へ。

政令指定都市である新潟市をはじめ、長岡市や三条市など、人口の多い区間を通ります。

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信越本線新潟地区に使用されるE129系。

「新潟周辺のラッシュをなめてはいけない」

これは筆者の中では18きっぷ旅の教訓として末永く語り継ぎたい言葉の一つです…

本当に大変ですから…

 

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シリーズ:信越本線の今

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信越本線を走る特急「しらゆき」。

このようにざっくりと旧あるいは現役の信越本線のルートをご紹介しましたが、いかに変化に富んだ路線であることがご覧いただけたかと思います。

意外と廃線となった区間は短くて、旅客用であれば横川ー軽井沢の碓氷峠の区間のみなんですよね…

 

次回以降はこの変化に富む信越本線を区間ごとに少し掘り下げて見ていきたいと思います。

筆者の情報にはムラがあったりしますので、間違っていたらぜひコメントなどでお知らせください。

 

それでは今後もよろしくお願いいたします。

 

次回へ続く…

 

 

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【惜別】国鉄ポスターも見納め、松本駅6番線の駅そばが閉店

大糸線側の駅そばが閉店

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松本駅の駅そばでいただける特上鴨そば。生麺を使用している。

信州と言えば蕎麦。

松本駅のホームにも2軒の駅そばがあります。

リーズナブルな駅蕎麦ながら蕎麦のクオリティーが高いと評され、鉄道ファンだけでなく、登山客や観光客に親しまれています。

 

しかしそのうちの1軒、2020年9月末で大糸線ホーム(6番線)側の駅そばが閉店することになり、30年以上の歴史に幕を閉じました。

国鉄時代のキャンペーンのポスターやスタンプなどが飾られていて、鉄道ファンにとっても魅力的な店舗でした。

 

今回は登山客をはじめ多くの方に親しまれた、6番線ホームの駅そばと、ちょっと変わっている6番線ホームの位置についてご紹介します。

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松本駅6番線からの発着が多い大糸線。沿線には北アルプスの山々が連なり、夏は登山、冬はスキー客でにぎわう。

 

「国鉄」を感じられる駅そば

今回閉店してしまった駅そば、ぱっと見は普通の長野県の駅そばといった感じです。

食券を買って受付に出すというスタイル。

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6番線ホームの駅そばの受け取り口とカウンター。食券を購入して受け取り口へ渡す。

メニューは「特上」と普通のそばに分かれていて、特上が生麺、普通の麺が冷凍です。

松本駅の利用客は特上を頼むことが多いですね~

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おやきなども販売している。

鴨そばや山葵山菜そば、かき揚げそばなどが売れ筋です。

筆者はよく鴨そばを頼みます。

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特上鴨そば。

蕎麦はもちろん美味しいのですが、ここの駅そばの魅力は何と言っても国鉄時代のポスターやスタンプの数々…

店の方に快諾いただいて、店内を撮影させていただきました。

 

記憶に新しい(1970年)、DISCOVER  JAPANのポスターも貼られています!

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国鉄のキャンペーン、DISCOVER JAPANのポスター。

半世紀経っても松本城は松本城、フォトスポットも変わりませんね~

そして上の方を見上げますと…

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いい旅チャレンジ20000kmキャンペーンは国鉄時代から始まった完乗キャンペーン。

いい旅チャレンジ20000kmというのは、1980年代に始まった国鉄完乗キャンペーン。

名だたる在来線特急のヘッドマークがずらり…しかしこの頃はだいぶ在来線特急が減り始めていた時期ですかね~それでも今よりは断然種類が多いですが……

ちなみに左手にうつっている583系(581系?)は、筆者が最も乗ってみたかった車両の一つです……。

 

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189系も現在では自走する走行シーンは見ることができませんね~

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日本特急旅行ゲーム。

こちら、日本特急旅行ゲームは1979年に発売されたボードゲームなんだそう。

人生ゲームみたいな要領だったようですが、時刻表を見て特急券を使って旅行するとか何とか……

筆者はプレイしたことはございません……。

 

0番線側にも駅そばがあって、つゆも蕎麦も同じものを使用しているんですが、駅そばを愛する方々は「6番線の方が美味しい」というご意見も多いらしいです。

おそらくこのお店の雰囲気の良さを感じているのかもしれません。

  

松本駅は6,7番線だけ離れた場所に…

松本駅では0番線ホームと6番線ホームの2店舗、駅そばが営業していました。

今回閉店するのは6番線ホームの駅そばです。

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松本駅6番線にあった駅そば。

ところで、松本駅6番線は大糸線、7番線は松本電鉄線の発着に使用されます。

駅構内の跨線橋から見ても、6,7番線は篠ノ井線のホーム(0~5番線)からはずいぶんと離れた位置にあることが分かります。

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画面左手の脇が6,7番線。右手が4,5番線。

構内図をご覧になるとさらに分かるかもしれません。

www.jreast.co.jp

 

7番線は私鉄である松本電鉄上高地線の専用ホームとなっているので、離れていても「会社違うからな~」と納得できますが、6番線は大糸線…JRの路線です。

実は大糸線もかつては私鉄「信濃鉄道」(現しなの鉄道とは全く関係ない)として走っていたという歴史があって、この構造は当時のまま変わっていないのかもしれません。

 

と思いまして、戦後からしか分かりませんが、空中写真で遡れるだけ見てみますと…

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松本駅の空中写真。路線の形状はほとんど変わっていないと思われる。

1947年時点では大糸線はすでに国有化されていますが、当時から現在までほぼ駅のホームの構造は変わっていないように見えます。

 

そもそも「大糸線」の「大」は信濃大町の「大」、「糸」は糸魚川から来ています。

これも松本ー信濃大町間は別会社だった頃の名残ですね……

 

