toremorの旅手帳

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かつては終着駅だった!両国駅の臨時ホームでテレワークしてみる

両国駅「幻のホーム」で車内テレワーク!

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両国駅3番線に停車中の成田エクスプレスの車両(E259系)。車内をテレワークスペースとして開放した。

11/27~28にわたって、両国駅の臨時ホームに成田エクスプレスの車両を停車させ、車内をテレワークスペースとして活用するという実証実験が行われました。

 

今回はこの実証実験に参加し、車内でテレワークするメリットやデメリットをご紹介。

またこの臨時ホームから、かつて終着駅だった両国駅の面影を探していきます!

 

 

余ったホーム×余った車両の有効活用

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3番線ホームに立ち入ることは、通常ではできない。

両国駅で成田エクスプレスの車両を使ってテレワークをする…

 

一見、確かに「駅にまとまった人数が使えるテレワークスペースができる」というメリットがありますが、どうして両国駅で、成田エクスプレスの車両なのでしょうか?

 

実はこれは運営側(JR側)に事情があります。

 

感染症拡大の影響で成田空港を発着する飛行機が激減、そのあおりを受けた空港のアクセス特急「成田エクスプレス」は日中の便を運休しているため、車両が使われず余り気味です。

 

一方、両国駅には普段使われない臨時ホームがあります。

このホームに日中余っている成田エクスプレスの車両を置いておき車内を開放すれば、空いているホームも余っている車両も有効活用できるという一石二鳥な企画なのです。

 

実際に車内でテレワークしてみる

今回はJRの実証実験として行われた企画ですのでまだお試し段階のものですが、実際に利用して感じたポイントをご紹介します。

 

予約はJR東日本のエキナカに設置されているシェアオフィスの予約サイト、station workから行います。

両国駅の臨時ホーム(詳しくは後でご紹介します!)の通路で受付を済ませ、車内に向かいます。

www.stationwork.jp

 

予約を確保しても座席が決まっているわけではなく、グリーン車も含めて自由に座ることができます。

 

メリット①:Wi-Fiやコンセントが充実

最近になって、ビジネス利用が多いJR東日本の一部の特急列車は基本Wi-Fi完備、コンセントも1人1個が標準となっています。

 

成田エクスプレスの車両もこの例に漏れず、座席の取っ手部分にコンセントがあります。

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普通車の座席のひじ掛けにコンセントがある。

車内のWi-Fiも無料で使用することができ、安定していて使いやすいです。

 

一方机はというと、パソコン1台を置くのがギリギリといったところですがこれも特に使いづらいというわけではありません。

基本的に普通車であれば隣に人が座るということはなかったので、必要なら隣席のテーブルを使っても問題ないかと思います。

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パソコンを机にのせた状態。決して広くはないが不便ではない。

あと何気にですが荷物を収納するスペースが多いので、大きな荷物を持った方でも安心して使うことができるのは大きなメリットかもしれません。

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大きな荷物を持っている方にとって、荷物スペースは重宝するかも。

 

メリット②:座席数が圧倒的に多く使いやすい

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車内は特別な細工がされているわけではなく、普段と変わらない。

JR東日本ではエキナカに主に1人~2人用のブースを設置(公衆電話のボックスのようなイメージです)して、個人向けシェアオフィスを展開しています。

しかし駅に設置されているブースの数は決して多くはなく、一つの駅に数室程度しかありません。

 

一方で今回の実証実験では成田エクスプレス用の車両(E259系)6両編成を丸ごとシェアオフィスとして開放していました。

全席分をシェアスペースとして使われているわけではありませんが、車内の定員は290人、2席分で1スペースとしても約140人の人が利用できることになります。

 

エキナカ(というか駅そのものですが)でここまで収容人数が多ければ、「いつでも利用できる」という利便性の向上が期待できます。

 

デメリット①:個室ではなく、ビジネス以外の利用も多い

エキナカのシェアオフィスと圧倒的に違う点は、「個室ではない」ということです。

同じ値段で個室のシェアオフィスが借りられるなら、個室を使いたくなる気がします。

 

開放型のシェアオフィスでも静かで使いやすければ問題ないとも考えられますが、車両丸ごとビジネスモードの客ばっかりかというと、決してそうではありません。

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利用客は鉄道ファンが最も多かった。

これは土曜だったからかもしれませんが、車内は鉄道ファンのほか、子供連れや物珍しさで休憩するグループ客で賑わう時間もありました。極論すれば鉄道博物館の休憩スペースとして開放している車両みたいな需要も結構あるのです。

 

ビジネスで利用する場合、電話だけならデッキに出れば問題ありませんが、仕事環境として使いやすいかと言われるとちょっと疑問点が残ります。

解決策としては、どの需要にも応えられるように、例えばビジネス利用とそうでない利用で号車を分けてみたりしてもいいのかもしれません。

 

デメリット②:利用客がグリーン車に集中

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座席指定ではないので、時間内であれば自由に車両を移動できる。

先ほども述べたように車内でのテレワークは座席が指定されず、人数しか管理されていません。

どこの席に座っても利用料金は同じなので、1編成6両のうちのグリーン車1両に客が集中していました。

 

今回の利用客のほとんどは鉄道に興味をお持ちの方とお見受けしたので、たまたまなのかもしれません(実際走っている成田エクスプレスのグリーン料金は高い一方、今回は破格でE259系のグリーン車に立ち入ることができるため人が集中したとも考えられます)が、ちょっとねぇ…

 

感染症対策の観点からもグリーン車が密になりやすいシステムなので、例えばグリーン車の料金を高くするとか、もう少し工夫が必要な気がします。

 

鉄道ファンとしては車内のテレワークを楽しめましたが、ビジネス利用として使いやすくするにはまだ改善すべき点が残りそうです。

 

両国駅のターミナル駅としての面影

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臨時ホームへはレッドカーペットが敷かれた通路を進んでいく。通路には両国駅の歴史についての展示がされている。

今回の実証実験で使用された3番線は、両国駅の臨時ホームとなっていて普段は立ち入ることができません。

なぜこんな場所にホームがあるのか―――実はこのホーム、両国駅がターミナル駅だった時代の名残なのです。

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臨時ホームは改修されているが、現在でも古い骨組みが残る。

両国駅は現在、普段1面2線の小さな駅に総武線の各駅停車が来るだけの小さな駅ですが、実ははかつて房総方面のターミナル駅として栄えていました。

 

現在の国技館や江戸東京博物館の敷地は両国駅の跡地に建設されたもので、訪れたことのある方なら分かると思いますが、かなり広大な敷地だったのです。

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現在の両国駅とかつての両国駅(1947年米軍撮影)を比較する。両国駅は1930年頃は渋谷や池袋よりも収入の大きい駅だった。

1932年に総武線の御茶ノ水までの電車線が開業したことで規模は縮小していきますが、房総方面は非電化区間が長い間残っていたため、房総方面の急行の発着駅としてしばらくは賑わっていました。

 

この房総方面の急行列車などの発着に使われていたのが現在の3番線です。

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3番線の錦糸町側から隅田川方面を見ると、右側に分岐する線路が並んでいることが分かる。かつては国技館を含めて右側一帯も両国駅だった。

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3番線の隣にもホームが現存している。

しかし1972年に総武線の複々線化が完了し、総武快速線の地下区間(東京トンネル)も開業。

快速線に両国駅は設置されず通過駅となり、房総方面の急行は全廃、房総方面の列車は大半が東京発着になりました。

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総武快速線のトンネル出口付近にはかつてホームがあった。両国駅は快速線には設置されず、通過することになった。

その後徐々に規模を縮小していき、現在のように各駅停車しか止まらない駅になりましたが、途中駅になってから利用者は増加し現在も賑わいを見せています。

 

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両国駅の駅舎は線路に直交する形で建設されているが、これもターミナル駅だった名残である。駅舎は現在商業施設としてリニューアルされている。

両国駅の臨時ホーム(3番線)は現在でも臨時列車が発着できるようになっていて、時々終着駅としての役割を果たすことがあります。

このほかにもイベントスペースとして解放されることもありますので、もし立ち入る機会があればターミナル駅だった頃の両国駅に想いを馳せてみるのもいいかもしれません。