toremorの旅手帳

鉄道と旅行と温泉と。大学生の放浪の様子をご覧ください。

引退が始まる「しなの鉄道の115系」を追う

国鉄車両が続々と引退していくこの頃

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しなの鉄道の主力車両115系。この光景が見られるのもそう長くはない。

しなの鉄道では国鉄時代に製造された115系が現在でも主力車両として活躍しています。

現在、東日本エリアで115系が主力となっている路線は貴重です。

 

一方2021年のJRのダイヤ改正では、185系をはじめ、多くの国鉄車両が定期運用から姿を消すことになりました。

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2021年のダイヤ改正ではキハ40系列の普通列車もJR東日本から姿を消すことになった。

国鉄車両が老朽化し引退を迎えることが多い今、しなの鉄道もまた115系が引退し始めています。

新型車両のSR1系の投入が進んでおり、2026年度までにはすべての115系を置き換える予定です。

 

「115系が当たり前のように来る」日常も、そう長くはありません。

今回はしなの鉄道で活躍する115系を追います。

 

 

しなの鉄道で115系の旅をご紹介

しなの鉄道の115系、多くの編成が在籍しているうちに楽しみたいところです。

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ワンマンの表示がないと、信越線時代とほぼ変わらない雰囲気を楽しめる。

外観を眺めてみると「Ω」の文字が…

台車周りには詳しくないのですが、これは抵抗制御の機器なのでしょうか。

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床下には「Ω」の文字がつく機器がある。

ドアは手で開けるスタイルで、押しボタンはありません。

「手で開けてください」の表示が良いですね~

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ドアは手で開ける。

形式の脇に◆マークがついています。

これは狭小トンネル対応のマークです。

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◆のマークがついている。

内装はリニューアルされていますが、西日本ほどの大規模な感じはありません。

セミクロスシートが並んでいます。

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115系リニューアル車の車内。

これは別の編成ですが、ドア付近に案内用ディスプレイがついた車両もあります。

時代は変わったのか変わってないのか……

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ドア上にディスプレイがついている編成もある。

当然窓も開けられます。

人が少なければいい風と音を楽しみながら、115系の旅を楽しむことができます。

台車は違いますが185系とモーターは同じです。

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窓を開けて心地よい風を浴びる。

喉かな風景をまったり窓を開けて楽しむのなら、北しなの線(豊野~妙高高原間)がおすすめです。

人が少ないので窓を開けたりしやすい点もいいですよ~

 

逆にスピード感を味わうならしなの鉄道線の区間(篠ノ井~軽井沢間)がおすすめです。

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全線複線での高速運転を楽しめるしなの鉄道線。

115系が最高速度95km/hで快走するこの路線は全線複線。

かつて特急が走った幹線ですが、色あせることなく高速運転の旅を楽しめます。

185系引退で高回転域のモーター音を聞く機会を失った方はぜひこちらへ~

 

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ただし利用者が多い区間なので、必ず窓を開けて好き勝手出来るわけではありません。

そこだけは少しご注意を…。

豊富なカラーバリエーションを誇るしなの鉄道の115系

ところで、しなの鉄道の115系はカラーバリエーションが豊富なことが特徴です。

全般検査(鉄道車両の大規模な「車検」)の際に再塗装しなければならないという決まりがありましてそれを機に、国鉄~JR時代のリバイバルカラーに塗り替えています。

色による経費の違いってあまりないそうで、それならばと様々なカラーに塗装できたらしいです。

 

しなの鉄道の115系は2両編成6本と3両編成14本が在籍しています。

今回はざっくりとすべてのカラーリングをご紹介。

 

①しなの鉄道色

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最も数の多い「しなの鉄道色」。しなの鉄道のオリジナルカラー。

この色はしなの鉄道のオリジナルカラー。

最も多くの編成がこの色で走っており、基本のカラーです。

 

開業当初は信越線時代の色(2代目長野色)だったようですが、徐々にこの色に変えられ、一時はほとんどの編成がこの色となりました。

 

これはこれで個人的には「なかなか良い塗装だな~」と思いますね~。

しなの鉄道の「赤」の色は、現在投入が進んでいるSR1系の一般車両にも受け継がれています。

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浅間山をバックに走る115系しなの鉄道色。

②初代長野色

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JR時代、長野エリアの115系は1989年にこの色に改められた。2017年にしなの鉄道でこの色が復活した。

この先はしばらくここ数年で色が塗られ、復活した色をご紹介します。

 

「初代長野色」と呼ばれるこの色、1989年~1992年までJR時代に長野エリアの115系に塗られた色です。

この後ご紹介する「2代目長野色」に塗り替えられ、JR時代にこの色は消滅。

 

緑は山の色、赤は紅葉の色を表現したそうです。

筆者はJRで走っていた当時生まれてないので、あまりイメージが沸きません……

③新長野色

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2代目長野色のしなの鉄道115系。妙高高原駅にて。

JR時代は中央本線や大糸線、篠ノ井線で見られたこの色は、「2代目長野色」「新長野色」と呼ばれています。

個人的には長野地区の115系というとこのイメージでした。

 

長野オリンピックを機に、1992年から1997年までに、初代長野色からこの色へと塗装が変更されました。

 

実は2018年まで、営業用ではありませんでしたが、JR東日本所属の115系にこの色がありました。

現在ではしなの鉄道でしか見られないと思われます。

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JR東日本所属の新長野色の115系は2018年に姿を消した。L99編成廃車回送、明科駅にて。

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新長野色のイメージカラーは211系やE127系だけでなく、訓練車として209系にも使われている。

④スカ色

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スカ色の115系。戸倉駅にて。

1950年代に横須賀線で採用されたこの色、「スカ色」と呼ばれています。

JR中央本線では2015年頃まで現役で、中央本線系統の115系はこの色がもともとは基本だったようです。

しかし、しなの鉄道の前身である信越線にこの色の115系が走った実績は無いような気がします(間違ってるかも?)

 

現在でもこの色は横須賀線系統の車両に踏襲され、115系からE217系、そしてE235系へと変化はありますが受け継がれています。

しなの鉄道で復活し現在でもこの色の115系を見ることができますが、なんと後継機のE217 系はすでに一部の車両が廃車が進んでいます。

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EF64に牽かれ、長野総合車両センターへ回送されるE217系。姨捨駅にて。

運が良ければ、長野周辺でスカ色の115系とE217系の並びを見ることができるかもしれません!