信濃大町以北は国鉄によって建設され、大町以南の信濃鉄道の区間も1937年に国有化されます。

全線開業時に大町以北を国鉄が建設した時の名前をそのまま採用したことからこの名前のまま、残っているのです。

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大糸線が全線開通するまでは実はかなりの時間がかかったのですが、それはまた別のお話。

 

だいぶ話が脱線しましたが、つまり6番線は松本駅の中ではかなり端に位置していて、行動経路として利用が限られてしまうという現状がありました。

 

また、駅そば店舗がここのホームの駅そばの営業は日中に限られていました(10:00~16:00)。

朝も夜もほぼ営業していなかったんですよね~

 

大糸線・松本電鉄は共に松本盆地内の通勤通学利用が多いので、平日の朝晩は6,7番線は大混雑します。

ホームのスペースが狭いこともあり、人がごった返す時間は営業できなかったのではないか?と筆者は推測しています。

 

この時代で旅行者が減ったことが閉店の直接的な原因だったようですが、以前から利用客が減少していたとのことで、仕方のない部分があったのかもしれません。

 

今後の駅そばは0・1番線へ

「松本駅から駅そばが消える」というわけではありません。

以前から営業を続けている0・1番線側の駅そば「山野草」では6番線側と同じく、本格派のリーズナブルな蕎麦を楽しむことができます。

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秋にはきのこ玉子そばもおすすめ。

こちらは営業時間も長く、7:10~19:10。

朝にも夜にもお酒の後にも、軽く1杯の蕎麦をいただけます。

松本駅にお立ち寄りの際はぜひ駅そばにも!

 

tabelog.com

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松本駅1番線。篠ノ井線の塩尻方面の列車が発着することが多い。

 

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【大正12年建築】川岸駅の屋根と待合室、建替え前最後の姿を見る

開業当時のホーム屋根が現存していた川岸駅

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中央本線にはみどり湖経由の新線が開業する前、別のルートが使われていました。

「大八廻り」と呼ばれる、岡谷から辰野を経て善知鳥峠というなだらかな峠を越えて塩尻へと向かう、少し遠回りなルートです。

 

川岸駅はこの「大八廻り」の途中に存在するこじんまりとした駅です。

開業当時の雰囲気をそのまま残していることから、映画のロケなどにも使われました。

しかし2020年9月に老朽化のため、ホーム屋根と待合室を建て替えることになりました。

 

今回は隠れた美しい駅、「川岸駅」の魅力と工事前最後の姿をお届けします!

 

 

川岸駅は「大八廻り」の途中駅

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「大八廻り」は中央本線の旧メインルート。川岸駅はそのルートの途中駅である。

岡谷から先、中央本線は長大トンネルを進むみどり湖駅経由の現在のメインルートと、辰野駅を経由する旧メインルートに分岐します。

川岸駅は岡谷駅の一つ隣の駅ですが、メインルートだった頃も特急列車もが止まらなかった、いわゆるローカル線の小さな駅です。

 

特急列車だけではなく、現在の中央本線の普通列車のほとんども長大トンネルを通る新ルートを走行するようになったため、旧メインルートは廃れて……

と言いたいところですが、辰野駅という途中駅が飯田線との接続駅となっているため、意外と多くの列車がこの川岸駅にやって来ます

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朝ラッシュ時には1時間に3本の列車が発着する。意外と本数が多い。

ほとんどの列車が辰野から飯田線に直通しするため、川岸駅はJR東日本の駅であるのにも関わらず、大多数はJR東海の車両が発着します。

駅の表示板などはJR東日本っぽいけれど、車両はJR東海…なんとも不思議な光景かもしれません。

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辰野駅に停車する313系。JR東日本の駅であるが、発着する車両はJR東海のものがほとんど。

天竜川のほとり、木造の屋根

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奥に見える川は天竜川。木造の味のあるホーム屋根が印象的。

川岸駅は1面2線のこじんまりとした駅です。

駅本屋から跨線橋を渡って島式ホームへと至る構造になっています。

天竜川の脇にあって木造の屋根の雰囲気の良い感じですが、ちょっと串刺しの架線柱が残念…

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川岸駅のホーム。屋根は開業当時のまま使われているという。

かつてはおそらく跨線橋はなく、構内踏切のような何かでわたっていたのではないかと考えられます。

ホーム側には「左右指差確認」と書かれている看板があって、ここを降りて直接駅舎へ向かっていたのかもしれません。

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ホーム側に残る看板と構内踏切跡(?)

跨線橋を降りてみると「おお、これは古い」と思わせる造りです。

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木造のホーム屋根は柱の薄紫色のデザインが印象的。

見上げると骨組みの美しさがうかがえます。

柱と屋根を支える接合部分、こういう造りの駅はなかなか少なくなってきています。

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屋根を支える木の柱が美しい。

 

上諏訪方面のホームからも天竜川をのぞむことができます。

生まれ育った駅ではないけれど、何だろうこの落ち着く感じは……

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上諏訪方面のホームからは天竜川を見ることができる。

屋根があるのはおそらく1~2両分で、ホームの端から屋根を見てみると…

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開業当時から使われていることがうかがえる見た目。老朽化は否めないけれど…

おお、こちらも絵になる見た目ですね~

日が当たるからなのか、一番端の柱が一番ダメージを受けているようにも見えました。

待合室の雰囲気も良い

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待合室。

ホーム中央部にある待合室

簡素な造りのようですが細部まで見るとこちらもかなり前から存在しているような雰囲気があります。

 

なんとサッシが木のまま!

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待合室のサッシ。

中に入ると、長めのベンチが4つつけられています。

もちろんこちらのベンチも木造。

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4隅にベンチがついている。

座ってみるとこれまた良い風景。

空想の世界で色々な物語を描けそうな気がします。

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こんな雰囲気なら永遠に待てる…と言いたいところですが、直に木なので結構お尻が痛くなるのが難しいところ。

 

ふと見上げるとなんと照明がLED化されています…変なところ近代化してますね~

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この待合室も今後建て替えの予定なので、お越しになる場合はお早めをおすすめします。

 

駅舎も観察!

