toremorの旅手帳

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【大糸線直通】長野に行かない、臨時特急「しなの81・84号」乗車記

運行経路が違う、珍しい臨時特急

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大糸線に乗り入れるたった4両編成の「特急しなの」。

中央西線・篠ノ井線の特急「しなの」は通常、名古屋ー長野間を結んでいます。

6両から10両編成を組んで山岳路線を車体を傾けて高速で進み、迫力のある特急らしい列車です。

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定期列車の特急しなの。先頭はパノラマグリーン車となっている。

先頭のグリーン車からは前方を眺めることができ、この「パノラマグリーン」も特急しなのの楽しみの一つです。

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一方、今回ご紹介する「特急しなの」はそんなイメージを覆します。

先頭にパノラマグリーンはなく、途中からゆっくりローカル線を走り、4両編成。

定期列車が運行する経路を外れるため、いつもの終着駅である長野駅には行きません。

 

稀に運行される大糸線直通、名古屋ー白馬間を結ぶ臨時特急しなの81・84号をご紹介します。

 

 

優等列車で賑わうハイシーズンの大糸線

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特急が発車した約10分後にも特急が走るハイシーズンの大糸線。

大糸線は通常の平日には普通列車がほとんどで、「特急あずさ」が一往復だけ乗り入れるだけとなっています。

一方でハイシーズンの休日になると、臨時の特急あずさや今回ご紹介する臨時のしなの、快速リゾートビューふるさとなど、優等列車の乗り入れが増えます。

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かつての登山・スキーシーズンとは大きく見劣りしますけれど、今でも大糸線が優等列車で賑わう光景が見られるのは楽しいですね~

 

今回目当ての「臨時特急しなの81号」の前には、定期列車のあずさ号が走っています。

松本駅まで12両でやってきて切り離し、大糸線へは前9両が乗り入れます。

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定期列車のあずさは松本駅で切り離し作業を行い、9両が南小谷まで乗り入れている。

 

大糸線直通、しなの81号に乗る!

JR東日本の指定席券売機ではきっぷが買えない

さて、今回松本から乗車するのは「臨時特急しなの81号」。

きっぷを買おうと指定席券売機に向かいましたが…

あれ…画面に列車がない…

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大糸線に直通するしなの号のきっぷはJR東日本の券売機で買えない。

結局、みどりの窓口できっぷを購入しました。

JR東日本エリアで大糸線に直通するしなのに乗るためには、券売機では買えないようです(そういうお客さんはほぼいないと思いますが…)。

 

通常のしなのと運行経路が違う

通常の特急しなのは名古屋から中央西線、塩尻から篠ノ井線、篠ノ井から信越線を走行して長野まで向かいますが、このしなの81号は途中松本から大糸線に入ります。

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しなのの運行経路。臨時特急しなの81号は運行経路が異なる。

この列車はそのために、県庁所在地である長野駅にはいきませんし、姨捨の景色を見ることもありません。

延長運転をする臨時の特急は多いですが、同じ名称で運行経路が異なる列車は稀な気がします。

 

名古屋から4両編成でやってくる「しなの81号」

普段の特急しなのは6両~10両で走っていますが、なんとこの列車は名古屋から4両編成でやって来ました。

先頭のグリーン車に乗車します。

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松本駅にやってきた臨時特急しなの81号。名古屋から4両編成でやってきた。

ご覧の通りパノラマグリーン車ではありませんが、ちゃんとグリーン車が連結されています。

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付属編成にもグリーン車が存在する。

この列車(付属編成)のグリーン車とパノラマグリーン(基本編成)の1号車1番C席からの景色を比較すると……

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上:付属編成のグリーン車1号車1番C席

下:基本編成のグリーン車1号車1番C席

 

流石に違いが出ますが、付属編成でも前面の景色を見ることはできます。

逆に4両編成でもグリーン車が連結されている点が驚きです。

グリーン車の乗客は数人といったところでした。

 

