700系はなぜ東海道新幹線から引退するのか
2020年3月8日をもって、東海道新幹線から700系が引退します。
700系新幹線は1999年に運用が開始されて以来、東海道・山陽新幹線のスタンダードとなり活躍しました。
この700系、九州新幹線の800系や台湾高速鉄道のベースとなっていたり(中身はほぼ同じで若干改良されている)、現在東海道・山陽新幹線の主力車両であるN700系もこの車両を土台にして開発されたりと、かなり基本設計が優秀なようです。
ところで、なぜそこまで優秀だった700系は東海道新幹線から引退するのでしょうか?
700系の老朽化が進行しているのも理由の一つですが、東海道新幹線のほとんどがN700系へと置き換えられた今、700系は相対的にスペックの低い車両となっています。
起動加速度 | 最高速度 | 車体傾斜装置 | 座席のコンセント | |
---|---|---|---|---|
700系 | 2.0km/h/s | 285km/h | なし | なし |
N700系 | 2.6km/h/s | 300km/h | あり(+15km/h) | あり |
特にカーブが多い東海道新幹線では、カーブを曲がるときに700系よりも+15km/hで曲がれる車体傾斜装置を搭載したN700系がかなり優位と言えます。この装置のおかげで東海道新幹線内では700系の最高速度は270km/hであるのに対して、N700系は285km/hとなっています。
過密ダイヤを捌く東海道新幹線では、「ひとりだけ遅い奴がいる」とダイヤに制約が生まれてしまうので、高スペックな車両で統一した方が良いというわけです。
あと、「今の時代にビジネス利用の多い新幹線でコンセントがない」というサービス面の陳腐化も理由の一つと考えられそうです…。
事実、700系が東海道新幹線から引退した後の3/14のダイヤ改正では、「のぞみ」が増発され最大1時間に12本(!)走るようになります。また、所要時間も短縮されます。
引退間近!700系には喫煙車が残っている
700系の引退と同時に消えるものがまた一つ。
それは「東海道新幹線の喫煙車」です。
2020年2月現在、日本のほとんどの鉄道で「喫煙可能な車両」はありません。
筆者が子供のころにはちらほら喫煙車が残っていたんですがね…時代の流れですね…
ということで歳がバレそうな筆者が背伸びをして平成初期の大人を満喫する(?)ため、700系喫煙グリーン車に乗車…。
700系の外観を観察!
乗車した車両はJR西日本車。青いJRマークと座席(?)、車内チャイムがJR東海車と異なります。
JR東海所属の車両で貼られている「ありがとう700系」マークは、JR西日本所属の車両にはついていません。撮る方は要注意。
700系って窓が大きくて、子供の頃から車窓が広く見えて好きだったんですよねー
700系のグリーン車の車内を観察!
700系の喫煙グリーン車は基本的に空いてます。
グリーン車の車内は落ち着いた暖色系の照明に濃い灰色~紫色の座席、カーペットが敷かれています。
グリーン車の設備はN700系と比べてかなり差異があります。
N700系ではコンセント、レッグウォーマー、座席に付いている読書灯にラジオがついていますが700系には未搭載。さすがにサービス面は劣ります。
座席の座り心地は良く、この辺りは申し分ありません。
ついでに違う編成のグリーン車の座席は筆者の家で現役に運用されております……
続いてテーブル。座席横から取り出すタイプです。
これがなんとも残念で、2つ折りになっているテーブルを広げると、反対側のひじ掛けにあたってしまい平らになりません!(実は写真の状態でくの字に曲がっている)
なんなんだこれは…
座席に座って上を見ると700系独特のゴツゴツとした天井が見えます。
この網棚下部に見られる突起は空調で、このシステムを採用することでかなり空調の効果が良くなったとのこと。デザインは目立たなくなりましたが、このシステムはN700系にも採用されています。
また、座席と座席の間にはボタンがあり、これは網棚から照らされる読書灯のスイッチとなっています。
新幹線で堪能する珈琲と煙草の香り
ところで、車内販売では期間限定で700系登場時に提供していたコーヒーの味をイメージした「オールドビーンズブレンド」なるホットコーヒーが販売されています。
ありがとう700系キャンペーンのデザインでコップが良いです。
苦みが強い感じで筆者は好みですねー。
新幹線の中で香る、タバコの匂いと珈琲の香り。昭和の面影がまた一つ姿を消しそうです。
※卒論提出のため、長らく更新が停止しておりました。申し訳ございません!
これからも気ままに投稿します。よろしくお願いいたします。