一度ホームを出まして、駅舎の方を見てみます。

こちらは今のところ建て替えの予定はないようです。

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川岸駅の正面。赤い丸ポストが印象的。

駅前の丸ポストにも目が行きますが、花も植えられていていいですね~

こういう無人駅であっても花が植えられていると華やかに見える感じがあります。

 

中に入ると、有人駅だった頃から多分窓口を埋めただけ…のような造りになっています。

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駅舎の中。意外と広いスペースがある。

この駅が無人化されたのは1984年とずいぶん前。

それ以来、住民の方に支えられてこの駅は綺麗に保たれているようです。

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駅ノートも設置されている。

旧窓口付近には駅ノートが設置されていました。

筆者もメッセージを残しましたが、美しい絵をお描きになっている方もちらほら。

パトロールの方が定期的に見てくださっているようで、活動報告なども記載されていました。

 

遠くからきた方、18きっぷでたまたま降りられた方、地元の方など多くの人々に愛されていることが伝わってきます。

 

比較的中規模な駅舎ですが、入口の隣にもゲートが…

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かつて荷物扱いもあったのかもしれません。

 

屋根工事は9月9日から、待合室は21年1月から

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工事を示す張り紙。

良い味を醸し出している川岸駅ですが、2020年9月から順次建て替え工事を行うようで、現在のホーム屋根は約1世紀の活躍に幕を下ろすことになります。

 

残念ですが「この駅はまだ維持管理し続けていく」という考えの現れだと、ポジティブに受け取る必要もあるかもしれません。

なんとなく心が落ち着く川岸駅の魅力、通りかかった際にちょっと感じてみてはいかかでしょうか?

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駅舎よりは新しいと思われる跨線橋にはレールが再利用されている。

 

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【元営団3000系】長野電鉄3600系L2編成のさよならイベントに参加!

長野電鉄を走る元営団3000系

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9月末で引退する長野電鉄3600系L2編成。夜間瀬川橋梁にて。

長野電鉄では首都圏を走った中古車両が多数在籍しています。

帝都高速度交通営団(現東京メトロ)日比谷線で活躍していた3000系は、短縮、ワンマン化などの改造を経て長野電鉄の長野電鉄の主力車両として活躍していました。

 

ところが元3000系は老朽化(車両製造から約半世紀以上)などによって、置き換えが進んでいます。

2020年9月25日をもって中間車を連結する現在唯一の編成3600系L2編成が引退、中間車を持たない他の3500系も2022年度までに引退するとされています。

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元営団3000系(左手前)の置き換え車両の一つ元営団03系(右奥)。約30年前の日比谷線で見られた光景が長野県で見られた時期もあった。2020年2月須坂駅にて。

 今回は長野電鉄によって開催された、営団時代の面影を色濃く残す、3600系L2編成のさよならイベントに参加させていただきました!

 

 

今回引退する3600系L2編成とは?

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左…長野電鉄3500系(元営団3000系)右…長野電鉄3000系(元営団03系)

長野電鉄の主力車両となっていた元営団3000系

転属時に短編成化や抑速ブレーキ(車のエンジンブレーキと似ている機能)を搭載する改造を行い、40‰前後のきつい勾配が連続する信州中野ー湯田中間にも乗り入れることができます。

改造後、長野電鉄では3両編成は3600系、2両編成は3500系と区分されました。

 

また、3500系、3600系は、

  • N編成…普通の2両編成。
  • O編成…木島線(現在廃止となっている長野電鉄河東線、屋代線に相当)用のワンマン対応の2両編成。
  • L編成…中間車を持つ3両編成。2020年9月25日をもって運用離脱。

と、3つにさらに分かれています。

 

今回ご紹介する3600系L2編成とは、「3両編成で走行する元営団3000系最後の編成」です。

 

東急から転属した8500系が導入される前までは、3600系は長野電鉄最大の定員数を誇る車両でした。

その定員の多さと汎用性の高さ(8500系は3両編成だが、抑速ブレーキ非搭載車なので運用区間が長野ー信州中野間に限られる一方、3600系は全区間で走行できる)から、転属後約20年も活躍しました。

 

屋代ー須坂駅間を結んでいた屋代線(2012年廃止)の定期列車のラストランを務めた車両でもあります。

 

L2編成のさよならイベントに参加

このイベントは平日に行われ、1日に午前と午後、2回行われます。

定員を絞って行われますが、日程も2週間ほどの中から選択できるため、比較的予約しやすく密にもならないよう工夫されています。

 

筆者は9/15の午前の部に参加させていただきました。

 

10:00 須坂駅で撮影会

長野電鉄須坂駅に一足早く到着した筆者。

須坂駅は車両基地も併設されている比較的規模の大きい駅です。

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須坂駅は車両基地を備えた大きな駅。かつては屋代線との分岐駅でもあった。

改札口には出店のようなコーナーがあります。

長野電鉄の大きな駅では、このように改札前で物産品を販売する取り組みをやっています。

改札脇の窓口がレジを兼ねていて、利用客も結構多いイメージ。

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須坂駅改札前では物産品が販売されている。

イベント当日は何やら試運転の車両が駅構内をウロウロしておりました…

イベントに使用される3600系L2編成とともにパシャリ。

実はそこまで長野電鉄に詳しいわけではないので、何の試運転なのかは分かりませんが……団体幕と試運転幕が並ぶのは珍しいかもしれません…

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左…試運転中の3500系N6編成。右…団体幕の3600系L2編成。本日の主役。

さて、撮影会会場へ向かいます。

須坂駅では線路上に降りて撮影を楽しむことができるようです。

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イベントでは線路上から撮影することができる。

L2編成の方向幕を一つずつ、約1分間隔で回してくれます。

こんなにもゆったりと方向幕を撮影できるのはなかなか贅沢ですよね~

ほとんどの幕を出していただきましたが、レアっぽい(?)ものをご紹介します。

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屋代行き・松代行きは屋代線時代の名残。かつて上野方面から信越本線(現しなの鉄道)経由、屋代駅から長野電鉄に直通して湯田中まで運行される列車も存在したらしい。

