toremorの旅手帳

鉄道と旅行と温泉と。大学生の放浪の様子をご覧ください。

【駅ビルもあった】中央本線かつてのメインルート、辰野駅を探索

中央本線の「旧メインルート」

f:id:toremor:20200801195825j:plain

東京から塩尻を通って名古屋へ向かう中央線。

 

長野県内の岡谷駅から先はルートが二つに分かれます。

①塩嶺トンネルを抜けみどり湖駅を通り塩尻に向かう新線

 

②辰野駅を通る大八廻り(旧ルート)

 

 

現在では中央本線のほとんどの特急列車、普通列車は①の新ルートで走行します。

今回はかつてのメインルート「大八廻り」の主要駅、辰野駅の魅力をご紹介。

 

 

「大八廻り」の特急停車駅、辰野駅

f:id:toremor:20200801195843j:plain

大八廻りは「だいはちまわり」と呼び、中央本線の旧メインルートだった路線です。

上の地図を見ると分かるように、かなり遠回りなルートです。

 

中央本線のルートを計画する際に、木曽谷経由(現在の中央線)と伊那谷経由(現在の中央道)の2つの案があり、木曽谷経由に決定しました。

ところが、当時の鉄道局長であった「伊藤大八」が、自らの出身地である伊那谷に中央線を通そうとしたという説があり、これが大八廻りと呼ばれる所以です。

 

これを「我田引鉄のはしり」と紹介する人と、「建設当時の技術では塩嶺トンネル(現在のメインルート、トンネル長さ5994m)は掘れなかった」と紹介する人がいます。

 

個人的には後者の方だと思います(事実、塩嶺トンネルの建設工事は難工事だった)が、どちらの要素もあったのかもしれません。

 

話が遠回りしているので元に戻します。

大八廻りの主要駅は、飯田線と中央線が乗り入れている辰野駅です。

特急「あずさ」急行「アルプス」「こまがね」などの優等列車も停車していました。

 

JR化されてからは飯田線がJR東海、中央東線がJR東日本の管轄になったので、両社の境界駅となっています(正確にはどこかの場内信号機が境界だとかなんとか)。

f:id:toremor:20200801200125j:plain

f:id:toremor:20200802215032j:plain

辰野駅を出発して左手に飯田線が分かれ、右手に進むと中央東線の塩尻駅方面へ向かう。

 

長大ホームと貨物用の着発線が残る

先ほどもご紹介した通り、優等列車の停車駅であった辰野駅はホームが長めに造られています。

f:id:toremor:20200801200119j:plain

長大ホームに停車する大八廻りの中央東線の普通列車と飯田線の普通列車。

現在では定期特急列車の停車はなく急行列車も廃止されているので、主に2~3両の普通列車のみの発着となっています。

 

12と書かれた停車位置目標もあります…特急「あずさ」もこの辺りまで来ていたのでしょうか。

f:id:toremor:20200801200208j:plain

「12」と書かれた停車位置目標。

旅客用ホームは0~3番線が使われています。

飯田線からの列車の交換と塩尻方面の中央東線が同時に停車することもあるので、ホームの長さは余らせていますが、容量は現在でも役に立っています。

f:id:toremor:20200802210203j:plain

辰野駅の旅客用ホーム。

旅客用ホームではない側に目を向けると、そこそこの大きさの貨物用着発線があります。

f:id:toremor:20200801195952j:plain

貨物列車の着発線。現在は使用しないが側線も含めて9番線まである。

2009年まで根岸駅から灯油やガソリンの貨物輸送があったらしいですが、それ以降は貨物列車は発着していないようです。

 

ところで、辰野駅の時刻表を見てみます。

f:id:toremor:20200801195849j:plain

f:id:toremor:20200801195908j:plain

当駅からJR東海とJR東日本が分かれる。

辰野から岡谷方面は、飯田線からの直通列車が多数運行されているので本数は多め、一方塩尻方面は非常に本数が少なくなっています。

辰野→塩尻の移動をする際、時間帯によっては岡谷駅まで南下し塩嶺トンネルで塩尻に向かった方が早い時もあります。

 

飯田線方面はというと、本数も(この周辺にしては)多いですが諏訪周辺から伊那市付近までの区間利用が多いため、列車内も混雑する傾向にあります。

 

辰野駅にはかつて駅ビルが存在した!

改札から出まして振り返ってみると、何やら駅ビルのような看板がついています。

f:id:toremor:20200801195927j:plain

f:id:toremor:20200801195932j:plain

辰野駅の外観。2階があったらしい。

リュシオール…

「これは何だ」と思い調べてみたところ、中央東線の新ルートが完成して、辰野駅に特急の停車がなくなる見返りとして建設された駅ビルだったようです。

 

建物に近づいてみると、確かに階段で上に登れるようになっていた痕跡があります。

f:id:toremor:20200801195914j:plain

f:id:toremor:20200801195920j:plain

このシャッターの裏に階段があると思われる。

看板にはVideo Rental TACとありますね~

建物の大きさとしてはさらに複数の店舗があった感じがあります。

 

当然というと失礼ですけれど、この駅ビルの店舗も長くは持つはずもなく……

現在では全く営業していません…。

 

辰野駅と発車メロディー

県内を知る方であれば一般的に「辰野といえば蛍でしょ!」と言われますが、発車メロディーなどに詳しい、いわゆる「音鉄」と呼ばれる方には発車メロディーで有名な駅です。

 

今や貴重(?)になりつつあるサウンドファクトリー製の発車メロディーが現役で、SF10-31やSF10-12(For Tomorrow)という曲が使われています。

接近放送も珍しいものが使用されているとのことで、18きっぷシーズンに収録されている方を見かけてことがあります。

 

実は発車メロディーを取り扱うボタンを押すスイッチをつくる工場が辰野にあるようです。

f:id:toremor:20200801195900j:plain

f:id:toremor:20200801195854j:plain

分かる人には分かるスイッチかもしれない。

この春日電機さんはパトライトなんかもつくっているようです。

交通関係のスイッチに強いのかな…? 

まとめ

f:id:toremor:20200801200151j:plain

中央東線大八廻り、小野~塩尻間で東塩尻信号場跡を通過中~

定期優等列車が停車しなくなった辰野駅。

辰野駅に最後に特急列車が入線したのは、確か数年前に189系で運転された木曽あずさ号だったのではないでしょうか。

JR東日本と東海を直通する臨時特急で、新宿から南木曽までのロングラン列車でした。

 

優等列車が停車しなくなり設備は余らせ気味になっても、飯田線との接続駅という機能は健在で現在でも賑わいを見せることもあります。

 

辰野駅から塩尻駅にかけての本数の少ない区間には、最近密かに人気の東塩尻駅という廃駅もあります。

 

www.toremor.work

 

マニアックでディープな中央線の大八廻り、機会があったら是非一度ご乗車になってはいかがですか~?

 

↓鉄道コムに戻る

 鉄道コム