toremorの旅手帳

鉄道と旅行と温泉と。大学生の放浪の様子をご覧ください。

【壮絶】羽田空港とそのアクセスの歴史と変貌を空中写真で追う

東京飛行場の開設から90年、壮絶な歴史と変貌

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羽田空港周辺には多くの廃線が存在する。これは空港の変化とともにアクセス路線も変化してきた歴史の産物である。

緊急時で利用者数が減少しているものの、日本国内で最も多くの航空機の離発着がある羽田空港

綺麗で国内では大きい空港になっていますが、ここまでに至るにはなかなかに深い歴史があります。

2021年は羽田空港の前身、東京飛行場の開設(1931年)から90年にあたります。

 

また、その空港の変化に合わせて、羽田空港へのアクセスも変貌を遂げてきました。

今回は羽田空港とそのアクセスについて、空中写真を見ながらその変貌を追っていきます。

 

 

 

現在の第3(国際線)ターミナル付近はなんと競馬場だった

羽田空港の歴史は1931年に完成した「東京飛行場」から始まります。

当時の「東京飛行場」は、現在の羽田空港の北側に位置していて、滑走路1本の小さな飛行場でした。

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空中写真は国土地理院空中写真閲覧サービスより引用。1936年陸軍撮影。

1936年の写真を見てみると、現在の地方空港のような規模の滑走路とエプロンが確認できます。

滑走路の隣は運動場、南部側には地方競馬の「羽田競馬場」があります。

この競馬場は現在の羽田空港第3ターミナル付近に位置しています。

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羽田競馬場の全貌。現在の国際線ターミナル付近に位置している。

当時のこの地域のアクセスは、京急穴守線(現在の空港線)がメインだったと考えられます。

しかし、空港アクセスを念頭に置いたものではなく、現在の天空橋駅付近に位置していた「穴守稲荷」へのアクセス路線として機能していました。

 

この京急穴守線自体も駅が移転したり延伸したり短縮されたりとかなりの歴史がありますが、今回はざっくりと見ていきます。

 

初の空港アクセス線?「GHQ専用線」

東京飛行場は太平洋戦争前から需要が伸び始め、隣の運動場を買収して滑走路を拡大しました。

戦時中も使用された実績があるようで、この頃から重要な飛行場として定着し始めます。

 

戦後、東京飛行場周辺はGHQによって接収され、海老取川(写真で空港と街を隔てている川)以東の住民は強制退去を命じられます。

この影響で現在でも海老取側以東には人家がありません。

埋め立てが進み、新たな滑走路ができて旧羽田空港の原型が出来上がります。

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1948年、米軍撮影。京急の線路が延長され空港内まで線路が伸びている。

空中写真を見てみると、京急穴守線から何やら貨物線が分岐し、空港の内部まで線路が伸びているように見えます。

この区間にはGHQの専用線があったとされ、これが初代の空港アクセス路線と言えます。

 

戦後の羽田空港は現在の位置にはなかった

1955年、一般の旅客が利用できる「羽田空港」のターミナルが開業します。

これは私よりご覧になっている方々のほうが詳しいかもしれませんが、こちらのターミナルは現在の羽田空港と位置も建物も違うものでした。

 

開業当初は車しかアクセス手段がなく、付近の道は大渋滞。

これを解決しようとしたのが首都高1号羽田線と、東京モノレールです。

1964年にどちらも開業、東京モノレールは空港直下に「羽田駅(初代)」を開業させます。

 

東京モノレールは羽田整備場(現在の整備場駅)を出ると単線になり、そのまま地下トンネルに入って1面2線の羽田駅まで真っすぐ伸びていました。

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1967年の羽田空港。現在のターミナルとは異なる場所にあり、現在の国際線ターミナルより西側にあった。

一方で京急はと言うと、GHQが使っていた貨物線が廃止され(当時は現在の穴守稲荷駅まで営業していた)、現在の天空橋駅の対岸に位置する場所に初代「羽田空港駅」を1956年に開業させます。