左、5番線に停車している列車が3600系L2編成です。

屋代線時代の行先表示は、3500系・3600系が引退すれば全くお目にかかれなくなるのではないでしょうか…

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特急の方向幕も存在する。

こちらは特急の方向幕です。

長野電鉄では通常、特急列車に有料の専用車両を充当するので、このような通勤型の車両が「特急」の表示を出すことはありません。

 

緊急時の代走用に方向幕が用意されているのだそうです。

イベント列車運転中はなんと特急幕で運転してくださるようなので、他の方向幕は後でご紹介。

 

さて30分ほど撮影したらいよいよ3600系L2編成に乗車します。

今回は普段使用されない5番線からの発車

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夜間瀬川橋梁でL2編成を撮影(10:36 須坂→10:57 信濃竹原)

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L2編成の車内。クリーム色の内部と青い長椅子が特徴的。

団体専用列車は須坂駅を出て、まず湯田中駅方面へ向かいます。

 

参加者は信濃竹原駅で下車し、3600系L2編成はしばらく信濃竹原駅に停車したのち出発、信濃竹原駅を出発してすぐに渡る夜間瀬川橋梁で1回目のパシャリ。

そして、列車は湯田中駅で折り返してくるので、今度は信濃竹原駅に向かって走行するL2編成を夜間瀬川橋梁で2回目のパシャリ。

 

撮影が終わったら撤収して信濃竹原駅にもどり、再びL2編成に乗車するという企画です。これは楽で楽しい!

筆者は撮影する業界については疎いので腕はありませんが、ちょっとだけ撮り鉄ごっこをさせてもらいます。

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湯田中方面へ去っていくL2編成。「特急 湯田中」の表示で運転。

結構時間ギリギリであわてた筆者はとりあえず記録を撮影。

背後にも見られるように、結構な急勾配を湯田中駅まで登っていきます。

 

しばらく待ちまして折り返してくるL2編成を撮ります。

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折り返しは「特急 長野」の方向幕。

折り返しは特急長野行きの表示のようです。

こうやって見てみるとドアのやや丸みを帯びた窓、床下の抵抗器が印象的です。

3両編成とはいえ、橋梁を渡る長い編成は格好いいですよね~

 

普段は基本的に乗車する列車の駅撮りしかしない筆者、減速してくれていても慌てます。

日頃撮影されている方、本当に尊敬……

 

もう1本列車が撮れるということで待っていると、元営団03系の長野電鉄3000系がやってきました。

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元営団日比谷線03系。この車両で元営団日比谷線3000系を置き換える。つまり約30年前の東京での車両置き換えが長野で再現されることになる。

さて、信濃竹原駅に戻りまして団体専用列車と定期列車を乗り継いで、地下駅の市役所前駅へ向かいます。

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信濃竹原駅は昭和2年の建設当時の駅舎が現存。

営団時代を思わせる車内(11:48 信濃竹原→12:10 須坂)

須坂駅に戻りまして、そこから先行する定期列車に乗り換え、先回りして市役所前駅でL2編成を撮影をします。

 

少し車内を観察してみます。

筆者が指定された号車は中間車の2号車でした。

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L2編成中間車の車内。

冷房化改造がされていますが、扇風機は営団時代のものをそのまま使っています

車内に扇風機がある車両って少なくなりましたよね…

個人的にはエアコンの空気を扇風機で回してくれた方が、やさしい感じで車内が冷えるような気がするので好きです。

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扇風機には営団のマークが…

18m車体なので、普通の車両よりは1両当たりの長さは短くなっています。

確かに少し前の日比谷線の車内のサイズ感ってこんな感じだったような…(筆者は営団3000系時代には乗ったことがありません)

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長野電鉄、というと車内のつり革に東急百貨店の広告がよくつけられています。

実は長野駅前にも東急百貨店があるんですよ…

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つり革には東急百貨店の文字が…

L2編成は先頭車と中間車で製造工場が異なり、デビューした年も異なります。

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湯田中側から3652、3602、3612の順になっている。中間車だけ製造工場もデビューした年も異なる。

中間車だけ新しいようですね。

先頭車と中間車で大きく異なる点はドアのデザインです。

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上:中間車のドア。下:先頭車のドア。

L2編成の共通している特徴はグレーの床にクリーム色の壁、ブルーのロングシート。

参考までに先ほど須坂駅で隣に並んでいた同じく元営団3000系、現3500系N8編成の車内を見てみると…

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N8編成の車内。L2編成とは内装デザインが異なりかなり印象が違う。

だいぶ印象が違いますね~

こういう点にハマると沼なのかもしれません。

 

車内もじっくり見られたところで市役所前駅へ移動!

市役所前駅で地下区間を走る元営団日比谷線を撮る!

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市役所前駅は地下駅。

長野から一駅、市役所前駅に来ました。

長野市民は「うちの街には地下鉄が走っている」とよく言いますが、正確には地下区間です。

ただ、長野電鉄側もどんどん東京の地下鉄車両を中古購入するので、地下鉄であるという既成事実を積み重ねようとしているのではという疑惑があります。

 

余談は置いておきまして、長野電鉄のご協力でなんと当駅の撮影はイベント参加者貸切!

