長野電鉄を走る元営団3000系
長野電鉄では首都圏を走った中古車両が多数在籍しています。
帝都高速度交通営団(現東京メトロ)日比谷線で活躍していた3000系は、短縮、ワンマン化などの改造を経て長野電鉄の長野電鉄の主力車両として活躍していました。
ところが元3000系は老朽化(車両製造から約半世紀以上)などによって、置き換えが進んでいます。
2020年9月25日をもって中間車を連結する現在唯一の編成3600系L2編成が引退、中間車を持たない他の3500系も2022年度までに引退するとされています。
今回は長野電鉄によって開催された、営団時代の面影を色濃く残す、3600系L2編成のさよならイベントに参加させていただきました!
今回引退する3600系L2編成とは?
長野電鉄の主力車両となっていた元営団3000系。
転属時に短編成化や抑速ブレーキ(車のエンジンブレーキと似ている機能)を搭載する改造を行い、40‰前後のきつい勾配が連続する信州中野ー湯田中間にも乗り入れることができます。
改造後、長野電鉄では3両編成は3600系、2両編成は3500系と区分されました。
また、3500系、3600系は、
- N編成…普通の2両編成。
- O編成…木島線(現在廃止となっている長野電鉄河東線、屋代線に相当)用のワンマン対応の2両編成。
- L編成…中間車を持つ3両編成。2020年9月25日をもって運用離脱。
と、3つにさらに分かれています。
今回ご紹介する3600系L2編成とは、「3両編成で走行する元営団3000系最後の編成」です。
東急から転属した8500系が導入される前までは、3600系は長野電鉄最大の定員数を誇る車両でした。
その定員の多さと汎用性の高さ(8500系は3両編成だが、抑速ブレーキ非搭載車なので運用区間が長野ー信州中野間に限られる一方、3600系は全区間で走行できる)から、転属後約20年も活躍しました。
屋代ー須坂駅間を結んでいた屋代線(2012年廃止)の定期列車のラストランを務めた車両でもあります。
L2編成のさよならイベントに参加
このイベントは平日に行われ、1日に午前と午後、2回行われます。
定員を絞って行われますが、日程も2週間ほどの中から選択できるため、比較的予約しやすく密にもならないよう工夫されています。
筆者は9/15の午前の部に参加させていただきました。
10:00 須坂駅で撮影会
長野電鉄須坂駅に一足早く到着した筆者。
須坂駅は車両基地も併設されている比較的規模の大きい駅です。
改札口には出店のようなコーナーがあります。
長野電鉄の大きな駅では、このように改札前で物産品を販売する取り組みをやっています。
改札脇の窓口がレジを兼ねていて、利用客も結構多いイメージ。
イベント当日は何やら試運転の車両が駅構内をウロウロしておりました…
イベントに使用される3600系L2編成とともにパシャリ。
実はそこまで長野電鉄に詳しいわけではないので、何の試運転なのかは分かりませんが……団体幕と試運転幕が並ぶのは珍しいかもしれません…
さて、撮影会会場へ向かいます。
須坂駅では線路上に降りて撮影を楽しむことができるようです。
L2編成の方向幕を一つずつ、約1分間隔で回してくれます。
こんなにもゆったりと方向幕を撮影できるのはなかなか贅沢ですよね~
ほとんどの幕を出していただきましたが、レアっぽい(?)ものをご紹介します。
左、5番線に停車している列車が3600系L2編成です。
屋代線時代の行先表示は、3500系・3600系が引退すれば全くお目にかかれなくなるのではないでしょうか…
こちらは特急の方向幕です。
長野電鉄では通常、特急列車に有料の専用車両を充当するので、このような通勤型の車両が「特急」の表示を出すことはありません。
緊急時の代走用に方向幕が用意されているのだそうです。
イベント列車運転中はなんと特急幕で運転してくださるようなので、他の方向幕は後でご紹介。
さて30分ほど撮影したらいよいよ3600系L2編成に乗車します。
今回は普段使用されない5番線からの発車。
夜間瀬川橋梁でL2編成を撮影(10:36 須坂→10:57 信濃竹原)
団体専用列車は須坂駅を出て、まず湯田中駅方面へ向かいます。
参加者は信濃竹原駅で下車し、3600系L2編成はしばらく信濃竹原駅に停車したのち出発、信濃竹原駅を出発してすぐに渡る夜間瀬川橋梁で1回目のパシャリ。
そして、列車は湯田中駅で折り返してくるので、今度は信濃竹原駅に向かって走行するL2編成を夜間瀬川橋梁で2回目のパシャリ。
撮影が終わったら撤収して信濃竹原駅にもどり、再びL2編成に乗車するという企画です。これは楽で楽しい!