ところがこの駅、空港まではかなり距離があって、とてもアクセスとしては使えない駅だったのです。

一応、羽田空港駅から羽田空港までのアクセスバスが発着していたものの、利用者は少ないままでした。

 

「羽田空港」という空港から離れた京急の駅と、「羽田」という空港直下の東京モノレールの駅が存在する難解な時代があったということになります。

 

その後時代が進み、航空機の需要が拡大したり、付近の騒音問題で、羽田空港はターミナルや滑走路を移転する「沖合移転」をすることになります。

成田空港の開業が遅れたこともあって、かなり空港の容量は逼迫していたようです。

 

確かに写真で見てもかなり狭そうな空港ですよね~

平成の時代に入るといよいよこの「沖合移転」の事業が本格化します。

 

沖合移転で幻となった東京モノレールの廃トンネル

1993年9月27日、現在の羽田空港第1ターミナルの供用が開始され、同日から東京モノレールと京急線の地下駅「羽田駅(現:天空橋駅)」が開業します。

この際、東京モノレールは空港直下の「羽田空港駅」まで開業しましたが、京急は1998年までこの羽田駅が終点でした。

 

京急線にとってはGHQの専用線以来となる空港島への乗り入れとなり、ようやく空港へのアクセス路線として定着し始めます。

東京モノレールの初代羽田駅、京急線初代羽田空港駅はこの時に廃止となりました。

 

ここでちょうど移行期だった1992年の空中写真を見てみると……

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沖合移転間近の羽田空港。東京モノレールの新線と旧線が同時に見られる貴重な写真である。

現在の東京モノレール整備場駅付近で、海老取川よりに複線の新線が造られていることが分かります。

新線も旧線とほぼ同じ位置でトンネルに入りますが、旧羽田空港の南側を通って、おおきくUターンする形で現在の羽田空港第1ターミナルに続きます。

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沖合移転後の羽田空港。第2ターミナルを建設中。僅かだが旧羽田空港関連の細長い建物が残っている。

滑走路も東側の沖合に移転され、羽田空港第2ターミナルや、旧羽田空港の東側には国際線ターミナルの建設が進められていきます。

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羽田空港第1ターミナルは主にJALやスカイマークが発着する。

2004年には羽田空港第2ターミナルが開業し、東京モノレールはもう一度Uターンしてビル直下の「羽田空港第2ビル駅(現羽田空港第2ターミナル駅)」まで延伸します。

京急線はこれを受けて終点の「羽田空港駅」に第2ターミナル側の出口を新設しました。

 

2007年の写真ではなにやら「✖」と書かれた滑走路や滑走路より広いコンクリートのスペースが見えます。

これがかつての旧羽田空港の面影ですね~

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2007年の羽田空港南側。国際線ターミナルの建設工事が進む。

ターミナル移転により廃止となった、京急線の旧羽田空港駅は廃止後解体され駐車場に、東京モノレールの旧羽田駅は埋められたとされています。

東京モノレールの旧線跡はトンネル入り口の空き地や隣接するビルの壁にある凹部(橋脚のために凹んでいた)で痕跡を見ることができますが、それ以外はほぼ見ることはできません。

 

(↓整備場駅周辺に見られる建物の凹んだ部分。かつてこの部分には支柱があった。)

 

 

東京モノレールのかつての旧羽田駅に至るトンネル内部は埋められているのか現存しているのかはっきりせず、公開もされないため、「幻のトンネル」となっています。

 

(↓東京モノレール旧線のトンネル入口。不自然な空き地となっている。)

 

 

 

国際線ターミナル開業で東京モノレールはまたもやルート変更

沖合移転で新線となった東京モノレールも、第3ターミナル(国際線ターミナル)の開業以前は現在よりも海側を通っていて、これもまた現在のルートと一部異なります。

 