撮影中は一般のお客様はコンコースでお待ちいただくという、なかなか思い切った企画です。

 

まずは長野方面。

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長野方面に停車するL2編成。

この車両はやっぱり地下区間が似合いますよね~

市役所前駅も昭和の雰囲気がいっぱいに出ているので、これもなかなかいい感じ。

 

この車両は長野駅まで行き折り返してきます。

湯田中方面のホームへ移動してもう一度パシャリ。

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湯田中方面に停車するL2編成。

ドアも閉めた状態でも撮らせていただきました。

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ドアを閉めた状態。

この駅、味があっていいですが定期列車も接近放送などは特に流れません。

まあ電車が来るときには相当な走行音がしますので大丈夫だと思いますけどね~

 

配布されたグッズも豪華(13:11 市役所前→13:31 須坂)

さてL2編成にそのまま乗車して須坂駅に戻ります。

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千曲川を渡るL2編成。

なかなかに盛りだくさんで大変楽しいイベントになりました。

配布されたグッズはこちら…(イベント受付時にもらえます)

一日乗車券も特別デザイン。

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七味缶に一日乗車券、書籍、クリアファイルをいただいた。このデザインのクリアファイルは普段販売されていないらしい。

このほかに、後から3500系や3600系の廃車発生品(つり革)が貰えるとのこと。

参加者が多い場合は抽選で送られてくるようです。


これで参加費1万円……もしかすると採算度外視のイベントかもしれませんが、これを機に多くの方が訪れる機会になってほしいですね!

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信濃竹原駅で交換する3500系と元小田急特急ロマンスカーHiSE。

長野電鉄は1日乗車券を購入するとなんと特急料金無料、なかなか面白い車両も走っているので是非乗ってみてください!

 

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このイベントを企画していただいた長野電鉄の皆様、本当にありがとうございました。
 

 

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【1号車1番C席】特急「しなの」のパノラマグリーンに乗車

グリーン車の先頭から景色を楽しむ

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中央西線の特急「しなの」に使用される383系は、名古屋から長野方面に向かう先頭のグリーン車から、前面展望を楽しむことができます。

 

今回は、木曽路を縫うようにまるでバイクのように走る、スピード感のある車窓の魅力をお届けします!

 

 

特急しなのに使用される車両は383系

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特急しなのに使用される383系。前面展望を座席に座りながら楽しめる。

名古屋ー松本ー長野間を中央西線、篠ノ井線経由で走行する特急「しなの」では、JR東海所属の383系が使用されます。

 

この車両は制御付き自然振り子装置や自己操舵台車がついています。

これによって車両がカーブに差し掛かると車体をちょっと傾けて(スキーのターンやコーナーを走るバイクのイメージ)、より高速で安全にカーブを走行できるようになります。

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側面下部に形式が書いてある。

こちらは普通車の側面下です。

「◆モハ383-4」と書いてありますが、「モ」はモータのある車、「ハ」はイロハのハで普通車の意味(ここまでは鉄道ファンの方ならご存知かも)、そして「◆」は狭小トンネル対応パンタグラフ搭載車の意味です。

 

中央本線は歴史の長い路線で、現在でも昔の規格(電車ではなく蒸気機関車で通過することを想定していたので、電化して架線を通すと天井が狭くなってしまう)でつくられた小さなトンネルが多数あります。

 

このトンネルを走行できる、通常よりも低い高さから集電できるパンタグラフを搭載している車両の形式に◆が付けられます。(現在は技術の進歩でほとんどの車両がこの区間を通過できますが、未だに規格が合わず入線できない車両も存在します)

 

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特急しなののグリーン車に乗車…最近グリーン車のマークの主張が小さい車両が増える中、大きくグリーン車のマークを掲げている点が個人的には好きです~

まあスペックはおいておいて、この車両の先頭グリーン車の特徴は何と言っても前面展望を楽しめる座席があるということです。

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グリーン車の先頭部分。

長野方面の先頭は車内からはこんな感じになっています。

乗務員室のすぐ後ろに座席があるので、ここに座れば前面の景色を楽しむことができます。

 

パノラマグリーンは1号車1番C席がおすすめ

通常の定期列車では、長野方面の先頭(1号車)に前面展望を楽しめるグリーン車が連結されます。

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通路側がC席、窓側がD席。

このグリーン車の先頭「1号車1番C席」が最も前面展望を満喫できる位置になります。

AB席は運転席の真後ろなので視界が開けにくく、D席は端なので少し景色が歪んで見えます。

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C席からの眺望。

座席からの景色はこんな感じ。

最前列からはなかなか迫力のある景色が見られそうですが、2列目以降の前面展望は厳しそうです。

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グリーン車は2+2の配列。

グリーン車はJR初期の車両にしては珍しく、2+2の座席配置です。

隣の座席との間隔(肘掛け部分)も広くはないので、ちょっとグレードアップした普通車という感覚です。

ワイドビュー南紀の車両とかと比較してしまうと見劣りしてしまうかも…?

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毎度おなじみ短足な筆者が足を延ばした状態。机が大きい点はとても良い。最前列は足を延ばすよりも景色を見ることの方が付加価値が高い。

座席の前には靴を脱ぐタイプのフットレストがついています。

机も広くて使いやすそうです。

最前列は実際のシートピッチよりは狭く感じられるかもしれません。

 

ちなみに参考までに普通車の座席を見てみます。

2+2の座席配置で、靴のまま使用するフットレストも付いていてこちらも快適。

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普通車の座席。

普通車の様子は、中央東線に特急しなのが乗り入れた臨時列車に乗ったときに紹介しているのでこちらもどうぞ~

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高速でカーブを駆け抜ける疾走感がgood!

筆者は特急しなの19号名古屋ー松本間で乗車。

名古屋を出るとしばらくは市街地を駆け抜けます。

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勝川駅通過中。右手ホーム中央部の空きスペースが城北線乗り入れ予定のスペース。

こちらは勝川駅の通過シーン。

このホームの中央部には城北線が乗り入れらせるようにスペースがありますが、現在の城北線勝川駅からこのホームまで延伸するには大幅な工事が必要なので、未だにこのスペースに城北線が来る計画は進んでいないようです。

 

城北線は完全高架で愛知県の街中を通るのにも関わらず、全線非電化、乗り換えも不便で1両編成の気動車で運転されているというかなり異色の鉄道です。

名古屋周辺の鉄道って結構謎な路線が多いですよね~

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211系が停車中。左手が神領の車両基地。

こちらは神領車両区付近ですかね~

中央西線に使われる車両は基本的にこちらに所属しています。

少し前ですが189系の「木曽あずさ」号が回送されてここまで来たことがあるらしい…

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カーブ手前で対向列車とすれ違うと迫力がある。

対向列車とのすれ違いも前面展望の魅力ですよね!