横須賀線時代の新旧の車両を見られる可能性があるのは魅力がありますね~

⑤湘南色

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湘南色の115系。長野駅にて。

信越本線系統の115系はこの色がもともとの色でした。

「湘南色」と呼ばれるこの色は115系全体の基本的な色として定着していました。

 

先日しなの鉄道で引退した編成にこの湘南色の編成がありました。

2両編成だったのですが、内装に大規模な改造がされていないため、当時の115系の雰囲気が最も良く残っていた編成でした。

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湘南色の2両編成だったS25編成は、内装に大規模な改造が施されておらず、当時の115系の雰囲気を色濃く残していた。

しなの鉄道の115系は内装に手を加えたものが多いので、こういう編成は貴重だったのですが……老朽化にはかないませんでした。

 

⑥コカ・コーラ色(廃止)

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コカ・コーララッピングが施された115系。

1987年、JR時代にキャンペーンで行っていた「コカ・コーララッピング」。

2018年にクラウドファンディングでしなの鉄道で復活しましたが、2020年にラッピングは終了しました。

 

JR時代には車内にコカ・コーラの自販機があったようです。

いいな~

 

⑦台湾自強号色

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台湾鉄路管理局とのコラボ色。

しなの鉄道と台湾鉄路管理局とのコラボキャンペーンで実現した色です。

台湾の方ではしなの鉄道色が走っているそうですよ~

 

つくづく思うのですが、115系ってどんな色でも似あう気がしますよね~

「形」のデザインとしてはかなり完成度が高いのではないかと思います。

 

⑧ろくもん(改造車)

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ろくもんが停車中。中軽井沢駅にて。

観光列車として改造された115系、水戸岡デザインです。

水戸岡さんが「最高傑作」と呼んだこの車両、筆者は中に入ったことがありませんが木を基調とした明るい車内で食事がいただけるようです。

 

指定席のみでの利用もできるようですが、乗車には指定席料金1020円がかかります。

 

しなの鉄道の115系は乗れるうちに乗りたい

いつでも走ってるからいいや~という気持ちも分かりますが、しなの鉄道の115系も引退が決まっています。

高速で毎日運転する全盛期の今だからこそ、楽しめるものもあると思います。

 

新型のSR1系が残念かと言うとそんなことはありません。

デザインも乗り心地もなかなかいいですし、トイレもつきます。

第三セクターが独自に新車を導入できるというのは、よく考えれば凄く前向きな出来事です。

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SR1系100番台(ライナータイプ)のすべての編成が連結された普通列車。6両編成。

抵抗制御からvvvfインバーター制御というものすごい進歩を遂げるしなの鉄道。

変化を楽しみながら、乗れる車両には今のうちに乗っておきたいですね~

 

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※当ブログはこの記事で100記事目を迎えました。ご覧いただいている皆様のおかげです!ありがとうございます!

 

 

 

 

 

【篠ノ井線】やたらと通過駅の多い211系の快速に乗車

平日のみに走る篠ノ井線最速の快速列車

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211系6両で運行される篠ノ井線最速の快速列車。

中央本線と接続する塩尻駅から信越本線と接続する篠ノ井駅までを結ぶ篠ノ井線。

ローカル線と言えばローカル線ですが、なかなか早い快速列車も運行されています。

 

所要時間は塩尻ー長野間76km、1時間14分。

特急「しなの」の同区間の所要時間は約1時間程度なので、比較すると随分と早い快速です。

 

今回は朝に設定される篠ノ井線最速の快速列車に乗車します!

 

 

前身は189系で運行された「おはようライナー」

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前身は189系で運行された「おはようライナー」。普通の快速に格下げ(?)された。

篠ノ井線最速の快速列車は、平日の朝に設定されています。

塩尻、村井、松本、田沢、明科、長野の順に停車し、通過駅は13駅あります。

使用車両は211系で、明科から長野まで約50分間ドアが開きません。

 

この列車の歴史は2004年まで遡ります。

松本ー長野間の都市間の高速移動手段として日中は特急「しなの」が運行されますが、朝の通勤時間帯には始発の「しなの」がまだ長野エリアを発着しないので速達手段がありませんでした。

 

そこで、両都市間を結ぶ「ライナー列車」として誕生したのが「おはようライナー」です。

使用車両は189系という国鉄時代特急「あさま」などで使用された車両で、310円の乗車整理券を購入することで乗車できました。

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乗車には乗車整理券が必要だった。

晩年は189系最後の活躍の場となり、鉄道マニア注目の列車となりましたが2019年のダイヤ改正でこの車両は引退…

以降ダイヤはほぼ引き継いで、普通の「快速列車」として211系6両編成で運転されています。

 

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約50分ドアの開かない快速に乗る

それでは実際にこの快速列車に乗車します。

7:10に筆者は松本から乗車、長野には8:11に着きます(松本ー長野間1時間1分)。

停車駅は掲示板の通り、かなり少なく設定されています。

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松本から長野までの途中停車駅は2つだけ。

筆者も189系時代には幾度となく乗車しましたが、211系になってからはあまり乗っていませんでした。

ただ、よく考えたらこんなに通過駅のある211系の運用もまた貴重な気がします。

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目を引く「快速」の文字。

ビシっと快速幕が出ています。

最近の快速は主張が相対的に控え目(?)なのが個人的には残念なので、こういう幕には魅力があります。

 

189系の時と比べると、松本で降りられるお客様が増えた気がします。

鉄道趣味的には悲しいダイヤ改正でしたけれど、乗車整理券が不要になったので実際の利用者の方にはちゃんと「改正」になっているのかもしれません。

 

明科まで各駅に停車

朝の北アルプスを眺めながら出発です。

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朝の北アルプスは眺めが良い。梓川と奈良井川が合流して犀川となる。

 

次の停車駅の田沢駅、その次の明科駅までは各駅に停車していきますが、そこそこの乗降があります。

停車駅の設定もいわゆる「ライナー列車」の概念と同じで、松本近郊から長野を結ぶことに特化した列車です。

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松本駅から明科駅までは各駅に停車する。

約50分間、途中停車駅はない

次の明科駅を出ると、終点の長野まで止まりません。

厳密には稲荷山駅で5分程度の運転停車があるのでノンストップではないのですが、かなりの優等列車気分が味わえます。

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明科駅を長野方面へ出てすぐ、進行方向左手側に旧線跡が続く。現在では旧線が遊歩道として整備されている。

トンネルを超え筑北村へ。

のどかな田園風景を211系が快走していきます。

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車内はゆったりと座れるくらいの混雑。

時期も時期だけあって、満員電車ではありませんし座れないということもありません。

これなら211系の方が効率的ですよね~

乗り心地はさすがに189系にはかないませんけれど、速度出すし申し分ありません。

 

どんどんと途中駅を飛ばし、かつての急行停車駅だった聖高原駅(旧麻績駅)も通過してしまいます。

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聖高原駅を通過。

トンネルをさらに超えると姨捨付近を走行します。

この辺りでは長野自動車道と並走します。

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コンクリートの建築物は長野自動車道。

姨捨駅も通過します。

スイッチバックでは無く通過線に入ります。

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姨捨駅はスイッチバックせずに通過。

この列車とは逆に、この辺りで2回もスイッチバックする篠ノ井線の普通列車もあります。

篠ノ井線はダイヤが個性的な列車が多いような気がしますね~

 

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見上げると何やら怪しい回送列車が…

長野での検査を終えて小海線に向かっているものと思われます。

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姨捨駅にはキハ110の回送列車が停車していた。

振り返れば毎度おなじみ日本三大車窓が…

今日は曇ってるからいいかな~

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反対側では日本三大車窓の一つを楽しめる。

今回乗った車両は211系のボックスシート車でしたけど、ロングシートのこともあるのかもしれないですね~

どっちにも乗りなれちゃうと快適性はあんまり変わらない感じがします…

 

ここで少し残念なのが稲荷山駅で5分くらいの運転停車があるんですね~

これは189系の時から変わっていませんし、引退間近では近くの混雑する撮影地を避けてこの駅で駅撮りされている方もいました。賢い!