2010年に羽田空港国際線ターミナルが開業。

東京モノレールは地上区間のルートが変更になり、高架駅の「羽田空港国際線ビル駅(現羽田空港第3ターミナル駅)」、京急には新たに「羽田空港国際線ターミナル駅(現羽田空港第3ターミナル駅)」という地下駅が誕生しました。

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羽田空港国際線ターミナルが開業。東京モノレールはルート変更となった。

その後、羽田空港はさらに沖合にD滑走路を建設し現在の形へと変化していきます。

移転と増築を繰り返した姿がこちら……

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羽田空港の現在の姿。画面右下がD滑走路。D滑走路発着の航空機に乗るとかなり長い時間を地面に着いたまま移動するので、バスに乗っているような感覚になる(体験談)。

東京飛行場からは圧倒的に大きな飛行場へと変化を遂げた羽田空港ですが、こうしてみると人口の多い国の中心的な空港の割にはかなりコンパクトに感じますね~

 

羽田空港とアクセスの未来

羽田空港周辺の開発はかなり成熟したようにも見えますが、まだまだ途中段階にあります。

沖合移転前の旧羽田空港の滑走路周辺は、新たな商業施設へと変化しようとしています。

 

haneda-innovation-city.com

研究開発施設や飲食店、ライブ会場などが続々と開業しています。

最寄りはかつての羽田駅だった、天空橋駅です。

 

そして空港アクセスも、さらに進化しようとしています。

現状、京急線も東京モノレールも、東京駅や新宿駅といった主要駅にダイレクトにアクセスすることはできません。

 

そこで羽田空港の北側にある東京貨物ターミナルから新たにトンネルを掘り、空港直下へと線路を伸ばす計画があります。

また、東京貨物ターミナルから現在休止中の東海道貨物線の大汐線、りんかい線を経由して、東京方面、新宿、新木場方面へダイレクトにアクセスできるようにし、「羽田空港アクセス線」として一体的に整備される予定です。

 

2021年1月に事業が許可され、計画は本格化しています。

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羽田空港アクセス線として転用される予定の東海道貨物線の大汐線(新幹線の線路の奥の線路)。この写真の区間は計画には含まれないが、大部分は休止線となっている線路を再活用して建設される予定。

今後もさらに進化を遂げる羽田空港。

どのような風景が見られるようになるのか楽しみです。

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羽田空港の離陸直後は、大都会東京の街を一望できる素晴らしい景色を見ることができる。

 

おまけ:過去の地形図や空中写真を見るには?

現在や過去の空中写真や地形図を見たい場合、国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスが非常に便利です。今回もそれを利用しています。

 

過去から現在までの高解像度の空中写真などを、なんと無料で見ることができます。

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空中写真の範囲は地図で確認できる。検索も簡単。

詳細をクリックすると、高解像度表示やダウンロードもすることができます。

2次使用は出典を明記すればよく、このようにブログに使ったり論文に使ったりもすることができます。

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高解像度表示もダウンロードも可能。使用用途を入力する必要があるが二次使用はOK。

終戦直後にGHQによって撮られた写真もほぼ全国で見ることができます。

これだけ詳細なデータを無料で誰でも閲覧できる国はとても珍しいんですよね~

 

家にこもっていても、こうして街の歴史を追うことができます。

Googleのストリートビューや衛星写真と合わせれば、現地に行ってみて見たり現在と比較することができてさらに楽しめますよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【長野電鉄】特急湯けむりの展望席とスノーモンキーの個室をネットで予約する

展望席と元グリーン個室がネット予約可能に!

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特急ゆけむりの先頭車両の展望席は指定席化された。

長野駅から志賀高原の麓に位置する湯田中駅までを結ぶ長野電鉄では、専用の車両で運行される特急が走っています。

かつての小田急ロマンスカー10000形(「ゆけむり」に充当)やJR東日本の成田エクスプレスに使用された元253系(「スノーモンキー」に充当)が現役で活躍しており、展望席や個室といった豪華な設備も健在です。

 

そして最近、これらの設備の一部が指定席化されました。

果たして利便性はどのように上がったのでしょうか?