普通列車名古屋行きとすれ違っていますが、211系と313系の混合編成です。

もう少し時代が経過するとこの光景も見られなくなるかもしれません。

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定光寺駅通過中。車体が少し傾いていることがお分かりいただけるだろうか…

特急しなのでは先ほどご紹介した「振り子式」と呼ばれる車体を傾斜する装置がついているので、カーブに差し掛かると車体を傾けながら、高速で通過していきます。

古虎渓~定光寺を通過するころからちょっとずつ、その本領を発揮し始めます。

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運転席から速度を見ることもできる。

曲線通過速度も高いですが、最高速度も130km/h。

特急列車らしい走りを楽しむことができます。

 

中津川を過ぎると、曲線、トンネル、鉄橋が連続する木曽路に入ります。

木曽川に沿って、谷間を縫って進んでいきます。

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木曽川に沿って走る。

あいにくの雨ですがなかなか楽しい…

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木曽路を越えていく特急しなの。駅によっては切り出した木材も見られる。

途中、単線になったり複線になったりを繰り返しながら塩尻に向かいます。

そのため特急しなのは遅延が起こりやすく、長野地区では中央東線、篠ノ井線、下手をすると北陸新幹線の接続まで、影響が及ぶことがあります。

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ちなみに谷底から特急しなのを見上げるとこんな感じです!

アトラクションのようですよね~

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途中木曽福島に停車し、ほとんどの列車はその先塩尻まで停車しません。

あっという間に塩尻駅に到着。

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塩尻駅手前のデルタ線。右手は新宿方面。

こちら、現在は留置線になっていますが、駅移転前は右手にカーブしてそのまま中央東線の方に駅がありました。

塩尻駅から先はJR東日本の乗務員さんに交代。

巷で「JR東海と東日本は仲が悪い」と耳にしますが、この長野地区に限ってはそのような印象は全くありません……。

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途中対向の特急しなのとすれ違う。名古屋方面の先頭はパノラマ仕様ではないので注意。

塩尻から先は篠ノ井線で、松本までほぼ線路は直線。

普段よく乗車する区間を座って前面展望できるのもなかなか趣深いです!

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平田ー南松本間の貨物専用線(左)。石油輸送として現在も使われる。

南松本駅付近では、先日ご紹介した南松本の貨物専用線もばっちり見えます。

 

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松本駅。特急あずさの回送列車が停車中。

松本駅に接近。

ちょうどJR東日本の乗務員の方が研修中だったので、筆者も信号歓呼位置標を見て心の中で「場内進行~」と復唱。

 

篠ノ井線の下り線はずいぶん複雑な分岐になっているようです。

特急あずさが最後松本駅に到着するとき、やたらと制限速度がかかるな~と思っていましたが、こうなっていたからなのか…

 

パノラマグリーン車は確実に連結されるものではない

前面展望を楽しめる特急しなのですが、注意しないといけない点が二つあります…

  • 長野方面の先頭にしか連結されない
  • 臨時で付属編成が使われると、パノラマグリーン車は連結されない

 

ちなみに長野から名古屋方面の先頭車はこんな感じです…

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名古屋方面の先頭は自由席であることが多い。

一応窓から前面が見えるものの、通路があり先ほどのような展望を見るのは困難です。

 

確実にパノラマグリーン車が連結されるという保証はないので(付属編成にはグリーン車の設定もあるが、パノラマではない)、注意が必要です。

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ただ、基本的に定期列車の長野方面先頭には連結されるので、乗りにくいわけではありません。

もし機会があれば特急しなの1号車1番C席に座ってみてください~!

 

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【指定席料金のみ】特急ふじかわのコンパートメント席に乗車

身延線特急「ふじかわ」には半個室がある

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ふじかわ号のコンパートメント席。

身延線は富士山の西側をぐるりと半周する路線で、山梨県の甲府駅と静岡県の富士駅を結んでいます。

 

富士川沿いを走るローカル線ですが、甲府から身延線、富士から東海道線を経由して静岡駅まで特急「ふじかわ」号が運転されています。

 

 

特急ふじかわ号に使用される373系にはコンパートメント席が設定されていて、快適に移動することができるのですが、なんと人数分の指定席料金のみで利用することができます!

 

今回はふじかわ号コンパートメント席に座って、貸切状態で甲府から静岡まで移動します!

 

 

特急ふじかわ号の使用車両は373系

JR東海管内で、電化されているローカル線区間(身延線、飯田線)の特急に使用される373系。

165系で運行されていた急行列車の特急格上げに際して投入された車両で、設計コンセプトは「普通列車~特急列車まで、幅広い運用に応える汎用性の高い車両」とのこと……

 

JR東日本の某国鉄型車両で何か聞き覚えがある響きですが、373系は現在でもローカル線を中心に普通~特急まで、幅広い運用についています。

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特急ふじかわに使用される373系。

ヘッドマークは幕式のスタイル。

いつの間にか幕式ヘッドマークをつける特急も、貴重な存在になりはじめています。

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特急ふじかわのヘッドマーク。日本三大急流の一つ「富士川」がデザインされている。

特急ふじかわは身延線だけではなく、東海道線の区間も走り、静岡まで直通します。

富士駅と新富士駅との移動が不便で、東海道新幹線との接続がとりにくいからですかね~

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373系のドアは、広めに作られていて、両開きです。

これも幅広い運用を意識した構造になっています。

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ドアは両開きで幅が広く、半自動ボタンも設置されている。

この車両にはデッキと座席を仕切るドアは設置されておらず、こちらも普通列車などに運用される際に乗降時間を減らす効果があります。

 

