「時間をかける」という贅沢
今回ご紹介するのは、なんと長距離フェリー。
名古屋から仙台まで、飛行機を使えば1時間少々のところ、約22時間をかけてゆったりとしたひと時を楽しみます。
普段、鉄道旅が多い筆者ですが今回はプレミアムな船旅を。
こういう旅行は学生の次は老後かも…という焦りから(?)、今回は船の前面展望を個室から満喫できる太平洋フェリーの「特等和室」を用意!
乗船時は閑散期だったので、追加料金なく部屋を独り占め。
学生が一人で、黙々と騒いでいた様子をご覧いただきます!
名古屋駅から名古屋港まではバスでアクセス
名古屋駅から金城ふ頭手前の名古屋港まで、一番便利なのは名鉄バスセンターから名古屋港まで直通するバスです。
太平洋フェリーの名古屋ー仙台間は隔日の運航なので、このバスも隔日の運行です。
フェリー運航日以外はアクセスするバスも運休します。
(※現在はコロナのため運休しています)
港まで30分~40分くらいでしょうか、結構距離がありますが段々と海が近づくに連れて気分も上がります。
いざフェリー「いしかり」に乗船!
フェリー乗り場の雰囲気は空港によく似ています(本来は逆ですけど)!
乗船手続きを済ませ、きっぷを受け取ります。
あぁ…チケットっていうのかな…?
鉄道のきっぷとは違ってフードコートの食券みたいな感じです。
今回は個室を利用するので、チケットと同時にカードキーも受けとります。
ホテルのチェックインのような手続きを済ませ、いざ乗船。
ほえぇ…なんだこれは…
フェリーというよりはクルーズ船に近い内装です。
筆者も何回かフェリーには乗ったことがあるのですが、こんなに凝った内装は初めてでした。
このフェリーの運航中に人間がウロウロできるのは5デッキ~7デッキの3階分。
今回予約した特等和室は7デッキ、最上階にあります。
ホテルの廊下みたいな通路を進み、特等和室に入ります。
船の前面展望を楽しめる「特等和室」
特等和室は船の正面に位置しています。
障子越しに窓があって、船の進む方向の景色が楽しめるのです。
室内はほぼ旅館の和室と遜色ありません。
和室なのでベッドではなく、布団を敷きます。
定員は3名なので布団は3つおかれています。
綺麗なバス・トイレに広々収納、冷蔵庫も完備。
ルームウェアもあります。
なかなか良いデザインで、着心地もいい感じです。
翌朝になってブラインドを開けると、水平線が広がっていました!
(横から見ても水平線は広がってみえるか…)
船内を観察!
快適な5デッキの大浴場
5デッキは大浴場とお土産コーナー、S寝台とB寝台があります。
B寝台というと鉄分多めの筆者は、あんなものやこんなものを想像しますが綺麗なカプセルホテルのような造りをしているようです。
大浴場は当然ながらオーシャンビュー。
露天風呂はありませんが、大きな内風呂の浴槽が2つ。
よく考えれば、大きな浴槽で身体を伸ばせる移動手段は、フェリーくらいしかありません。
ただ波があると、船の揺れによる波と普段の湯舟の波が合わさって、何とも言えない気持ち悪さがありますので、酔いやすい方はやめておいた方がいいのかも……
広々とした更衣室で洗面台の数も豊富です。
お風呂上りには新幹線でおなじみのあのアイスもいただけるみたいです。
6デッキはレストランとカフェ、シアタールームも完備
6デッキにはレストランやカフェ、シアタールームやカラオケルームなどの娯楽施設が並びます。
3月中でしたがもうすでにコロナ対策として、シアタールームやカラオケルームは閉鎖されていましたが、ホームページからは結構な広さのシアターを有していることが伝わります。
レストランは通常バイキングのようですが現在は夕食1000円、朝食500円、昼食800円の2種類を選択できる定食になっています。
夕食時には乗船時にご一緒した方にお酒をごちそうになりました。
一期一会を楽しむのも一人旅の醍醐味の一つです。
レストランも当然オーシャンビューで、落ち着いた雰囲気です。
食事は美味でコストパフォーマンスとしてはかなり高い気がしますが、量が多いので小食の方はカフェで軽食をいただくのがいいかもしれません。
カフェでコーヒーブレイクをとるのも良かったですよ~
オリジナルデザインのクッキーもついてきました。
結構クッキーがおいしい…
7デッキからは外に出て大海原を体感できる
7デッキは特等や1等客室のほか、2等というサンライズエクスプレスのノビノビ座席に近い大部屋、海原を展望できる甲板があります。
太平洋フェリーでは夜間も甲板へ立ち入ることができ、名古屋出港時には夜景を、仙台港入港前にはすれ違いを見ることができます。
良いですよね~無心に海原を見つめるのって…
フェリーに乗船すると電波も通じずやることがなくなるので、ゆったりとした時間を強制的に楽しむというのか、究極の暇というのか、これがまた醍醐味です。
部屋に戻って昼寝をしたり、カフェで間食をとったりしていると、意外とあっという間に目的地に着いてしまうものなんですよね~不思議。
福島沿岸では、おそらく現在の公共交通機関で唯一、福島第一原発の全貌をフェリーから見ることができます。
仙台港に到着、港から歩いてみると…
目的地の仙台港に到着です。
ロープを結んで、こうやって前面が開いて…
車が行き来できるようになります。
この船はそのまま苫小牧まで行くのですが、今回は残念ながら仙台で降ります…なんか寂しい…
名古屋から苫小牧まで乗船する方も、仙台港で一時下船ができるようです。
仙台港からは仙台駅や多賀城駅までバスが出るみたいですが、船内で身体がなまってしまったので多賀城駅まで歩くことにしました。
しばらくは何もありませんが、多賀城駅付近に名所「末の松山」があります。
百人一首で有名な「契りきな かたみに袖を 絞りつつ 末の松山 浪こさじとは」の末の松山です。
大津波がここを越えることがないように、心変わりをしないことのたとえに用いられてきた「末の松山」。
東日本大震災の津波でも、末の松山は越えなかったそうです。
時間の贅沢を味わう船旅…また行きたいですね~