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ノンストップで走り続けていた211系も稲荷山駅でひと休憩。ただしドアは開かない。

5分ほど停車して発車したら、カーブを曲がれば篠ノ井駅です。

ここから信越線に入ります。

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カーブを曲がって篠ノ井駅を通過していく。

特急「しなの」の全列車が停車する篠ノ井駅も通過します。

 

篠ノ井駅を通過する列車というのは最近また増えていて、しなの鉄道方面へ直通する「軽井沢リゾート号」も通過します。

特急「あさま」も通過していたので過去を見れば珍しいわけではないですが、篠ノ井線の列車で篠ノ井駅を通過するかなり珍しい列車と言えます。

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篠ノ井駅では転線もあるので徐行して通過する。

信越本線に入ると、さすが複線化された高規格路線と言うだけありまして、かなりのスピードで走行します。

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安茂里駅を高速で通過する211系の快速。

長野駅に着く前、「おはようライナー」時代はここの区間で鉄道唱歌のオルゴールが流れないか期待して待っていましたが、今ではいい思い出です。

犀川と裾花川を渡って、マルコメの工場が見えてくれば長野駅に到着です。

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マルコメの工場が見えれば長野駅はすぐそこ。

長野駅に到着!

長野駅に到着後、この列車は回送列車になります。

臨時列車の扱いですが平日は毎日運転されているので、周辺に住んでいたら乗りやすい列車です。

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長野駅に到着後は回送列車となる。

反対側のホームに、しなの鉄道のSR1系6両編成が停車していました。

6両ですと迫力があっていいですね~個人的には長い編成が好きなので惹かれます。

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回送列車の向かいに停車していたSR1系6両編成。普通列車戸倉行き。

 

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これまた思い出話ですがこの快速が189系で運用されていたころ、この列車の到着後は115系と並んで国鉄時代を感じるなかなかいい時間でした。

時代は変わりましたね~

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「おはようライナー」として運行されていたころの写真。

とはいえ、211系の運用でこれほど停車駅の少ない快速はほぼないんじゃないかと思います。

211系の時代もそう長くはないのかもしれません、乗れるうちに乗っておきたいですね~

 

【リニア中央新幹線】長野県駅周辺の工事状況を見る

リニア中央新幹線の工事は始まりつつある

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鉄道の歴史は高速化の歴史ともいえる。もし40分で名古屋ー東京が移動できる便利さを知ったら、今の東海道新幹線を鈍行のように感じる日が来るのかもしれない。

品川と名古屋を約40分で結ぶリニア中央新幹線

長野県内にも飯田市付近に駅が出来る計画です。

 

開通すれば、長野県で最も東京と近くなる飯田市付近。

まだ風景に劇的な変化はありませんが、着々とリニアの準備工事が進められているようです。

 

今回はリニア中央新幹線、長野県駅周辺の現在を見ていきます。

 

 

長野県駅の建設予定地付近を歩く

近い将来、開通すると言われる「リニア中央新幹線」。

まだまだ開通に向けて課題は山積ですが、少しずつ開通の足音が聞こえてきています。

 

ちょうど長野県駅の設置予定場所に来てみました。

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比較的新しい家も建っていて、ここにリニアが通るイメージがなかなか湧かない。

住宅が並んでいる、ごく普通の風景です。

気のせいかもしれませんが、徐々に解体が始まっているような感じがあります。

い家ばかりかと思いきや、割と新しい住宅も建っています。

 

 

 

正確な位置からは少しずれているかもしれませんが、この付近にリニアの高架が通るのは確かだと思います。

地図だとイオン飯田店の北側に長野県駅が設置される予定です。

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リニア中央新幹線「長野県駅」設置予定地の周辺。すでに立ち退きがはじまっているのだろうか。

 

ご覧のように住宅がなくなり、なにやら更地が広がりそうな気配があります。

 

一方で少し離れたところでは、何やら大がかりな作業が進んでいます。

更地になった土地、ひっきりなしに来るトラック……

ただの宅地造成工事ではなさそうです。

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少し離れた場所では、宅地造成工事が始まっている。

おそらくかつては畑だったような場所に新たな道路と宅地を作っているようです。

看板を見てみると「代替地」の文字が…

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「リニア関連工事」の文字がある。

「リニア関連工事」という文字もあり、おそらくリニア建設のための立ち退きで地区ごとこちらへお引越しのようです。

 

さらに別の場所でも似たような工事が行われています。

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畑地のはずれに新しい区画が作られている。

こちらも宅地造成の工事のようです。

ルート周辺の家が移転しない限りはリニア本体の工事は始められないため、本格的な工事はまだ先のようですね~

 

天竜川を渡り少し対岸側にわたります。

この周辺では天竜川が作った河岸段丘が広がっています。

天竜川とその周辺の地形は地域住民にとって身近な存在で、天竜川の東を「竜東地域」と呼んだりと、この地域独特の地名の言い回しがあります。

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河岸段丘が広がるリニア中央新幹線の計画ルート周辺。ほとんどの区間がトンネルで構成されるが、このような場所でのみ地上を走行するのだろうか。

リニア中央新幹線はこの天竜川を橋梁でわたる計画です。

リニアに乗車したら、一瞬だけ外の風景を楽しめる貴重なスポットになるのでしょうか。

 

東京方面の対岸側(天竜川の東)地域住民の言う「竜東地域」へやってきました。

こちらでも似たような宅地造成工事が行われています。

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天竜川の対岸(長野県駅より東京寄り)でも宅地造成工事が進んでいる。

リニアの建設予定地付近、こちらも現在は住宅地になっているので、このあたりの住宅が新たな宅地造成した場所に移転するのかもしれません。

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こちらも住宅の移転がまず先に行われるようだ。

こちらの場所から東京方面は山となり、長大なトンネル工事が計画されています。

ほとんどがトンネル区間となっているリニア中央新幹線ですが、こういう川を越えるときに少しだけ顔を出すんですね~

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東京方面にはすぐ山がそびえている。この先のトンネルでは現在もめている静岡県方面へとつながる予定。

リニア中央新幹線の「途中駅」の立ち位置は?

品川ー名古屋間を最短で40分で結ぶリニア中央新幹線ですが、途中駅も4つ建設される予定です。

静岡県を除いた、通過するルートの県に1つずつ駅を建設する計画であり、長野県では飯田市付近に新駅が作られます。

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リニア中央新幹線のルート。計画当初の中央高速道路と似たようなルートである。

Hisagi - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15519030による

これらの途中駅は「東京と名古屋を結ぶ直線の途中」につくられるため、必ずしも中心街に駅が設けられるわけではありません。

問題となるのは、中心街とリニア駅までのアクセスです。

 

長野県駅も例にもれず、市街地から離れた場所に設置されます。

当初は飯田線に新駅を設置し、そこからリニア中央新幹線の駅へとアクセスする予定でしたが、市長が変わり「飯田市街地と長野県駅を新交通システムで結ぶ」という方針になりました。

 

個人駅には周辺の利用者の方は自家用車での移動がほとんどだと思いますので、利用者をどう増やすかは課題になりそうな気がします。 

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飯田線元善光寺駅。かつて荷物扱いがあったと思われる比較的大き目の駅である。飯田駅までは3駅。

ちなみに現在の長野県駅の現在の最寄り駅は、飯田線の元善光寺駅です。

飯田線にしては大き目の駅ですが、将来的にはリニアとローカル線を乗り継ぐ旅の拠点駅になるかもしれません。

 

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この元善光寺駅は以前貨物列車の発着があった駅で、国鉄時代には未成線となった「中津川線」が建設された際に石油のターミナル駅として整備される計画もありました。

リニアの開業で幻の計画が実現?