その分特急列車としての快適性を失う…と言いたいところですが、この車両が運用される路線はいわゆるローカル線。

そこまで高速運転するわけではないので割と快適性は保たれています。

 

座席は快適で足を延ばすことができ、車両中央部には整然とリクライニングシートが並びます。

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車両中央部の座席。デッキと座席を仕切るドアはないので、乗降はスムーズ。

車端部にある半個室、コンパートメント席

先ほどと反対側に目を向け、車端部を見ると向かい合わせのボックスシートがあります。

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車端部にはボックスシートがある。

このスペースがコンパートメント席です。

2号車、3号車の車端部にあります。

 

一席一席が指定席として販売されているので、4人グループで旅行される際はこちらの座席を指定すると、このスペースを貸切ることができます。

 

システム上は、リゾートしらかみの「B室」と同様、4席分の指定席を確保しないと相席の可能性があります。

ただ、ほとんどこちらの座席を指定する方はいらっしゃらないようで、乗車時は筆者は1人でこのスペースを事実上貸切で移動することができました。

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座席の中央部にはテーブルが設置されている。

座席はリクライニングしないボックスシートですが、角度がちょうどよいのか意外と快適に座ることができます。

 

座席中央部のひじ掛けは上げることができます。

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座席中央部のひじ掛けは上げることができる。

足元は十分広く、4人で座っても窮屈に感じることはないと思います。

テーブルも思った以上に広いので駅弁などを広げても問題ありません。

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毎度おなじみ短足な筆者が足を延ばした状態。足元、テーブルともに十分なスペースが確保されている。コンセントはない。

貸切状態のコンパートメント席から車窓を楽しむ

甲府駅から静岡駅まで、特急ふじかわ6号に乗車しました。

甲府を出ると、南甲府、東花輪、市川大門、鰍沢口…とちょこまかと止まっていきます。

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東花輪駅にもふじかわ号は停車する。

このちょこまかとした停車駅で意外と乗降客があります。

JR東海では30kmまでの自由席特急料金が330円、50kmまでは680円と割安に設定されているので、短距離移動でも使いやすいんですよね~

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甲府駅を出ると、しばらくは甲府盆地を南下する。しばしば最近開通した中部横断道と交差する。

特急ふじかわは通常3両編成ですが、車端部のコンパートメント席を除いて2号車、3号車と2/3が自由席になっています。

需要と使用車両とその座席設定がすべて合っているような感じ…こういうセンスはJR東海がずば抜けているような気がします…

 

甲府盆地を抜けると、山の中へ…

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良い感じの集落をゆっくりと縫うように走ります。

スピード感のある特急というよりは、やっぱり地方の急行列車のような感覚(?)です。

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身延駅はこの周辺で最も大きな駅。

しばらくすると身延駅に到着。

この近辺は最近アニメ「ゆるキャン△」の舞台になっていることで知られ、ブームが来ている地域です。

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身延近辺にある本栖湖は富士五湖の一つとして有名。1000円札の裏側にも選ばれた景色は、ゆるキャン△の聖地にもなっている。

普通列車ですと身延駅から西富士宮駅まで本数も少なくガラガラ…になるんですが、ふじかわ号は相変わらず5割くらいの乗車率。

山梨県から静岡県までの通過需要もそこそこあるようです。

 

身延を過ぎると富士川沿いを走ります。

ここで昼食、駅弁「甲州Wワイン弁当」をいただきます。

ハンバーグと焼き肉の和洋折衷(?)弁当です。結構おいしい。

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富士川の景色を見ながら駅弁を食べる。

窓も結構広くて、景色を楽しむことができます。

一応「ワイドビュー」を名乗ってますからね~

運転席からの前面展望はできますが、そこまで視界が開けているわけではありません。

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先頭の様子。

さてここのカーブを曲がるとどかーーーんと雄大な富士山が…

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西富士宮駅付近で見える富士山はなかなか良いものですが、今回は見えませんでしたね~

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さて、富士に着くと特急ふじかわは東海道線に直通します。

昼に静岡県内の東海道線を走る在来線特急は、割と貴重な存在です。

富士からも結構な乗車があります。

 

進行方向を変えて、由比周辺を走行していきます。

本当にこの周辺は狭いんですね~いい景色です。

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由比周辺を在来線特急の車窓から眺める。

先ほどとは打って変わって、直線的な線路を飛ばしていきます。

手元のGPSを使った速度計で104km/h出ているようです。

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アプリでは104km/hを記録している。

東海道線内は清水、静岡に停車。

あっという間の2時間少々でした。

コンパートメント席を予約するには…?

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指定券に印字される「(コ)」の文字に注目。

ところで、特急ふじかわ号のコンパートメント席を予約するには、指定席券売機で「特急ふじかわ〇号(コンパートメント)」と書かれた列車名を選択する必要があります。

きっぷの(コ)の文字にご注目。ここまでがきっぷでは列車名の扱いです。

 

単に「特急ふじかわ〇号」と書かれた列車を選択すると、コンパートメント席を指定できません。窓口でも「コンパートメント席をください」と言う必要があります。

 

先述の通り、こちらのスペースは指定券が必要で、自由席特急券では利用できません。

また、他の方が利用する場合は相席となる場合がありますのでご注意ください。

ただ、ほとんどの場合空いているので、1か月前の10時に並ぶ必要はないと思います。

 

特急ふじかわを利用する機会がありましたら、快適な半個室、コンパートメント席を利用してみるのはいかがですか~?

