toremorの旅手帳

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巨大地下壕と黄金色の温泉、長野市松代のディープな魅力

総延長数十キロにおよぶ巨大地下壕も…

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広大な地下壕が張り巡らされた、象山地下壕。太平洋戦争時には現在のNHKなどが入る予定だった。

長野駅周辺の周辺市街地から南へ13km、松代という街があります。

城下町の雰囲気や黄金色の温泉が魅力的なところです。

少し前までは鉄道も通っていました。

 

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さて、この松代にはかつて「日本の中枢を移す」という壮大な計画がありました。

それは、太平洋戦争時に大本営を東京から松代へ移すというもの。

計画は結果的には未完成でしたが、現在でもその面影を辿ることができます。

 

今回は信州の中でもなかなかディープな観光地、松代の魅力に迫ります!

 

 

武家屋敷と禅宗の寺を見る

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松代藩は当時信濃国で最高の石高を誇った。

江戸時代に信濃国で最大の石高を誇った「松代藩」が置かれたため、現在でも武家屋敷の跡を見ることができます。

 

中級武士のお屋敷が現存しており、現在でも中を見ることができます。

大正時代に再整備されたため、江戸時代の面影はほぼありませんがなかなか立派な庭園や茶室があります。

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山寺常山邸。入場無料。

もう少し山側へ歩くと、今度は禅宗のお寺が見えてきます。

こちらも庭が綺麗に整備されており、春の時期は桜の穴場スポットになります。

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黄檗宗象山恵明禅寺。手前の山門は開基当時のもの。

本堂も禅宗独特な感じで、少し中国に来たような感じがあります。

それにしても桜が美しい……

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本堂も禅宗独特な造り。江戸時代に大火で焼失、再建された。

もうすでにディープな感じがありますが、この美しいお寺の背景にある山の中には地下壕が張り巡らされています。

お次はいよいよ地下壕の中へ……

 

「松代大本営」の跡を探る

日本の中枢を移す「松代大本営」の計画では、松代周辺の3つの山に地下壕を張り巡らせ、その中に省庁などの建物や食糧庫を入れる予定でした。

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松代周辺の地下壕。

通信施設が入る予定だった地下壕(象山地下壕)は現在でも一部が公開されており、無料で見学できます。

また、大本営が入る地下壕は現在公開されていませんが、天皇が避難する予定だった建物が現存しており、外から眺めることができます。

 

今回は公開されている2か所を見に行きます。

象山地下壕の中を歩く

現在中を見学できるのは、現在のNHKなどが入る予定だった地下壕です。

見学コースはそのうち約500mの区間、行き止まりになっているので往復1kmほどあります。

全体の中では少しな感じがありますが、それでも結構な長さです。

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山の中に碁盤の目のように張り巡らされた地下壕、見学できるのは往復約1kmのエリア。

先ほどのお寺と目と鼻の先にある、採石場の見学入り口のような場所から入ります。

受付を済ませ、ヘルメットを着用します。なんと入場無料。

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ヘルメットを被り、地下壕へ。

地下壕内は電波は通じませんのでご注意ください。

ほぼ当時のままと思われる狭い坑道を進みますが、だんだん中は広くなっていきます。

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入口は狭いけれど…

永遠と続きそうな地下壕は、すでにただモノではない広さであることが分かる気がします。

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想像を超える長さの地下壕が残っている。

途中地下壕の壁を見ると、建設当時に付けられたと思われる掘削機の跡がいたるところに見られます。

とにかく物凄いマンパワーが短期間に投入されたわけですが、その労働の跡を垣間見た感じ。

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掘削機の跡が一面に残っている。

地下壕の建設には朝鮮人が使われたという記録が残されています。

朝鮮人を束ねるリーダー役も朝鮮人だったようで、これは反発を防ぐ狙いがあったとか。

こんな感じで器具が刺さったままのところもあります。

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器具が刺さったまま放置された部分を実際に見ることができる。

この広めな地下壕の中に小屋を建て、その部屋を省庁などに使う予定でした。

一部の地下壕では小屋ができていたようですが、終戦まもなくに撤去されてしまったらしいです。

 

内部に進むと直角に地下壕が交わり、街のようなつくりになっています。

ここの建設で発生した瓦礫はトロッコなどで運び出され、かつて存在した松代駅から貨物列車で全国へと送られました。

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碁盤の目のように張り巡らされた地下壕と、トロッコの枕木の跡。

公開されている部分はほんの一部ですが、筆者は往復だけで結構疲れてしまいました。

それほど広大な地下迷宮になっているわけです。

 

地上に戻りまして、今度は大本営が設置される予定だった地下壕を見に行きます。

天皇の「御座所」、大本営の地下壕も現存

車を利用して、今度はもう少し山奥に進みます。

「松代地震観測所」という施設が、大本営用の地下壕跡地につくられています。

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大本営の地下壕跡は、地震観測所になっているため立ち入りできない。

地下壕には入ることはできませんが、入口には案内が書かれていて、中の構造を知ることができます。

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地下壕の入口を覗くことはできる。

ここは少し変わった造りになっていて、地下壕の外に天皇や皇后が生活する拠点(御座所)が設置されています。

この建物が現存しているのです。

 

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皇族が避難する予定だった建物が現存している。

まずは地上の御座所へ皇族を避難させ、戦況が悪化したら地下壕へ、と2段階の避難を想定していたようです。

当然御座所と地下壕はつながっています。

 

以前は「天皇が避難するための地下壕」が公開されていたことがあり、かなり豪華な造りになっていたらしい(案内板の写真がそれ)ですが、現在では見ることはできません。

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建設当時から使われる建物は壁も厚く、頑丈である。

当時はこのようにむき出しに建物があったわけではなく、周辺を盛って半地下構造にしていたらしいです。

天皇の御座所は近づくことができます。

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天皇の御座所に近づく。

中を覗けるようになっていて、ベタっとくっついても問題ないとのこと。

と言うことでお宅拝見……

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中は普通の和室と言う雰囲気だが、木材は高級なものが使われている。

コンセントがあったりと、比較的生活感があるのは気象庁職員の詰所として改築、利用されていたかららしいです。

ですが確かに竿縁天井だったりと高級感は残されています。

 

振替って風景を見るとこんな感じ。

ちょうど山の陰に隠れる位置なんですね~

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こんな山奥に日本の中枢を移す計画があったのか…と不思議な気持ちになる。

大本営を追ったあとは、温泉へ…

 

黄金色の温泉に浸かる

さて、松代というと個性的な温泉があることでも知られています。

鉄分や炭酸、カルシウムなどの成分が濃い、黄金色の温泉です。

 

湯治場としての雰囲気を味わいたいのなら、加賀井温泉一陽館へ。

複数の種類の源泉を楽しむことができます。

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加賀井温泉一陽館の浴室。

また、松代温泉公民館で温泉に入れたりします。

黄金色の源泉がどんどん注がれるかけ流し、内風呂のみですがおすすめです。

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温泉主体の公民館は、昼間から賑わいを見せる。

観光として日帰り入浴や宿泊をするなら、国民宿舎「松代荘」へ。

近年リニューアルされ、露天風呂も設置されました。

自噴する温泉の迫力はここでも楽しむことができます。

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松代温泉は「ガス抜き」と呼ばれるプロセスを経てから注がれる。

城下町の雰囲気と太平洋戦争の面影、黄金の温泉と見どころが豊富な「松代」。

是非機会があれば訪れてみてはいかがでしょうか。