リニア中央新幹線のように、日本アルプスに長大トンネルを貫く交通のアイデアは、意外と以前から存在していました。

 

現在でもその計画の名残や実際に開通しているものがあります。

中央高速道路の「恵那山トンネル」は、建設当初の東京から小牧を結ぶ直線的なコースが具現化されている区間です。

 中央アルプスを長大トンネルで抜けていく、大胆なコースです。

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中央道恵那山トンネルは8kmを超える長大トンネルで中央アルプスを抜ける。

一方恵那山トンネルに平行して、鉄道を通す計画もありました。

幻となった未成線「中津川線」です。

 

計画の名残は現在でも見ることができ、一度も鉄道が走ることのなかった盛土や高架、トンネルの風景が印象的です。

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中津川と飯田を結ぶ計画だった国鉄中津川線の盛土。1度も列車が走ることはなかったが、現在でも残されている。

リベンジと言っては何ですが、リニア中央新幹線の長野県駅ー岐阜県駅間の開業で、ようやくこの国鉄中津川線のような、中央アルプスをトンネルで越える鉄道が通ることになります。

 

 中津川線について知りたい方はこちら↓

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一方で南アルプスを越えるトンネルも、かつては中央高速道路で計画された(建設当初の計画では富士吉田ー精進湖ー大井川ー天竜峡と抜けるはずだった)ことがあります。

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中央線初狩駅付近では、リニア中央新幹線の建造物を見ることができる。写真奥の山と山の間を通る管が実験線となっていて、開業後は本線となる。この区間では中央本線と並走している。

リニア中央新幹線の南アルプストンネルの現在は水の問題でもめていますが、もし東京ー名古屋間が開通すれば1960~70年代に計画された壮大なアイデアたちが、具現化される可能性があります。

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名古屋市のリニア・鉄道館ではリニアモーターカーの乗車を再現した展示がある。「300km/hが遅い」と感じる感覚をぜひ一度味わってほしい。

個人的はそんな観点でワクワクしていますが、開業したらぜひ乗ってみたいですね~!

 

 

※管理人はこれよりしばらく、諸事情で少し更新の頻度が低下するかもしれません。今のところ継続していく予定ですので、気長によろしくお願いいたします!

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

長野ー松本間のかなりお得なきっぷ、「信州往復きっぷ」と「信州しなの回数券」

長野ー松本間に存在する「かなりお得な」きっぷ

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長野ー松本間には定価より3割以上安いきっぷが販売されている。

地方において都市間の鉄道輸送は、高速バスや自家用車と競合しがちです。

長野県の長野ー松本間もこの例に漏れず、競合関係にあると言えます。

 

「競合するところにお得なきっぷあり」という原則は地方に行っても同じです。

今回は長野ー松本間をかなりお得に移動できる鉄道のきっぷをご紹介します!

 

 

長野ー松本間のお得なきっぷ

①往復で840円安くなる「信州往復きっぷ」

「信州往復きっぷ」と言う名のこのきっぷ、長野―松本間で往復840円ほどお安くなる、とても便利なきっぷです。

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信州往復きっぷは往復で割引が効くタイプのきっぷ。「ゆき」と「かえり」合わせて1500円(片道当たり750円)はかなりお得である。

発売駅によって価格が異なりますが、

  • 長野~篠ノ井↔松本~明科…1500円(定価-840円)
  • 長野~篠ノ井↔塩尻…1980円(定価-700円)
  • 長野~篠ノ井↔辰野・岡谷…2330円(定価-1050円・-810円)

と、どの駅からもかなりお得になっています。

 

岡谷~長野間の自動券売機であれば基本的に購入することができると思います。

「おトクなきっぷ」というボタンをタッチすると「信州往復きっぷ」があるはずです。

 

みどりの窓口のほか、指定席券売機(紫色の券売機・クレジットカードも対応)でも、普通の券売機(クレジットカード非対応だがオレンジカードに対応)でも買えます。

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指定席券売機でも購入できる。きっぷのデザインが異なっていても効力は同じである。

(※長野県エリアではなぜか新しい緑色の普通の自動券売機に「カード対応」と書いてあっても、suicaは使えません。じゃあカードって何かって?オレンジカードのことですよ……)

 

このきっぷのみで普通列車および快速列車に乗車することができます。

また追加で指定券や特急券を購入すれば「特急」にも乗車することができます。

 

この「追加料金で特急に乗れる」というメリットが後々また効いてくるんですよ…

 

②520円の追加料金で特急に乗れる「信州しなの回数券」

「信州しなの回数券」は塩尻~松本~長野間の特急「しなの」に使用できるきっぷです。

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信州しなの回数券。1枚で1回特急に乗車できる。

長野~塩尻の一駅↔長野~塩尻の一駅の間で有効で、松本~長野間や塩尻~篠ノ井間などの特急に1回乗車できます。

松本~塩尻間や篠ノ井~長野間なんかにも制度上は使えますし、短距離であっても定価で買うよりお得になります。

 

お値段は4枚で2080円。

1枚当たり520円で特急に乗れる、これまた破格なきっぷです。

 

「1度に4枚も使わないよ」と言う方も金券ショップで1枚550円~650円前後で売っていますので、心配いりません。それでも安いし…

 

松本駅近くの金券ショップ↓

 

 

長野駅近くの金券ショップ↓

 

どちらでも買えますが、長野駅近くの金券ショップの方が安い場合が多いので長野駅で購入されることをおすすめします。

 

また、例えば長野ー松本間の定価の特急料金は1200円なので、新幹線との乗継割引より信州しなの回数券を買った方が安い場合があります。

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姨捨駅付近を通過する特急「しなの」。

かつては「信州特急回数券」という名前で、特急あずさにも使用できましたが、現在では特急「しなの」にしか使用できなくなりました。

(※有効な範囲が富士見駅まで広がっており、「しなの」と「あずさ」を1枚のきっぷで乗り継げるという凄いきっぷでした)

 

思い出話は置いておいて、このきっぷの魅力は「自由席のほかに指定席の空いた席に利用できる」ことと「信州往復きっぷと併用できる」ことです。

 

きっぷには「特急しなのの自由席をご利用になれます」とありますが、公式HPを見ると指定席の空席にも乗車できる旨が書かれています。

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特急「しなの」からは日本三大車窓の一つ、「姨捨」の景色を望むことができる。

最近はそうでもありませんが、特急「しなの」の自由席は混んでいることが多いので、とても助かるポイントです。

ただし、指定券を持ったお客さんが来た場合は当然譲らないといけません。

 

また、先ほどご紹介した「信州往復きっぷ」と「信州しなの回数券」を同時に使うことができます。

「信州往復きっぷ」を乗車券として、「信州しなの回数券」を特急券として使うことで、例えば長野ー松本間の往復で特急を利用する場合、定価から2000円近く安い値段で移動できます。