 

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【9/1より無料化】上田と松本の短絡ルート、三才山トンネルが便利

三才山トンネルが無料化されました

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最後の夜となった8/31の三才山トンネル料金所。

上田市と松本市を結ぶ三才山トンネル有料道路は2020年9月1日より無料化されました。

長野県の中信地方と東信地方を結ぶ、盆地と盆地を結ぶ地方都市間の移動に便利な道路です。

 

今回は、このトンネルの有料道路最終日の様子や、利便性、周辺地域の魅力について見ていきます!

 

 

三才山トンネル最終日の夜

三才山トンネルに近づく道路では表示板で無料開放の宣伝をしていました。

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無料化の宣伝をする表示板。

2020年8月31日、有料道路最後の日となった三才山トンネル料金所。

「ありがとうございました」の横断幕が張られ、名残惜しい雨(?)となりました。

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三才山トンネル料金所、最後の夜。

ETCが非対応の有料道路でしたので、係員の方に小銭や通行券を直接渡していたんですよね~

安く移動できるようになるのは大変うれしいですが、無料化と同時に、この光景は見られなくなってしまうのはどこか寂しい気分にもなります。

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最後まで人の手で通行料金を徴収していた。

管理事務所はしばらく通行券(回数券)の払い戻しのため営業するようですが、隣接するトイレ、駐車場は無料化と同時に閉鎖されるようです。

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三才山トンネル料金所のトイレと管理事務所。トイレは8/31を持って閉鎖された。

かつてはトンネルの手前にあるセブンイレブンで(松本側にも上田側にも存在)回数券をばら売りしていて、通行料の1割引きで通行券を購入することができました。

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三才山トンネル、普通車用の通行券。これを購入するか直接現金で支払っていた。

そのため、このトンネル周辺のセブンイレブンはお客さんも多めでした。

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松本市側のセブンイレブン。回数券のばら売りが販売されていた。

 

三才山トンネルの利便性

三才山トンネルの利便性はどれほどのものなのでしょうか?

松本駅から上田駅までの移動を例に比較していきます。

 

高速道路を利用すると遠回り

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高速道路を利用すると大型車も通行できるが、遠回りでコストも時間もかかる。

高速道路を利用して松本駅から上田駅まで移動すると、山地を迂回するようなルートになるため、長野市近辺までの遠回りを強いられます。

 

普通車で1900円、所要時間は約1時間31分です。

 

ちなみに松本駅から上田駅まで、鉄道で移動する場合は松本→(篠ノ井線・信越線)→長野→(北陸新幹線)→上田と移動するのが最短です。

こちらも最短で1時間30分くらいで、新幹線を利用しても所要時間はあまり変わりません。

 

かつての無料最速ルート、青木峠越えは酷道が連続

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青木峠越えは国道であるが、酷道でもある。

 

三才山トンネルが開通する前はこちらのルートが最短ルートでした。

国道143号線と、名前こそ「国道」を名乗っていますが大型車は通行できず、途中からセンターラインもありません。

 

明治時代に開通した歴史ある国道ですが、もともと馬車の通行を考慮して高低差を少なくした結果、等高線を縫うようなルートとなっているため、急カーブが連続します。

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国道143号線は途中で酷道区間がある。舗装されているが路面状態は悪く、センターラインもない。

明治時代に開通した当時のトンネルが今も使用され、国道最古のトンネル「明通トンネル」や、同じく明治時代開通の片側交互通行のトンネル「会吉トンネル」は、趣がありますが通行はしづらいのが現状です。

 

松本駅から上田駅までの所要時間は1時間25分です。

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会吉トンネルは片側交互通行。手掘りのトンネルを現在でも使用している。

ちなみにこちらのルート、かつて存在した松本市内の路面電車「松本電気鉄道浅間線」と、上田温泉電軌青木線(現在の上田電鉄)を直通させ、松本ー上田間に鉄道を通すという夢物語までありました。

 

 

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美ケ原越えは標高差700m超、現在通行止め

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美ケ原越えは長い峠道が連続し、時間がかかる。

「美ケ原」というとビーナスラインなどのドライブコースとして有名ですが、こちらのルートは華々しいルートの裏側にある酷道です。

武石峠という峠を越えますが、こちらは標高1340m。

松本盆地からは標高差約700mを駆け上がり、上田盆地へ降ります。

こちらも武石峠より上田側でセンターラインがなく、路面状態も悪いです。

 

現在は災害復旧工事のため、当分の間通行止めとなっています。

松本駅から上田駅までの所要時間は1時間43分です。

 

三才山トンネルは短絡ルートとして開通

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三才山トンネルは直線的なトンネルで大型車も通行できる。

三才山トンネルは全区間2車線で、1976年開通。

大型車も通行でき直線的なトンネルで快適に走行することができます。

 

以前まで普通車で500円→510円→520円ほど通行料金がかかる有料道路でしたが、9/1より無料化されました。


松本駅から上田駅までの所要時間は1時間11分です。

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三才山トンネルは松本市と上田市を直接結ぶトンネル。2車線道路。

三才山トンネルは温泉地と温泉地を結んでいる

三才山トンネルの松本側にも上田側にも、雰囲気の良い温泉があります。

まずは松本市側。

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1300年の歴史を持つ浅間温泉。旅館も日帰り入浴施設も存在。

透明ですがほんの少し硫黄の香りがする浅間温泉

飲泉もでき、胃腸に効くとのことです。

松本市街地からも至近で、バスでもアクセスが可能です。

 

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当ブログでは2つの施設をご紹介していますが、旅館ならこちら、日帰り入浴施設ならこちらとどちらもおすすめNo.1となっています。

他にも複数の日帰り可能な施設、旅館もあります。

 

一方の上田側、こちらも味わい深い温泉があります。

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国民保養温泉地に指定されている鹿教湯温泉。

国民保養温泉地に選ばれた鹿教湯(かけゆ)温泉をはじめ、ディープで個性豊かな丸子温泉郷があります。

 

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 リゾート地的な温泉ではありませんが、古き良き温泉街の面影を現在でもとどめています。

 

三才山トンネルにお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください!