toremorの旅手帳

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【碓氷峠で鉄道を考える②】廃線とその後、鉄道文化むらに行こう!

北陸新幹線長野開業とともに廃線となった、

信越本線の碓氷峠越え、横川ー軽井沢間。

 

前回は長野県側、3セク化された「しなの鉄道」の戦略を紹介しました!

www.toremor.work

 

今回は、廃線後の峠越えの区間を走るバス代行と、

横川駅周辺の現状から、鉄道を考えます!

 

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軽井沢駅から碓氷峠方面を見る。手前側のしなの鉄道(旧信越本線)の線路が奥の峠側まで続いている。

横川ー軽井沢間

碓氷峠を超える区間はバスに転換

軽井沢駅から横川駅に至るまで(碓氷峠越え)は、

現在はJRバスが運行されています。

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軽井沢駅。旧信越本線の木造の屋根と新幹線の豪華な跨線橋。新しいものが古いものに混ざる雰囲気は、ほかの軽井沢の観光地にも言え「らしさ」があると筆者は思う。

 

廃線前は、特急列車も普通列車も機関車を連結しなければ、

峠を上ることも、下ることもできないような難所でした。

 

新幹線開業後、在来線特急「あさま」は廃止されることはほぼ決定的でしたが、

その区間自体が廃止になることに、住民は反発。

 

しかし結果的には廃線になりました。

 

では、バス転換された区間にどれだけの利用者がいるのでしょうか?

実際に乗ってみます。

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横川ー軽井沢間はJRバスが運行。休日を中心に観光地を回るルートが運行されることもあるが、基本的には直行便となる。観光地を回るダイヤは、周辺道路の混雑によって定時性が損なわれる傾向にあるため、ここ最近は減少の一途を辿る。

乗客は休日の昼、出発の段階で10人程度。

バスの本数は多くて一日9往復です。

これは廃線前の横川ー軽井沢間の普通列車の本数より多いです。

 

運賃は前払い式で片道510円。所要時間35分。

廃線前より運賃は高く、時間は10分程度長くなりました。

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碓氷バイパスを走る路線バス。バスに乗っても相当な高低差を感じることができる。

 

もし、横川ー軽井沢間を廃止にしていなけらば、

相当な赤字路線になっていたはずです。

 

利用者が少ないのに、専用の機関車の付け替えをして難所を走るわけですから、

コスパが悪いってわけです。

 

横川ー軽井沢間に信越本線が通っていた時代も、

特急列車こそ多く走っていましたが、普通列車は一日7本程度。

 

当時を知る人に伺うと「普通にはあまり人は乗っていなかった」

といいます。

 

したがってバス転換されてしまったのは、

「JR東が意地悪だから」ではなく、

利用者が少なかったからにほかなりません。

 

この区間の廃線は、残念ながら、

現実的な決定だったのではないかと思います。

 

横川駅周辺

 色褪せない日本随一の駅弁、「峠の釜めし」

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横川駅の隣にある、峠の釜めしを販売する「おぎのや」の本店。

ところ変わって群馬県側、峠の麓、横川駅。

 

この駅は碓氷峠を鉄道で越えていたころ、機関車をつないだり切り離したりする重要な駅でした。

 

機関車の連結、切り離しの時間、お客を乗せた列車は止まったままですから、

この時間を利用して駅のホームで駅弁の立ち売りが行われていました。

 

その時に販売されていたのがこの「峠の釜めし」。

駅でこの釜めしを買って、車内で食べるというわけです。

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当時「横軽」を駆け抜けた特急「あさま」に使用された189系の車内で食べる峠の釜めし。この車両はリニューアルされていて備え付けのテーブルがあるが、オリジナルは設置されていなかったため、窓のスペースに釜めしを置いていたらしい。そのため窓ガラスに「峠の釜めし」の縁によって擦れた跡があるといわれているが、この目で見たことはない。

容器は益子焼でつくられ、栗や鶏肉、うずら卵や椎茸がのっています。

具の下には昆布だしで炊いてあるご飯が入っていて、なかなか美味。

「温かくして食べる」ことを念頭に入れてある、珍しい駅弁です。

 

峠越えの区間(通称:横軽)が残っていた時代から人気の駅弁だったのようで、

「駅弁を買えるようにするために横川駅で長時間停車していると勘違いしている人がいた」などという噂を耳にしたことも……。

 

 

しかし「横軽」が廃止された今でも、横川駅の構内で駅弁売りの「釜め~し!」という声が響いた時代を知らない筆者の世代でも、

これが名物であると認識されているというのは、よく考えれば凄いことです。

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日本随一の駅弁と評された横川駅の駅弁「峠の釜めし」。現在でも横川駅近くの店舗でいただくことができる。

実際に「峠の釜めし」は、横川駅の本店だけではなく、周辺のドライブインやSAで購入することができ、時々都内のスーパーやデパートでも売っています。

 

横軽があった時代から実は横川駅以外でも販売されていたらしく、

ドライブインでは上の写真のように、店内で食べることもできたそうです。

 

この駅弁が「メインであった駅での立ち売り」が廃止されてからも生き残った理由は、

単純においしいからだけではなく、廃線前から幅広く店を展開していて、現在でも名物として観光客に親しまれているからだと考えられます。

 

因みにこの釜めしの益子焼の容器、ほかのブログで多数紹介されているように家でこれを使ってご飯が炊けます。

 

めんどくさい!という方、ご飯を1から炊かなくても、この容器に炊き込みご飯を入れてチンしても結構おいしいです…!

 

 

「碓氷峠鉄道文化むら」の厳しい状況と奮闘

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碓氷峠鉄道文化むらの入ってすぐの展示スペース。碓氷峠66.7‰の勾配標とラックレール(碓氷峠を越えるルートが完成した当初に導入された、車両側の車輪と車輪の間につけた歯車と、線路の方の凹凸を嚙合わせることで急勾配に対応したレール)、奥には特急「あさま」などに使用された189系や、横軽に特化した電気機関車EF63が展示されている。

 

横川駅の隣には碓氷峠鉄道文化むらという体験型施設があります。

横軽時代にEF63をはじめとした電気機関車が留置されていた横川運転区の跡地を利用してつくられたものです。

 

ここで紹介するとかなり長くなるので割愛しますが、

この施設の展示はかなり豪華で、ファンが見てもかなりの見ごたえです。

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国鉄時代の計画の名残で、横軽で活躍した車両以外にも全国各地の車両が集められている(特に電気機関車)。屋根がついていないのがもったいないが、それはこの施設の経営状況を示すものでもある。

青空の下、往年の寝台車や電気機関車、ジョイフルトレイン(団体列車用につくられた車両)が並んでいて、飽きないものです。

 

子供も楽しめるトロッコや、旧信越本線の線路を活用した観光路線もあり、

子連れから大きいお友達まで楽しめる仕様になっています!

 

EF63電気機関車はなんと動態保存され、

複数回の講習を受けることで、EF63の運転ができるプログラムもあります!

 

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旧信越本線を利用したトロッコ列車は、その急勾配を車両の中から体験することができる。近年延伸された。

旧信越本線を走るトロッコが近年延伸されるなど、順調のように思われる文化むらですが、

実際は休日の昼でも、お世辞にも賑わっているとは言えない雰囲気……。

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保存されている189系はかなり傷んでいる。立地の割に抱えている車両や施設が多くなかなか修理にお金が回らないようにも見える。

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最後に運転された189系の塗装と比較すると余計痛々しい。

サポートプログラムなどで寄付金を集めるなどの取り組みが行われているものの、依然として厳しい経営状況が続いているようです。

 

展示車両は錆びついたものも多く、強い風が吹くと不安な物音がすることもあります。

こちらにはなかなか費用が回せないのでしょう……

 

列車の保存には多額の費用が必要です。

それをどのように捻出するのか、またどこまで維持するのかは、

住民や利用者の熱意や運営側や自治体の理解次第だと思います。

 

碓氷峠鉄道文化むらは現状の程度に比べて極めて積極的に保存を行っている気がしますが、そのことがあまり周知されていないのかもしれません。

 

鉄道に興味のある方、いやそうでない方も碓氷峠の歴史を知るためにも

碓氷峠鉄道文化むらに是非、訪れてみてほしいところです。

ja.wikipedia.org

www.usuitouge.com


 

「観光路線として復活」説のゆくえ

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 時折、「横川ー軽井沢間に観光列車を走らせて復活させる」という計画ができたり消えたりしています。

 

確かに、廃線跡は観光地になっているところもあり、つながれば観光コースになる可能性はあります。

 

ただ、

  • 碓氷峠鉄道文化むらの経営状況を見るにそこまでの資金的な体力がない
  • そもそも日常的に碓氷峠を越える需要が少ない
  • 難所であることには変わりなく、おそらく運営に多額な経費が掛かる
  • 群馬県、長野県と県境をまたぐので自治体の足並みをそろえる必要がある
  • 横川駅のアクセスに時間がかかる(行きにくい)

など課題は山ほどあります。

 

一方、廃線跡で普段は入れない区間をウォーキングして楽しむツアーが人気を博したり、

レールバイクという、自転車のようなものを線路に走らせる計画ができたりと、

多くの人から愛された路線であるからこそのアイデアが生まれています。

 

多くのアイデアから、現実的でありながら人が集まるようなプランを練る必要があります。

www.jomo-news.co.jp

 

まとめ

峠の釜めししかり、碓氷峠鉄道文化むらしかり、多くの人に愛され、

そして今でも「使われている」から生き残っているように感じます。

 

形を変えることで、時代にあった形で残すことは難しいですが、

「保存」するうえでは必要事項なのかもしれません。

 

今後の動向にも注目です。

そして行きましょう!碓氷峠鉄道文化むらへ!