座席に目を向けると、こちらは立派な4列の座席が並んでいます。

個人的にはこの座席も好きな部類に入ります。

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グリーン車の車内。

定期列車とのギャップを堪能

列車は大糸線にゆっくりと入り、北アルプスを望みながら時には80km/hほどのスピードを出しながら進みます。

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左手に北アルプスの山々を望む。下の写真で富士山のような形をしている山は有明山である。

分岐器やカーブの手前でがくんと減速しながら、豊科、穂高駅と停車していきます。

特急しなのではなかなか味わえない、のんびりとした走り方です。

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穂高駅に停車する特急しなの。

中央西線でカーブに差し掛かると車両を傾けて高速で走り抜けていく姿とは対照的で、これはこれで面白いです。

大糸線内では車体傾斜の機能を切っているのかもしれません。

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単線の線路をのんびりと北へ進む。奥にはかすかに白馬の山々が見える。

信濃大町駅で数人が下車をして、列車は仁科三湖の脇を通り抜けていきます。

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湖の景色を左手に見ながら、列車は北に進む。

ここで筆者は気づきました。

付属編成は1号車1番C席より、D席の方が景色を見やすいということに……

 

ヤナバスキー場前駅の近くを通り過ぎましたが、跡形もなくなっているようです。

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写真右手が旧ヤナバスキー場前駅。跡形もない。

佐野坂峠という峠を越えたら、眼下に白馬の街が見えてきます。

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佐野坂峠を越え、白馬の街を目指す。

神城駅に停車する唯一の特急

この列車は信濃大町駅の次に「神城駅」に停車します。

おそらく現在、神城駅に停車する急行・特急列車はこの臨時のしなの号しか存在しないと思われます。

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神城駅に停車する特急はこの臨時のしなのしか存在しない。

神城駅を出ると数分で白馬に到着します。

白馬駅は3番線に入りましたが、線路が錆びついていてほとんど利用された形跡はありません。

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白馬駅に到着した特急しなの。

白馬までの特急しなの号、普段にはない楽しみ方ができて面白い列車でした!

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筆者は白馬駅から歩いて5分ちょっとの「ききょう屋」へ。1000円で美味しい海鮮ランチがいただける。意外と日本海が近いので海の幸も美味なのです。

折り返しの特急しなの84号に乗車

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臨時のあずさと並ぶ臨時のしなの号。白馬駅にて。

温泉に入ったりご飯を食べたりした筆者は、天候の悪化を受け折り返しも特急「しなの」に乗車することにしました。

帰りは自由席に乗車しますが、これまたあずさ号から自由席が消滅した現在の大糸線では貴重です。

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大糸線内で特急の自由席に乗ることも現在では困難となった。

景色は正直同じですから、この列車の面白いところをパパっと見ていきます…

しなの81号もそうなんですが、臨時のしなの号にもちゃんと自動放送が入っていて、停車駅の案内もしっかり流れます。

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臨時列車であるが案内表示も流れる。

383系は前面だけではなくて、側面からの景色も良く見えます。

大糸線の景色をワイドビュー。

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側面からも良く景色が見える。

しなのに乗りながらしなのの乗換案内を聞く?

そして松本駅へ…このタイミングにこの列車の面白さがあります。

大糸線からゆっくりと篠ノ井線に転線していきます。

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大糸線のホームを眺めてゆっくり篠ノ井線のホームへ。

「長野方面、特急しなの15号長野行は16:04~」

車掌さんの案内で特急しなの号に乗りながら特急しなの号の乗り換え時刻を聞きます。

運行経路が異なるために起こる変わった案内、全国でも同じ名称の在来線特急の乗換案内を聞けるのは稀かと思います。

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松本駅に到着。向こう側に止まっているのはE257系。少し懐かしさも感じる。

そして松本駅から4両のまま、しなの号が名古屋に向けて出発…

見慣れている人ほど違和感を感じることが多いと思います。

カメラを向けるコアなファンも多く…お見送りをして今回の行程は終了です。

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4両編成のまま名古屋へ向かう。

普段高速でカーブを長編成で駆け抜ける特急しなの号。

是非この車両が残っているうちに、この列車のギャップを堪能してみてください!