姨捨駅のスイッチバックは有名だが…
篠ノ井線では急勾配に位置する姨捨駅周辺でスイッチバック(※)をすることで有名です。
列車が途中で方向転換をしたり、駅からは日本三大車窓の一つに数えられた景色を眺められたりと、観光客にも楽しめる駅になっています。
(※)「スイッチバック」とは鉄道が急勾配を登るための運転形式で、途中で進路方向を変えながら、「ジグザク」に登っていくというものです(道路のヘアピンカーブや踊り場のある階段のようなもの)。
実は、篠ノ井線にはもう一箇所スイッチバックを行う区間があるのです。
今回は「2回スイッチバックを行う」という篠ノ井線普通列車に乗車してみます!
姨捨駅でスイッチバックを楽しむ
筆者の行程の都合で、今回は松本13:29発の普通列車長野行きに乗車し、松本から姨捨を経て長野へ向かいます。
篠ノ井線、昼の2両編成の普通列車は長野方面・松本方面問わず混雑していて、立ち客も出るんですよね~
しかもほとんどが長野まで乗車するので座席が空かない…
愚痴はさておいて、姨捨駅のスイッチバックはご覧のようなつくりになっています。
姨捨駅に停車しない列車はスイッチバックをせずに1→7の順に通過することができ、例えば特急「しなの」はスイッチバックすることなく当駅を通過します。
今回は後方展望でスイッチバックの動きを見ていきます。
普通列車で松本方面(山の上)から姨捨駅にやってくると、まずはそのまま姨捨駅のホームに入線します。
分岐器を超えて、姨捨駅ホームに入る線路へと渡ります。
まだ方向転換はしていません。
ホームについて乗客を降ろします。
「姨捨駅ではスイッチバック運転を…」などと観光用の自動放送が流れ、事前に列車が反対方向へ動くことについて案内がなされます。
しばらくすると出発信号が「注意」の現示に変わり、進行方向と逆向きに発車。
篠ノ井線では、運転席を入れ替えることなくそのままバックで引き上げ線へと入っていきます。
引き上げ線に入ると間もなく本来の進行方向であった信号が青に変わり進みます。
姨捨駅を後に、これが1回目のスイッチバックです。
ここまではほぼすべての普通列車が行っているので、姨捨駅に停車する列車ならどれでも体験することができます。
姨捨駅は「日本三大車窓」に選ばれるだけありまして、結構な景色が広がります。
昼も夜も、四季折々いい雰囲気なので、ぜひ~
姨捨駅周辺は鉄道の撮影地としても人気があり、駅から徒歩圏内で列車を撮影することができますよ~
もう一つのスイッチバック「桑ノ原信号場」
この普通列車は姨捨駅を去り、どんどん善光寺平へと下っていきます。
途中で速度を落とし始め、何やら引き上げ線が見えてきました。
ここが2か所目のスイッチバック、「桑ノ原信号場」です。
実は一部の普通列車はここの信号場で列車の行き違いをするのです。
列車は分岐器を渡ってまず山側の引き上げ線に入っていきます。
信号場の盆地側には「銀河鉄道桑ノ原」と書かれた、新駅設置委員会の看板がありますが、新駅設置の話は1度も聞いたことはありません。
特に「また逆に動きます」という放送はなく、信号が開通するとすぐさま進行方向と逆向きに進み、今度は盆地側の引き上げ線に入ります。
この時も乗務員は後方の車両から運転し、運転台を交換することはありません。
ここの位置に着くと、「列車の行き違いを行います。しばらくお待ちください」と放送が入ります。
この信号場も、姨捨ほどにはないにせよ結構な標高のようです…
数分ほどの停車時間があります。
善光寺平はすっかり雪景色で、写真を撮っている人も多くいました。
しばらく待っていると…
松本方面の特急しなのが通過していきました。
これで元の進行方向に戻ります。
普通列車は元の線路へと戻りどんどんと坂を下って、稲荷山駅へと向かいます。
以上、2回スイッチバックをする篠ノ井線の普通列車をご紹介しました。
どちらのスイッチバックも稲荷山―姨捨間の急勾配を通過するためにつくられたもので、両駅の間は約8km、標高差は200mもあります。
桑ノ原信号場は貨物列車の行き違いだけでなく、日中では数本の定期の普通列車が停車することがあります。
姨捨のスイッチバックを経験したい方、桑ノ原信号場に停車する列車を選ぶと、2度美味しい旅になりますよ~