筆者は撮影する業界については疎いので腕はありませんが、ちょっとだけ撮り鉄ごっこをさせてもらいます。
結構時間ギリギリであわてた筆者はとりあえず記録を撮影。
背後にも見られるように、結構な急勾配を湯田中駅まで登っていきます。
しばらく待ちまして折り返してくるL2編成を撮ります。
折り返しは特急長野行きの表示のようです。
こうやって見てみるとドアのやや丸みを帯びた窓、床下の抵抗器が印象的です。
3両編成とはいえ、橋梁を渡る長い編成は格好いいですよね~
普段は基本的に乗車する列車の駅撮りしかしない筆者、減速してくれていても慌てます。
日頃撮影されている方、本当に尊敬……
もう1本列車が撮れるということで待っていると、元営団03系の長野電鉄3000系がやってきました。
さて、信濃竹原駅に戻りまして団体専用列車と定期列車を乗り継いで、地下駅の市役所前駅へ向かいます。
営団時代を思わせる車内(11:48 信濃竹原→12:10 須坂)
須坂駅に戻りまして、そこから先行する定期列車に乗り換え、先回りして市役所前駅でL2編成を撮影をします。
少し車内を観察してみます。
筆者が指定された号車は中間車の2号車でした。
冷房化改造がされていますが、扇風機は営団時代のものをそのまま使っています。
車内に扇風機がある車両って少なくなりましたよね…
個人的にはエアコンの空気を扇風機で回してくれた方が、やさしい感じで車内が冷えるような気がするので好きです。
18m車体なので、普通の車両よりは1両当たりの長さは短くなっています。
確かに少し前の日比谷線の車内のサイズ感ってこんな感じだったような…(筆者は営団3000系時代には乗ったことがありません)
長野電鉄、というと車内のつり革に東急百貨店の広告がよくつけられています。
実は長野駅前にも東急百貨店があるんですよ…
L2編成は先頭車と中間車で製造工場が異なり、デビューした年も異なります。
中間車だけ新しいようですね。
先頭車と中間車で大きく異なる点はドアのデザインです。
L2編成の共通している特徴はグレーの床にクリーム色の壁、ブルーのロングシート。
参考までに先ほど須坂駅で隣に並んでいた同じく元営団3000系、現3500系N8編成の車内を見てみると…
だいぶ印象が違いますね~
こういう点にハマると沼なのかもしれません。
車内もじっくり見られたところで市役所前駅へ移動!
市役所前駅で地下区間を走る元営団日比谷線を撮る!
長野から一駅、市役所前駅に来ました。
長野市民は「うちの街には地下鉄が走っている」とよく言いますが、正確には地下区間です。
ただ、長野電鉄側もどんどん東京の地下鉄車両を中古購入するので、地下鉄であるという既成事実を積み重ねようとしているのではという疑惑があります。
余談は置いておきまして、長野電鉄のご協力でなんと当駅の撮影はイベント参加者貸切!
撮影中は一般のお客様はコンコースでお待ちいただくという、なかなか思い切った企画です。
まずは長野方面。
この車両はやっぱり地下区間が似合いますよね~
市役所前駅も昭和の雰囲気がいっぱいに出ているので、これもなかなかいい感じ。
この車両は長野駅まで行き折り返してきます。
湯田中方面のホームへ移動してもう一度パシャリ。
ドアも閉めた状態でも撮らせていただきました。
この駅、味があっていいですが定期列車も接近放送などは特に流れません。
まあ電車が来るときには相当な走行音がしますので大丈夫だと思いますけどね~
配布されたグッズも豪華(13:11 市役所前→13:31 須坂)
さてL2編成にそのまま乗車して須坂駅に戻ります。
なかなかに盛りだくさんで大変楽しいイベントになりました。
配布されたグッズはこちら…(イベント受付時にもらえます)
一日乗車券も特別デザイン。
このほかに、後から3500系や3600系の廃車発生品(つり革)が貰えるとのこと。
参加者が多い場合は抽選で送られてくるようです。
これで参加費1万円……もしかすると採算度外視のイベントかもしれませんが、これを機に多くの方が訪れる機会になってほしいですね!
長野電鉄は1日乗車券を購入するとなんと特急料金無料、なかなか面白い車両も走っているので是非乗ってみてください!
このイベントを企画していただいた長野電鉄の皆様、本当にありがとうございました。
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