toremorの旅手帳

鉄道と旅行と温泉と。大学生の放浪の様子をご覧ください。

甲信地域最大の貨物ターミナル、南松本駅を観察

意外と規模の大きい貨物駅

f:id:toremor:20200820131428j:plain

7:31、EF64国鉄色の重連が牽引する四日市行きの定期貨物列車が南松本駅を出発する。

松本駅から塩尻方面へ一駅南下、南松本駅は甲信地区最大の貨物ターミナルとなっています。

主に石油輸送と一部コンテナ輸送が行われていますが、関東方面や名古屋方面、四日市駅との間で、合わせて一日10往復程度(?)の定期列車の運行があります。

 

長野県の石油輸送は、古いデータですが8割が貨物のシェアなんだとか。

(なるほどガソリンが高いわけだ…)

 

また、中央線名物EF64重連の貨物列車も当駅では多く見られます。

が、筆者はあまり貨物について詳しくはないのと、撮る方は初心者なので今回はざっくり、雰囲気だけでもお楽しみいただければと……

 

 

南松本駅は石油の輸送量が多い

f:id:toremor:20200820140350j:plain

今でこそ甲信地区最大の貨物ターミナルとなった南松本駅ですが、もともと戦時中に軍需工場の輸送駅として開業しました。

 

そもそも車扱(専用の貨車を使って1両単位で貸切って輸送する方法:現在では石油などの輸送がこれにあたる)の駅として開業したため、コンテナを扱うエリアでは近年まで改良工事が重ねられていました。

 

1970年には17本の専用線が発着していましたが、現在はわずかとなりました。

しかし2003年には交通新聞社の貨物取扱量、「車扱い」で全国5位にランクイン。

現在も石油の輸送が盛んです。

 

本線の西側に1本、篠ノ井線に平行する形で公共線が伸びており、そこからジャパンオイルネットワーク、日本オイルターミナルへ至る専用線が分岐、現在でも使用されています。

 

 

以前は岡谷酸素や太平洋セメント、タケヤみその専用線などで2000年代までは発着があったようですが、現在は廃止されています。

 

跨線橋からターミナルを俯瞰

f:id:toremor:20200820140753j:plain

南松本駅を俯瞰。写真右手奥がコンテナのターミナルとなっている。

南松本駅南方の跨線橋にやってきました。

この位置からですとやや貨物ターミナルを俯瞰できます。

写真右奥にコンテナホームがあり、2面2線の構造です。

 

もう少し本線の近くまで移動します。

南北に長く、規模も意外と大きい…

f:id:toremor:20200820142431j:plain

跨線橋より北側(松本方面)をのぞむ。

跨線橋より南側をのぞむと、一番右手(西側)に一本線路が伸びていることが分かります。

これが公共線で、日本オイルターミナル松本営業所などへ延びる専用線へとつながっています。

f:id:toremor:20200820142413j:plain

跨線橋より南側(塩尻方面)をのぞむ。

因みにこの跨線橋の下には宮田前踏切という踏切があるのですが、貨物の入れ替え作業をするたびにこの踏切を閉じなければならないので、地元では「開かずの踏切」として有名です。

 

こんなところにもあったのか…開かずの踏切…

f:id:toremor:20200820152219j:plain

宮田前踏切。踏切両サイドに交差点があるため、危険でもある。アンダーパスを通す計画がある。

北側にはコンテナのターミナルが存在

駅の北東側ではコンテナの取扱をしています。

f:id:toremor:20200820144839j:plain

南松本駅北東側ではコンテナがきれいに並ぶ。

こちらは規模が小さいですが近年も改良が加えられ、まだまだ現役です。

遠くに篠ノ井線の本線が見えます。

朝の時間は頻繁に行き交いますが、塩尻―松本間は地方には珍しい「黒字路線」です。

f:id:toremor:20200820145339j:plain

コンテナのターミナルから南側をのぞむ。

留置されているのは中央本線の貨物の主力車両、EF64EH200です。

f:id:toremor:20200820145640j:plain

 