意外と遠い長野ー松本間

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始発の特急「しなの」が松本に到着する前には、松本ー長野間に快速列車が設定されることがある。189系が使用された「おはようライナー」も塩尻~長野間の速達列車だった。現在では同じダイヤで211系の快速が運行されている。

さて、長野県の県庁所在地である長野市と県内第二の都市の松本市の間は60km以上も離れています。

長野ー松本間の距離は東京駅を起点にすると、東海道線なら平塚、中央線なら相模湖、高崎線方面なら熊谷までの距離とほぼ同じです。

 

長野ー松本間の所要時間は筆者と経験も含めてざっくりと…

  • 自家用車(下道)…1時間30分以上
  • 自家用車(高速)…1時間少々
  • 高速バス…1時間30分以上
  • 普通列車…1時間15分程度
  • 特急列車…50分~1時間

と、若干鉄道の方が早い印象がありますが、ほとんど変わらない感じです。

 

長野市付近の高速道路のICが中心部から大きく離れた場所にあるため、あまり高速道路の速達効果を得られないんですよね~

 

 

そのため、長野ー松本間の高速バスは長野の市街地の中心部まで乗り入れることで、鉄道との差別化を図っています。

ちなみに長野ー松本間のバスの片道料金は1300円で、なんとバスより鉄道の方が安いんですね~。

 

長野ー松本間のお得な移動は「信州往復きっぷ」と「信州しなの回数券」で!

もし機会があればご活用ください~

 

 

 

 

【3月末運転再開】全線復旧間近の上田電鉄に乗る!

台風被害を受けた上田電鉄

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城下駅で折り返す上田電鉄。この先上田駅までの間の千曲川橋梁の工事が進められている。

2019年の台風19号で橋梁が流失した上田電鉄

当初は「存続が危うい」という声もありましたが、橋梁をなおし、全線で復旧することになりました。

 

そしていよいよ2021年3月28日、上田電鉄は全線での運転を再開する見通しです。

今回は全線復旧直前の上田電鉄に乗車します!

 

台風被害後に利用者数は大幅減

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台風で流失した千曲川橋梁。昨年撮影。

上田電鉄は今年度の利用客数が昨年度から14%ほど落ち込む深刻な状況となっています。

 

台風被害によって橋梁の一部が流失した上田電鉄では、上田ー城下間(一駅の区間)で不通となり、バスによる代行輸送が行われています。

 

不通となっている区間は市街地が広がっているため、道路の混雑が激しい区間を代行バスが通らなくてはならず、バスによる所要時間の増加は避けられません。

被災前の通常ダイヤから最大で20分以上も所要時間が増えているのが現状です。

 

代行バスによる所要時間の増加・乗り換えの影響と、感染症拡大のよる利用者数の減少が重なったため利用者数増加から一転、苦しい状況になったと考えられます。

 

全線復旧はこの状況を脱するために最も大切な取り組みの一つなのです。

 

一致団結した「復旧」への想い

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車内の中吊り広告にも存続のプロジェクトが掲げられている。

実は何回も存続の危機を迎えている「別所線」。

筆者もあまり感情移入的な物語は好きではありませんが、別所線の存続への想いは上田電鉄、住民、自治体全てから感じられます。

 

台風で流失した千曲川橋梁の所有権を「上田市」に移すことで「交付税」を使って迅速に橋梁の工事を行ったり、車内や駅にメッセージを貼ったり、保存車両を城下駅の使わないホームで展示したりと、色々とアイデアを出し合って存続への機運を高めました。

 

台風以前から、「将来の高齢化社会を見据えて公共交通機関を利用して残そう」とする取り組みを、上田市が中心となってやっていたことも良い影響を与えていたのかもしれません。

 

利用者も運営者も主体的に存続に向けて団結している姿勢は、今後の公共交通機関の在り方を考える上でも一つのモデルケースになり得ると思います。

 

www.toremor.work

 

上田電鉄別所線に乗車する

上田電鉄別所線、「赤い橋」の今

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7月に訪れた際に撮影した別所線のホーム。現在は立ち入ることができない。

上田電鉄別所線の上田駅は、高架の1面1線の駅となっています。

前回訪問時はホームが広場として公開されていましたが、運転再開の準備のためか、現在は立ち入ることはできません。

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ホームの入口はふさがれているが、きっぷうりばは営業中。グッズ類も販売されている。

入口には運転再開のポスターや代行バスの案内などが貼られています。

きっぷうりばは通常営業をしていて、グッズ類の販売も行っています。

今月売られていた「千曲川橋梁復興記念タオル」はもうすでに売り切れているようです。

 

代行バスは上田駅温泉口から出発します。

一つ先の城下駅までが不通区間で、バスで約7~8分かかります。

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上田駅温泉口から出発する代行バス。

城下駅に別所温泉からの列車が入線する時間に合わせてこのバスは出るので、折り返し列車の城下駅出発時刻よりだいぶ早めに出発します。

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別所線別所温泉方面の時刻表。https://www.uedadentetsu.com/timetable/timetable_besshosen.htmlより。

途中で千曲川を渡ります。

道路の橋から「千曲川橋梁」の様子を見ることができ、7月と比べると橋が復旧していることが分かります。

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上:2020年7月。

下:2021年2月。

流失部分が再建されている。

増水期は工事が中断され、昨年11月から引き続き再開されました。

工事はほぼ最終段階に入っているようです。本当にあと少し!

 

代行バスは途中で住宅街に入り、上田駅の一つお隣の「城下駅」に到着です。

一時的にターミナル駅となっているこの駅には駅員がきっぷの販売や案内を行っています。

おそらくこの光景も全線復旧とともに姿を消すことになると思います。

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城下駅に臨時で設置されている詰所。この駅で列車からすべての人が降りる光景もあ地少し。

臨時で設置されている車止めが印象的です。

このカーブの先に、あの赤い千曲川橋梁があります。

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臨時で設置されている車止め。その先にカーブがあり、赤い橋が見えている。

反対側に回ってパシャリ。

バスがついてから出発まで時間があるので、こんな感じにブラブラできるのです。

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駅の奥に臨時の車止めが見える。

この駅にも熱いメッセージが貼られています。

メッセージを読んでいると、利用者側も運営者側も応援を贈りあっているような、温かい感じが伝わってきます。

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駅に貼られているメッセージ。

利用者促進の取り組みを見る

列車が出発するとしばらく住宅街を走っていきます。

休日だからか、地元の方が多く乗られています。

 

上田電鉄では「乗って残そう」を合言葉に、台風前から利用者を促進する取り組みが行われています。

途中駅にもその取り組みの一部が現れています。

 

こちらは大学前駅。

長野大学の前に駅があるのですが、駅前はパークアンドライドの駐車場になっています。

利用料金は無料で、しっかりとした広さがあり使い勝手が良さそうです。

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大学前駅のパークアンドライド駐車場。この規模の無料駐車スペースは魅力がある。

地方私鉄のパークアンドライドって、この規模の駐車スペースが確保できなかったり駐車場が駅から離れていたりしますが、この駅は駅の目の前にスペースがあります。

 