今回は実際にネットで特急ゆけむりの展望席を予約してみようと思います。

 

 

nagaden-reserve.jp

以前は全車自由席だった長野電鉄の特急

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長野電鉄の特急は途中駅で乗り降りする客も多い。特急料金100円で乗車できるのも魅力。

以前まで長野電鉄の特急列車は全車自由席で、個室も当日のみの予約を窓口のみで行っていました。

 

長野電鉄の特急料金は100円しかかかりません(一部のフリーきっぷを使用すると特急料金不要)。

ゆけむりの展望席も自由席の一部だったので、お得感はあるものの座れるのは運しだいなところがありました。

 

一方でスノーモンキーの個室も当日まで空席状況が分からず、こちらも乗れるかは運しだいでした。

 

「ゆけむり」の先頭車両と「スノーモンキー」の1号車が指定席化

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特急列車の一部が指定席化されたことはあちこちに書かれている。

9時から17時までに運行される長野電鉄の特急(A特急)列車には指定席がつくようになりました。

座席指定料金は追加で300円

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ゆけむりには元特急ロマンスカーHiSEの車両が使われている。

特急ゆけむりの先頭車両(湯田中方面の1号車、長野方面の4号車。展望席を含む。)、および特急スノーモンキーの1号車は指定席になりました。

指定席を利用するには特急料金100円のほかに座席指定料金300円が必要になります。

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ゆけむりは展望席を含めた先頭車両が指定席となる。

普段の特急料金が安い分指定席の価格が高いような印象がありますが、個人的には「これくらいとってもいいんじゃないかな~」とも思います。

 

発売は1か月前から発車10分前までで、ネット予約のほか車内で購入することができます。(長野駅では窓口でも販売しているようです)

 

座席をネットで予約する方法(展望席の予約もこちら)

 長野電鉄HPからはトップページに特急列車の絵が出てくるので「▷詳細・予約はこちら」に進みます。

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長野電鉄のトップページから特急列車の予約に進む。

こちらが予約ページです。

次に、乗車区間や乗車日、人数を選択します。

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乗車区間や人数などを入力。

するとアイコンと時刻表が出てくるので、乗りたい列車を選びます。

成田エクスプレスのアイコンがスノーモンキー、ロマンスカーのアイコンがゆけむりに対応しています。

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乗りたい列車を選択する。

次のページで、シートマップから座席を選択できます。

展望席を利用する場合はB席かC席を選んだ方が展望しやすい気がします。

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シートマップから座席を選択。これは「ゆけむり」の画面。

色々と規約に同意して次のページへ。

会員登録するとネット上で予約のキャンセルや変更をすることができるようになります。

 

続いてクレジットカード情報を入力します。

決済方法はこれに限定されているようです。

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クレジットカード決済に対応。

予約の確認をしたら完了です。

チケットレスで、当日きっぷを受け取る必要はありません。

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予約番号が表示されたら完了。当日はそのまま乗るだけだが、特急料金を別途払う必要がある。

ただし、この予約システムは指定席料金のみに対応しています。

特急に乗車するためには別途特急券かフリーきっぷなどが必要になります。

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展望席からの眺めはロマンスカー時代を彷彿とされる解放感がある。

個室指定料金は追加で1200円

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スノーモンキーの個室指定席。元グリーン個室が健在である。

特急スノーモンキー1号車には、元グリーン個室の「個室指定席」があります。

この個室は追加料金1200円(以前は1000円だった)で利用することができ、こちらもネット予約に対応しました。

これは1室あたりにかかる値段で、1人から最大4人まで使うことができます。

 

指定席300円×4人分=1200円という計算なのでしょうか?