専用線の跡を探る

f:id:toremor:20200820161850p:plain

1973年の航空写真と現在の位置関係。

専用線は駅の南側に広がっていましたが、一部は北側にも伸びていました。

まずは旅客駅の南松本駅付近を観察。

ちょうど、四日市へ向かう貨物列車が出ていきました。

f:id:toremor:20200820143136j:plain

西側にある旅客駅は1面2線のシンプルな駅ですが、近年宅地開発の影響か利用者数は増加傾向にあります。

f:id:toremor:20200820142139j:plain

旅客駅は一番西側に存在する。1面2線。

駅の正面へ回ります。

こちらもシンプルな造りです。

f:id:toremor:20200820143258j:plain

南松本駅の駅舎。

駅の裏側にはこちらにもEF64が重連で止まっています。

f:id:toremor:20200820151130j:plain

 さて、南松本駅から北に進むと、何やら怪しい線路跡が…

f:id:toremor:20200820143510j:plain

本線から分岐し道路を渡る廃線跡。

振り返った先はなんと…

ラーメン屋……

f:id:toremor:20200820143641j:plain

ラーメン屋へ続く廃線跡。

これは「ラーメン屋に小麦を運ぶ専用線」ではなく、日穀製粉へと延びる専用線の跡です。

google mapで俯瞰しても、弧を描く線路跡がなんとなく追えますよね~

 

ちょうど東京インテリアの南をかすめて、左上へ専用線は続いていました。

1997年あたりまで使われていたらしいです。

 

先ほどの空中写真

を見るとラーメン屋の奥で分岐していたことが分かります。

 

そして今度は跨線橋のあたりまで戻ります。

f:id:toremor:20200820152650j:plain

f:id:toremor:20200820152645j:plain

跨線橋西端から北(上の写真)と南(下の写真)を見る。このあたりも専用線があったのだろうか。

さてもう少し南側へ進むと変わった形の踏切があります。

f:id:toremor:20200820153002j:plain

手前には遮断器のない踏切があるが、奥には遮断器のある踏切がある。

お…これは…

おそらくかつてここに縦に踏切が2つ並んでいて、手前側が廃止されたもののようです。

この廃線らしきところを覗いてみると…

f:id:toremor:20200820153419j:plain

f:id:toremor:20200820153410j:plain

デンカセメントの専用線だったと思われる路線。廃線となっている。

 これは推測ですが、おそらく上り線側から分岐しているようです。

状態はほぼそのまま残っています。

 

少し北側(南松本駅側)へ向かい、南部公園という公園から南方をのぞむと…

f:id:toremor:20200820154109j:plain

一番左奥が先ほどの専用線跡。分岐線をさらに分岐してデンカセメントの専用線に入る。

南松本駅に近いほど線路の状態は良さそうです…

そして駅側に進むと架線も張られていて、こちらは現役のよう。

f:id:toremor:20200820154549j:plain

架線も張られ、整備もされている。

奥には構内入換用(貨車を切り離して移動させるときに使用する)機関車として活躍するHD300も止まっています。

f:id:toremor:20200820164532j:plain

入換用機関車HD300.

先ほどから見ている専用線跡、改めてgoogle mapでみても、良く分かります。

 

 

まとめ

f:id:toremor:20200820164032j:plain

通勤時間帯は長野地区の313系も4両編成。

甲信地域最大の貨物ターミナル、南松本駅。

 

かつては専用線が張り巡らされていたようですが、現在では多くの場所が商業施設や宅地開発で消えてしまいました。

しかし部分的に取り残されている一角もあり、往年の活躍を垣間見ることができます。

 

ただ、かつて車扱駅として栄えた南松本駅だからこそ、現在の形で存続できているのかもしれません。

1970年代に比べれば賑わいは失っているかもしれませんが、現在でも当駅を通る貨物による石油輸送が長野県の大きなシェアを占めています。

 

今後も時代に適合したターミナルとして生き残ってほしいですね~

 

あと、南松本駅前のイイダヤ軒の駅そば、美味しいので是非ご賞味あれ~

f:id:toremor:20200820163752j:plain

南松本駅前イイダヤ軒「冷やしおろしそば(470円)」。出汁が効いていて夏場でも喉を通りやすい。