駐車場は最初砂利だったようですが、現在ではコンクリートで舗装されています。

このような細かな設備投資が意外と利用客に効果がある気がします。

 

下之郷駅で下車

急勾配や急カーブを繰り返して、下之郷駅に着きました。

下之郷駅は日中、対向列車と行き違いをする拠点駅で、車両基地もあります。

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手前の線路に着目すると、急な勾配であることが分かる。

かつてはこの駅から「西丸子線」という路線が分岐していました。

当時(上田丸子電鉄)のホームは現在でも残されています。

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上田丸子電鉄下之郷駅。廃線跡は留置線となっている。

上田電鉄の前身の時代、最盛期には別所線に加えて青木線、丸子線、西丸子線、真田傍陽(さなだそえひ)線が走っており、広大な路線網を有していました。

養蚕が盛んな地域だった頃の名残ですね~

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上田城の堀の下には真田傍陽線の廃線跡があり、ホームも保存されている。

青木線や丸子線は、峠を越えて松本まで結ぶという壮大な計画がありましたが、着工されることはありませんでした。

 

ところで、この駅の最寄りには生島足島(いくしまたるしま)神社という変わった名前の神社があります。

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「いくしまたるしま」と読む。神の名前からとっている。

国弊中社だったとのことで、真ん中のランク(?)の神社らしいですが、「真田昌幸などの武将が神領を寄進し社殿を再建」「武田信玄直筆の書が残る」などかなり大事にされていたようです。

 

筆者は神社について詳しくないので雑で申し訳ありませんが、何とも不思議な境内になっています。まるで堀に囲まれたお城みたい…

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お堀のような境内があるが、これは全国的にも貴重らしい。

この池の中にある神社の造りは、なんと日本最古の形式なんだそうです。

この真ん中にある島に内殿があり、その土間がご神体とのこと。

 

奥には歌舞伎に使われた館も残っています。

思ったより興味深いところでした。

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歌舞伎に使われた館。

終点、別所温泉へ

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下之郷駅に停車していた試運転列車。

下之郷駅から再び上田電鉄に乗車し、終点まで向かいます。

徐々にですが坂を上ってきていることが後面展望をすると分かります。

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別所線はのどかな田園風景の中を走る。

 


八木沢駅に到着。

ピンボケですがなかなか味のある駅で、ミュージックビデオの撮影なんかに使われたこともあるようです。

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八木沢駅。

坂を登り切ると別所温泉駅に到着です。

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別所温泉駅に到着。向かいの保存車両は「丸窓電車」と呼ばれたかつてこの路線を走行していた車両。

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別所温泉駅に到着。

先ほどから乗車してきたこの車両ですが、丸い窓がデザインされています。

この丸い窓、かつて上田電鉄(当時は上田温泉電軌)が所有していた「丸窓電車」の車両のデザインをイメージしたものです。

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先ほどから乗車している車両。

「丸窓電車」はなんと1両も解体されず、全てが保存車両となっています。

別所温泉駅にも展示されています。

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「丸窓電車」の愛称で親しまれた旧型車両。側面の丸い窓にご注目。

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上:「丸窓電車」の車内の様子。

下:現在の丸窓デザインの車内の様子。

確かに雰囲気は現在でも受け継がれていますね~

こんな感じで丸窓から丸窓電車を覗くこともできます。

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丸窓から丸窓電車を覗く!

別所温泉駅は以前にもご紹介しましたが、大変味のある駅です。

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水色を基調とした華やかなデザインの駅舎である。

夜に訪れるとまた違った駅舎の良さを感じることもできます。

再塗装されているので古さや陳腐さは感じませんし、おしゃれな感じがあります。

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夜の別所温泉駅。

この駅からは温泉街だけでなく、北向観音などの神社仏閣へ歩いていくことができます。

この一帯は「信州の鎌倉」と呼ばれ、ちょっと大人な旅をするのにふさわしい場所です。

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別所温泉の駅前。落ち着いた雰囲気の街並みが迎えてくれる。

落ち着いたころに別所線に乗って静かに大人な旅をするのも、おすすめですよ~

 

 

 

【国鉄末期とJR初期】185系と215系を乗り継ぐ中央線の旅

2021年のダイヤ改正で注目される185系と215系

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松本駅に入線する臨時特急「はまかいじ」。

2021年のダイヤ改正では、JR東日本の定期列車として走る最後の国鉄型特急車両、185系の定期運用が消滅することが発表されています。

もともと東海道線の特急「踊り子」に使用されていた185系は、かつて特急「あずさ」に使用されていた257系にバトンを渡しつつある状況です。

 

また、東海道系統の通勤ライナーは特急に格上げされ、「ライナー」用の車両として開発された全車2階建ての215系も運用が無くなります。

 

一見中央線系統に関係なさそうな車両ですが、数年前までは中央線でどちらの車両も走っていて、休日にはこの2形式を中央線内で乗り換えることもできました。

 

今回は、実際に185系と215系を乗り継いで松本から新宿まで移動した2018年のある夏の休日をご紹介します…!

 

 

185系が中央線・篠ノ井線を疾走!臨時特急「はまかいじ」

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松本駅に停車中の臨時特急「はまかいじ」。

2019年の1月まで、松本ー八王子ー横浜間には臨時特急「はまかいじ」の運転がありました。

停車駅は松本を出ると、塩尻、岡谷、下諏訪、上諏訪、茅野、富士見、小淵沢、韮崎、甲府、石和温泉、山梨市、塩山、勝沼ぶどう郷、大月、八王子と、八王子から横浜線に入って、橋本、町田、新横浜、横浜でした。

ほぼ急行列車並みの停車駅で、「かいじ」という名前が付きながら長野県の松本まで走っていたんですね~。

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松本駅にも休日には臨時列車が多く走っていた。現在では松本駅で「横浜」の文字が見られることもなくなった。

臨時列車ではありましたがほぼ毎週末運転されていたので、当時は特に珍しさはなく鉄道ファンの姿もまばらでした。

使用車両は185系の6両編成、全車普通車でした。

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松本駅の留置線に停車中の185系。

「はまかいじ」に乗る

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松本駅からはまかいじに乗車。

では実際に松本駅から乗車していきます。

松本駅に飾られているこの提灯…「松本ぼんぼん」という、道路を封鎖して踊りながらパレードする大きなお祭りに際して飾られているものです。

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特急「はまかいじ」の行先表示。

当然の如く幕式の行先表示ですが、やっぱりこう行先が「くるくる」と表示されるまでの時間がとても夢がありますね~

 

当時ブログを書くなんて微塵も思っていなかったので、テキトーな写真が多いですが車内の様子を見ていきます。

 

なんというか空気が185系という感じ。

個人的には国鉄型特急車両の車内の雰囲気とはちょっと違う、この車両オリジナルの雰囲気がある気がします。

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185系の車内。ブラインドとカーテンの両方が設置されているのは珍しいのではないか。

少々マニアックな話をしますと、座席はR55型という国鉄車両のリニューアルではおなじみの座席が配置されています。

まだまだ座席の下に足が延ばせる時代になるのは先のことで、「ムーンライトながら」などでこのシートに苦しめられた方も少なくないかもしれません。

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座席はR55型。

遅延して出発したため、松本駅を出た途端に猛加速。

鉄道唱歌のオルゴールと肉声放送でしたが、だんだんと唸るモーター音で放送が聞こえなくなります。

ほぼトップスピードのMT54の爆音モーター音は篠ノ井線でも堪能できました。

 

 

 

当時は多分単純に「185系に乗車した記録が欲しかった」若造でしたので、こんな感じで窓が開くところがあるとか、戸袋窓があるとかで満足していた気がします。

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窓が開いたり、戸袋窓があることもこの車両の特徴である。

車両の号数がプレートで入っていたり、水色の表示板で「自由席」と表記されているのも、現在では貴重なものになりました。

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伊豆方面の広告が旅情を誘う。

途中駅で189系の臨時特急「あずさ」とすれ違いました。

中央本線方面も数年前まで国鉄車両はそこそこ臨時で残っていたんですね~

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189系「あずさ」と交換。

何を思ったのか指定席ではなく、自由席に乗ってしまったので「はまかいじ」と印字されたきっぷは筆者のきっぷ入れに保存されていません。

もったいない感じがありますが、その後小淵沢までの自由席という存在が貴重なものになりましたので、これで良かったのかも…?

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当時使用したきっぷ。

何故か洗面所の写真を撮って、小淵沢駅で下車しました。

小淵沢駅から、また臨時列車に乗り換えです。

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185系の洗面台。

おまけ:長野車両センターで185系の運転席を楽しむ

余談ですがその後少しずつ185系の廃車が進み、長野車両センター公開時には解体前の先頭車両の中に入ることができました。

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すでに国鉄特急のシンボルマークが外されているが、幕は「踊り子」の表示になっていた。

車内は電気が通っていませんでしたが、運転席に入ることができました。

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185系解体前の運転席と車内。

なんだか廃車にするのはもったいないな~と感じるレベルで、最後まで綺麗に使われていた様子が読み取れます。

その後この車両は重機の餌に…

215系で走る中央線最後の長距離普通列車「ホリデー快速ビューやまなし」

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良く見ると先頭にDDLの文字が書かれている。

ホリデー快速ビューやまなしは、山梨県の小淵沢から新宿までを結ぶ長距離の快速列車です。

「かいじ」より長い区間を走行する列車で、登山客や観光客には特急料金なしで乗れることから人気でした。

 

ご存知の方も多いかもしれませんが、215系は着席通勤が流行っていた時代に、オール2階建て車両で座席定員を増やした車両です。

「▶▶◣」と書かれた先頭のデザイン、DDL(Double Decker Linerの略称)の文字をかたどったものです。

 

座席定員は増えたものの、ドア数が2しかないので乗降に時間がかかり、活躍の場が縮小傾向に。

最近ではもっぱら東海道線の通勤ライナーと、この中央本線のホリデー快速ビューやまなしにしか使われませんでした。

 

ただこの車両、この「ホリデー快速ビューやまなし」にはずいぶんと向いている車両でした。

山梨県から(特に大月から)はごった返すくらいの客を乗せますが、基本的に八王子や新宿近辺まで降車する客は少数。

人の流れがある程度固定化されているので、乗降に時間がかかるというデメリットもそこまで問題になりませんでした。

ホリデー快速ビューやまなしのグリーン車に乗る

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小淵沢駅から乗車する215系ホリデー快速ビューやまなし号。小淵沢駅からも多くの乗車があるが、座席にはずいぶんと余裕があった。

小淵沢駅からは当駅始発の臨時列車「ホリデー快速ビューやまなし」に乗車します。

この列車に使われる車両は、オール2階建て車両の215系です。

 

今考えれば中央本線に東海道線系統の車両がバンバン走っている面白い時期でしたね~。

 筆者は終点まで乗るので、ゆとりのグリーン車に乗車します。

この列車、自由席は主に大月近辺からの観光客、指定席は観光客と18きっぱーで混雑しますが、グリーン車は価格が高く特急料金とあまり変わらないので、物好きしか使わない傾向にあり、普段から空いていました。

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2階席から見下ろす景色は中央線ではなかなか味わえない。

2階席にはちらほらお客さんが乗っていましたが、1階席は0人……。

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215系グリーン車の1階席。

215系には1階席、2階席ともに網棚がないという特徴があります。

そこまで遠距離の移動をするコンセプトで造られていないので、問題はなかったのだと思います。

どことなくJR初期っぽさがにじみ出ていますね~

 

ドア付近に来てみると、普通列車のグリーン車である感じがとても良く分かります。

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普通列車のグリーン車に書かれている案内表示がこの車両にも貼られている。

 車端部には平屋席も設けられていて、他にお客さんがいなければ個室気分を味わうことができます。

こちらには網棚があるので、大きな荷物があるときはこちらの方が便利かも…

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車端部は平屋席となっている。

この列車、10両編成なんですがモーターが先頭2両と後部2両に偏って配置させているため、発車時には客車のように強めのショックを受けます。

これが215系の醍醐味だったんですよね~

 

途中まで2階席で景色を眺めていました。

普段見慣れない位置から見るのでなかなか楽しかったですね~

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韮崎付近の車窓。

甲府を過ぎ、途中の甲斐大和で特急列車を先に通します。

確か新宿まで1本しか抜かれなかった記憶があります…

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甲斐大和駅で特急列車の通過待ち。

その後も山梨県内を淡々と走行していきます。

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個人的にはこの列車の見どころは東京に入ってからもあると思います。

普段、大月以西から立川以東へ直通する普通列車はこの列車のほかにはなく、かつて走っていた中央本線の長距離普通列車の面影を最後に残した存在ともいえます。

 

中央線の長距離普通列車は、新宿を出ると立川(古くはこの駅も通過)、八王子まで止まりませんでしたが、同区間はこの列車も三鷹、立川、八王子にしか止まりません。

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立川より東を走行する215系は、長距離普通列車の面影が残る。座席はR61型で211系のグリーン車と同形式。

そうこうしているうちに終点、新宿に到着です。

ホームはずいぶんと逸れて、山手貨物線方面へ。

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終点新宿に到着。

向かいには今は無きスーパービュー踊り子の姿が……

JR初期の面々が顔を合わせました。

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反対ホームにはスーパービュー踊り子が到着。

居場所に苦労しながら山手線での運用実績もあるという215系。

今度のダイヤ改正で本当に居場所がなくなってしまうかもしれませんが、思い出としてとどめておこうと思います。

 

そして185系、良くここまで残ったな~と思いますが、最後まで活躍を遠くから見守りたいですね~

豪華な建物で朝食を…松本丸の内ホテルに宿泊

松本城近くの豪華な建物の謎

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松本城の前に立派な擬洋風建築は「丸の内ホテル」のレストラン。

お土産屋さんが並ぶ松本城の目の前の通りで、ひと際目を引くこの大きな西洋風の建築…

筆者は松本に住んでいますが、この建物の中はいったいどうなっているのか前々から気になっておりました。

 

そこでgotoトラベルキャンペーン(少し言葉に懐かしさを感じますが…)を使って、一人この建物を持つ松本丸の内ホテルに試しに泊まってみることにしました……。

 

 

落ち着いた内装の客室

松本の「丸の内ホテル」もお城の近くにあり、松本城から約100mほどに位置しています。

入口は松本城の正面から続く大名町通りより、一本入ったところにあります。

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丸の内ホテルのエントランスは通りから一本それた場所にある。

ホテルのマークはお城をイメージしているのでしょうか。

訪問時はgotoトラベルで安くなっていたせいか、筆者は「普通のビジネスホテルかな~」と思っていましたが、エントランスからあふれる高級感に少し戸惑いながら進みます。

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ホテルのフロント。写真右奥の白い扉で先ほどの擬洋風建築の建物とつながっている。

予約していた部屋は4階にあるようです。

エレベーターを出ると階数の書いてある鏡があります。

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エレベーターを降りて客室へ。

廊下は高級ホテルにありがちで、意外と暗いのでご注意を。

雰囲気は良いのですが、欲を言えばもう少し明るくしてほしいな~と庶民は思ってしまいます。

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部屋の中は意外と明るい。

今回は標準的な一人用の「スタンダードセミダブル」というお部屋です。

ブラウンを基調とした落ちついた感じですね~。

デスクやチェアーも木製でなかなか良いアクセントになっています。

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部屋に設置されているデスク。鏡を倒すと大きなテーブルとして使用できる。

これがそうなのかは分かりませんが、松本では「松本民芸家具」という和洋風の家具が一つの工芸品になっています。

元から松本近辺は木材加工が得意だった歴史がありまして、意外と知られていませんがギターの生産量も日本一です。

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広々としたセミダブルベッド。

ベッドはセミダブルベッド。

トイレもバスも最近の高級ホテルという感じで、使いやすそうです。

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バス、トイレともに清潔感がある。

枕もとにコンセントもあり、便利な造りになっています。

空気清浄機もありました。

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枕もとにはコンセントがある。

写真は撮り忘れましたが、Wi-Fiのほか有線のLANケーブルも備品として置かれていました。

ホテルのWi-Fiって時々接続がおかしくなるので、個人的にはホテルではLANケーブルでつなぐ方が好きです。

 

訪問時はgotoトラベルキャンペーンをやっておりましたので、地域共通クーポンを使って夕飯と散策に出かけます。 

夜の松本城を散策

「密をさけて」とか「ずらし旅」などが叫ばれていますが、地元から「こんなのどうですか?」というご提案。

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夜の松本城はライトアップされる。

これがこれからの新定番「夜の松本城」

平日ということもあり、ご覧のように空いております。

 

天守へは上がれないこの時間ですが…

夜の松本城はライトアップされ、松本城の「黒」がより一層映えるのです。

風がなければこうして逆さ松本城が…

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風吹いてないのに…

逆さ松本j…

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…!

逆さ松本城を堪能できます。

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逆さに映る松本城を楽しむことができる。

余りにも夜遅いとライトアップが消えてしまいますが、その時はその時の美しさがあるります。

 

松本で暮れてしまってもがっかりせずに、一度お城に行ってみることをお勧めします!

「かつ玄」本店で夕食!

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かつ玄本店は松本城近くにある。

松本では蕎麦を食べる以外にも、グルメがたくさんあります。

そのうち今回ご紹介するのは老舗のとんかつ屋さんです。

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店内は木製製品でまとめられている。椅子はかつて、松本深志高校で使用されていたものらしい。

松本城から歩いて5分強、「かつ玄」本店で夕食をいただきます。

お茶と季節の品3品がお通しのように出てきます。

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お通し?のようなシステム。

とんかつ四味定食を注文。

1250円ととんかつ屋にしてはリーズナブルな価格設定です。

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とんかつ四味定食(1250円)。一部好みの種類を選択できるが、冬季のカキフライは絶品なのでおすすめ。

信州の豚を使ったメニューもあり、観光で「土地のもの」を召し上がりたい方も十分楽しめると思います。

 

筆者は地域共通クーポンを使ったので250円のお支払い…。

食べ物にこのクーポンを使うとかなりお得感がある気がします。

 

元銀行だった豪華な朝食会場

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丸の内ホテルのレストラン棟となっている。

さて、 ようやく本題ですが丸の内ホテルに繋がっているこの豪華な建物…。

朝にはホテルの朝食会場になります。

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中も豪華な造りになっている。

なんというかワンランク上の朝を迎えた感じがあります。

ピアノもあって、パーティー会場として使われることもあるようです。

 

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ピアノも置かれている。

朝食は半分バイキングのような形式。

サラダとか飲み物、デザートは確かセルフサービスでした。

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朝食は品数が豊富。特に前日に注文しておいたフレンチトーストが美味でした。

この建物は朝食会場として使われていますが、 午後からはレストランやカフェとしても使っているようです。

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午後は大きな通りの入口も空いている。

宿泊しなくてもこの建物に入ることはできるみたいです!

この朝食会場からトイレに向かう通路には何やら堅牢なドアが…

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やたらと堅牢なドアの正体は…

この建物、1937年に建てられた旧第一勧業銀行松本支店を改装したものだそうで、この扉は当時のまま残されているようです。

松本市街地は太平洋戦争で焼けていないため、こういう建物を今でもちらほらと見ることができるのです。

意外と多い松本の擬洋風建築たち

ここで少し、松本市街地周辺に残る「擬洋風建築」を見ていきます。

「擬洋風建築」とは、幕末から明治にかけて、文明開化の時代に大工が西洋の建築に似せて建てた建物のことです。

先ほどの丸の内ホテルのレストラン棟もこちらにあたります。

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再程紹介したこちらの建物も擬洋風建築とされている。

松本周辺に見られる擬洋風建築は、大工が東京近辺に建てられていた西洋建築を見て、見よう見まねで造ったそう。

 

筆者は建築に詳しくないので、間違っていたら申し訳ありませんが、こちらも見よう見まねでそれらしい建築物をご紹介します。

どれもこの松本丸の内ホテルから徒歩圏内です。

 

代表格は2019年に国宝に指定された、旧開智学校です。

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旧開智学校は擬洋風建築の代表格と言える。

これは但し書きもありまして、擬洋風建築で間違いないと思います。

館内も綺麗に保存されており、入場料を払えば見学することができます。

 

次はこちら、銭湯「塩井の湯」です。

筆者が松本市内の銭湯の中で最も好きなこちらの銭湯も擬洋風建築と思われます。

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銭湯「塩井の湯」。

「塩類鉱泉」とありますが井戸を沸かした銭湯で、常連さんや番頭さんも優しく、身も心も温まる良いところです。

 

続いてこちらは病院…。

もともとは産婦人科だったらしいのですが、なんとお医者さんが独自に設計し地元の大工が作ったという話もあります。

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宮島耳鼻咽喉科。

松本城から少し東にそれた「上土町」と呼ばれる地域には擬洋風建築と思われる建物が数多く見られます。

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上土町周辺に見られる西洋風の建物。

松本というとお城や中町通り、縄手通りなどの城下町と湧水巡りが一般的ですが、擬洋風建築を探しながら歩くのも、視点としては面白いのではないかと思います。

 

ほかにも旧制松本高校跡(あがたの森公園)などにも古くからの建築が残されており、建築物にご興味がある方は意外と楽しめるかもしれません。

 

機会がございましたら是非、松本近辺を建築物に注目しながら歩いてみるのはいかがでしょう…?