それでも元グリーン個室をこの価格で利用できるのは破格であると思います。

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スノーモンキーは元成田エクスプレスの車両が使われている。
元グリーン個室をネットで予約する方法

座席を予約する方法とほぼ同じです。

 

予約ページから入力を進めていきます。

成田エクスプレスのアイコンの「スノーモンキー」を選択します。

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個室指定席はスノーモンキーのみについている。

シートマップから「4人用個室席」を選びます。

一度の予約で一室を押さえるので、複数人で利用する場合も代表者が購入することになります。

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個室指定席は一度の予約で4席分を押さえる扱いになる。

あとは座席を指定する方法と同様で、予約の確認と決済を行い完了です。

こちらの個室は1編成に1室しかありませんので、予約当時に埋まっていたら他の列車を選ぶかキャンセルを待つ必要があります。

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予約を確認して決済に進む。

 

その他の車両は自由席のまま、追加料金100円で乗車可能!

今回は一部の列車の一部の車両が指定席化されました。

そのため、通勤通学時間帯を走るB特急や日中の指定席以外の座席は特急料金100円のみで利用することができます。

 

特急ゆけむりの展望席も最後尾は追加料金不要なので、お得に楽しみたい方は後方展望をおすすめします。

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特急ゆけむりの中間車両はハイデッカーとなっており、展望席とは違った解放感を味わうことができる。

長野電鉄の特急列車は展望席や個室以外も楽しみどころがありますので、是非いろいろな席でご旅行を楽しんでもらいたいですね~

 

 

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※諸般の事情で長らく投稿がなくすみませんでした……が久々に復活いたしました。これからも緩く投稿していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

【破格】新潟エリアの便利なフリーきっぷ「えちごツーデ―パス」

新潟エリアの鉄道が2日間乗り放題!

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えちごツーデ―パスは2740円で2日間乗り放題になる破格のきっぷである。

「えちごツーデ―パス」は、新潟エリアの鉄道を2日間利用できるフリーきっぷです。

基本的に金・土・日・祝日の連続する2日間に利用することができ(詳細は公式HPに利用可能日が記載されています)、きっぷを買った当日から乗ることができます。

 

このきっぷ、JR東日本の在来線だけでなく、上越新幹線やえちごトキめき鉄道、北越急行なども利用できます。

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JRの公式HPより。えちごツーデ―パス利用可能エリア。

JR東日本の公式HPに詳細がありますが、ほぼ新潟エリア全域の鉄道を2日間利用できてなんと2740円

越後湯沢ー新潟間の片道運賃が2310円であることと比較すると、1日でも元が取れそうなきっぷであることが分かります。

 

このエリアは新幹線の開業によって様々な鉄道会社が混在しているため、18きっぷなどが使いづらいところで、逆にこのきっぷは非常に利便性が高いものになっています。

 

 

購入できる駅と日付に注意!

えちごツーデ―パスはフリーエリア内のJR東日本の指定席販売機やみどりの窓口、旅行会社などで購入できますが、購入場所と日付に注意が必要です。

 

えちごトキめき鉄道では限られた駅でしか買えない

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えちごトキめき鉄道は全線で「えちごツーデ―パス」が利用可能だが、発売駅は限られている。

えちごトキめき鉄道でもこのきっぷを買うことができますが、

春日山・高田・新井・妙高高原・糸魚川

の各駅のみ、窓口での販売となっています。

 

糸魚川駅は新幹線の駅もありますが、管轄がJR西日本なので指定席券売機での取り扱いはありません。えちごトキめき鉄道の窓口で購入する必要があります。

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えちごツーデ―パスを購入できない駅の一例。

翌日が平日の場合は買えない

通常の日曜日や連休最終日など、翌日が平日の場合は当日に購入することはできません。

1日分でも元が取れそうな破格なきっぷであるゆえに、気をつけないといけない部分です。

 

ただし、「土曜日にえちごツーデ―パスを購入して土曜日に使用し、日曜日は使用しない」といった使い方は可能です。

それでも十分お得に使用できます。

 

えちごツーデ―パスのメリット

使える範囲が広く、安い

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第三セクターが増えて利用しにくい区間も、このえちごツーデ―パスならそのまま乗ることができる。

えちごツーデ―パスの1番のメリットは、使用できるエリアが広く安いことです。

特に第三セクターの路線を跨ぐ区間でも追加料金なしで使用できる点が魅力です。

 

えちごツーデ―パスでは、青春18きっぷや北海道東日本パスなどでは乗車することができない、北越急行やえちごトキめき鉄道全線にも、乗車することができます。

 

2日間乗り放題で2740円。

第三セクターが多く運賃が割高になりがちなエリアで、このような格安なきっぷが使える点はとても便利です。

追加料金を払えば急行・特急や新幹線も乗車できる

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追加で特急券を購入すれば、新幹線にも乗車できる。

次の魅力は、追加料金を払えば急行や特急、新幹線に乗れるというところ。

これらは他のフリーきっぷでも使用できるものが多々ありますが、こちらも青春18きっぷにはない便利な部分です。

 

また、JR東日本以外の区間でも同様の扱いで、例えばえちごトキめき鉄道の急行列車も、別途急行券を支払えば利用が可能です。

魅力的な列車が揃う新潟エリアをえちごツーデ―パスで!

えちごツーデ―パスが使用できる新潟エリアには、意外と珍しく魅力的な列車が多々あります。

観光列車で日本海を堪能

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追加で指定席料金を払うだけでも、越乃shukuraで日本海を堪能できる。

こちらはこのきっぷで使用できる車両の代表格でしょうか。

指定席料金を別途支払えば利用できます。

 

shu*kuraという観光列車で、日本酒片手に、日本海をはじめとした車窓を堪能できます。

季節が合えば日本海の夕日を駅から眺めることもできます。

 

鉄道趣味としても、近年数を減らしているキハ40やキハ47の改造車として乗っておきたい車両の一つです。

 

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日本最速の快速「超快速スノーラビット」

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日本最速の快速「超快速」。

こちらは言わずと知れた、表定速度が日本最速の快速列車です。

ほくほく線内を高速で走り続けるこの列車は、かつて日本最高速度で走る在来線特急だった「はくたか」を彷彿とさせます。

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ほくほく線の田んぼの真ん中を高速で走る爽快感は格別!

最速列車は直江津9:56発直江津行きで、84.2kmを57分で駆け抜けます。

 

あの「2階建て新幹線」にさよならを…

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今秋で引退となるE4系Max。新幹線から「2階建て」が完全消滅する。

えちごツーデ―パスでは上越新幹線の一部区間にも利用できます。

今年の10月で引退する2階建て新幹線E4系

混雑を避けて、東京近辺より新潟エリアの区間内で乗車するという選択肢もあります。

 

急行列車の面影を追う

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えちごトキめき鉄道の観光急行。

 

えちごツーデ―パスのほかに別途急行券(1乗車500円)を買えば、えちごトキめき鉄道の観光急行に乗車することができます。

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観光急行の車内でも急行券を買うことができる。その場合は補充券となる。

 

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また、新潟エリアには優等列車に起源をもつ快速列車が多数運転されています。

朝に走る「快速信越」は夜行の「急行きたぐに」に起源をもつ列車で、ほぼ「きたぐに」のダイヤで走行しています。

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長岡でしばらく停車する快速信越。このダイヤは急行きたぐにから引き継がれたものである。

先日ご紹介した新潟発新井行きの快速列車も、急行赤倉などに起源をもつ優等列車の名残で、115系で運転されます。

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新潟から新井までを高速で駆け抜ける「新井快速」。

 

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他にも急行「あさひ」に起源をもつ快速べにばな(一部区間)にも乗車できます。

