意外と規模の大きい貨物駅
松本駅から塩尻方面へ一駅南下、南松本駅は甲信地区最大の貨物ターミナルとなっています。
主に石油輸送と一部コンテナ輸送が行われていますが、関東方面や名古屋方面、四日市駅との間で、合わせて一日10往復程度(?)の定期列車の運行があります。
長野県の石油輸送は、古いデータですが8割が貨物のシェアなんだとか。
(なるほどガソリンが高いわけだ…)
また、中央線名物EF64重連の貨物列車も当駅では多く見られます。
が、筆者はあまり貨物について詳しくはないのと、撮る方は初心者なので今回はざっくり、雰囲気だけでもお楽しみいただければと……
南松本駅は石油の輸送量が多い
今でこそ甲信地区最大の貨物ターミナルとなった南松本駅ですが、もともと戦時中に軍需工場の輸送駅として開業しました。
そもそも車扱(専用の貨車を使って1両単位で貸切って輸送する方法:現在では石油などの輸送がこれにあたる)の駅として開業したため、コンテナを扱うエリアでは近年まで改良工事が重ねられていました。
1970年には17本の専用線が発着していましたが、現在はわずかとなりました。
しかし2003年には交通新聞社の貨物取扱量、「車扱い」で全国5位にランクイン。
現在も石油の輸送が盛んです。
本線の西側に1本、篠ノ井線に平行する形で公共線が伸びており、そこからジャパンオイルネットワーク、日本オイルターミナルへ至る専用線が分岐、現在でも使用されています。
以前は岡谷酸素や太平洋セメント、タケヤみその専用線などで2000年代までは発着があったようですが、現在は廃止されています。
跨線橋からターミナルを俯瞰
南松本駅南方の跨線橋にやってきました。
この位置からですとやや貨物ターミナルを俯瞰できます。
写真右奥にコンテナホームがあり、2面2線の構造です。
もう少し本線の近くまで移動します。
南北に長く、規模も意外と大きい…
跨線橋より南側をのぞむと、一番右手(西側)に一本線路が伸びていることが分かります。
これが公共線で、日本オイルターミナル松本営業所などへ延びる専用線へとつながっています。
因みにこの跨線橋の下には宮田前踏切という踏切があるのですが、貨物の入れ替え作業をするたびにこの踏切を閉じなければならないので、地元では「開かずの踏切」として有名です。
こんなところにもあったのか…開かずの踏切…
北側にはコンテナのターミナルが存在
駅の北東側ではコンテナの取扱をしています。
こちらは規模が小さいですが近年も改良が加えられ、まだまだ現役です。
遠くに篠ノ井線の本線が見えます。
朝の時間は頻繁に行き交いますが、塩尻―松本間は地方には珍しい「黒字路線」です。
留置されているのは中央本線の貨物の主力車両、EF64とEH200です。
専用線の跡を探る
専用線は駅の南側に広がっていましたが、一部は北側にも伸びていました。
まずは旅客駅の南松本駅付近を観察。
ちょうど、四日市へ向かう貨物列車が出ていきました。
西側にある旅客駅は1面2線のシンプルな駅ですが、近年宅地開発の影響か利用者数は増加傾向にあります。
駅の正面へ回ります。
こちらもシンプルな造りです。
駅の裏側にはこちらにもEF64が重連で止まっています。
さて、南松本駅から北に進むと、何やら怪しい線路跡が…
振り返った先はなんと…
ラーメン屋……
これは「ラーメン屋に小麦を運ぶ専用線」ではなく、日穀製粉へと延びる専用線の跡です。
google mapで俯瞰しても、弧を描く線路跡がなんとなく追えますよね~
ちょうど東京インテリアの南をかすめて、左上へ専用線は続いていました。
1997年あたりまで使われていたらしいです。
を見るとラーメン屋の奥で分岐していたことが分かります。
そして今度は跨線橋のあたりまで戻ります。
さてもう少し南側へ進むと変わった形の踏切があります。
お…これは…
おそらくかつてここに縦に踏切が2つ並んでいて、手前側が廃止されたもののようです。
この廃線らしきところを覗いてみると…
これは推測ですが、おそらく上り線側から分岐しているようです。
状態はほぼそのまま残っています。
少し北側(南松本駅側)へ向かい、南部公園という公園から南方をのぞむと…
南松本駅に近いほど線路の状態は良さそうです…
そして駅側に進むと架線も張られていて、こちらは現役のよう。
奥には構内入換用(貨車を切り離して移動させるときに使用する)機関車として活躍するHD300も止まっています。
先ほどから見ている専用線跡、改めてgoogle mapでみても、良く分かります。
まとめ
甲信地域最大の貨物ターミナル、南松本駅。
かつては専用線が張り巡らされていたようですが、現在では多くの場所が商業施設や宅地開発で消えてしまいました。
しかし部分的に取り残されている一角もあり、往年の活躍を垣間見ることができます。
ただ、かつて車扱駅として栄えた南松本駅だからこそ、現在の形で存続できているのかもしれません。
1970年代に比べれば賑わいは失っているかもしれませんが、現在でも当駅を通る貨物による石油輸送が長野県の大きなシェアを占めています。
今後も時代に適合したターミナルとして生き残ってほしいですね~
あと、南松本駅前のイイダヤ軒の駅そば、美味しいので是非ご賞味あれ~