新潟~東北エリアに多く残る「かつて急行列車だった快速」を探すのも、なかなか楽しいですよ~

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快速「べにばな」はもともと急行列車だった。

広い範囲をお得に移動できるえちごツーデ―パス、ぜひ旅のお供に1枚、いかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

【115系】最後の花形運用、新潟の「新井快速」に乗る

続々と引退が進む115系

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夕方の新潟エリアを疾走する「新井快速」。

東日本エリアでは、国鉄時代に製造された車両が続々と引退を迎えています。

勾配のある路線や寒冷地などで活躍した115系

東日本では現在、しなの鉄道とJR東日本の新潟地区のみで見られる貴重な存在となっています。

 

先日、115系の塗装の中でも特に人気のあった「スカ色」の編成がしなの鉄道から引退し注目を集めました。

置き換えなどによって、いつ、どの編成が消滅してもおかしくない状況にあります。

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現在解体が進んでいるしなの鉄道の「山スカ」。

一方で115系の活躍はまだ終わったわけではありません。

今回はJR東日本新潟エリアを走行する、115系最後の花形運用「新井快速」に乗車します。

 

 

115系、2時間の高速運転が楽しめる

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今やボックスシートに2時間揺れることができる定期列車も貴重なものになっている。

「新井快速」とは、新潟を17:01に発車する「快速新井行き」の通称です。

新潟から長岡、柏崎を経て直江津からえちごトキめき鉄道に直通し新井まで向かう列車です。

走行距離は153kmにもおよび、この列車は新潟地区に7編成残る115系のどれかが運用に入ります。

 

新潟ー直江津間で快速運転を行い、停車駅は…

亀田、新津、矢代田、加茂、東三条、三条、見附、長岡、宮内、来迎寺、柏崎、柿崎、犀潟、直江津と、直江津からの各駅

となっています。

 

通過駅は27駅もあり、新潟ー直江津間は2時間17分と、同区間を走行する特急「しらゆき」と比較しても20分程度しか変わりません。

もちろん青春18きっぷなどでもJRの区間であれば乗車することができます。

 

この列車の前身は同区間を走行する快速「くびき野」、もっとさかのぼれば長野ー新潟間を走行する特急「みのり」や急行「赤倉」にあたり、優等列車の流れを汲んでいます。

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同区間を走行する特急「しらゆき」に使用されるE653系。(この写真は快速信越の回送)

新井快速に乗車!

17:01、新潟駅を出発

それではホームに向かいます。

出発は9番線とのことで、高架ではなく昔からある方のホームになります。

ホームがかなり離れているので、新幹線の改札口方面からですとギリギリに乗車するのは難しいかと思います。

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新井快速は17:01の発車。

9番線ホームには115系3両編成がが停車中。

しっかりと「快速」の幕も出ています。

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9番線に「新井快速」が停車中。しっかりと「快速」の幕が出ている。

訪れた際は「旧弥彦色」が運用に入っていましたが、使用する編成は固定されているわけではないので、様々な色の115系が来る可能性があります。

(※新潟エリアでは7編成7色が存在します)

 

発車10分前前後に乗り込みましたが、車内はすでにボックス席が埋まる程度の混雑でした。

8月末で乗客は地元の方7割、マニアの方が3割といった印象です。

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新潟駅を発車。

長距離を走行する列車なので、大きめの荷物を網棚に載せている人もちらほら。

地元の方が最後にドドッと乗り、立ち客がそこそこの乗車率になりました。

まるで車内チャイムが鳴りだしそうな雰囲気で新潟を発車していきます。

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途中、新津までは地元の方が乗ったり降りたり、通常の快速列車のような役割を果たしながら進んでいきます。

 

長岡駅で乗客が入れ替わる

新津ー長岡間は通過駅こそあるものの、停車駅は多め。

一方で結構早いダイヤなので115系は途中もかなり飛ばして走ります。

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通過駅はあるが、ちょこまかと駅に停車する。

途中駅で人が降りていき、段々と車内は長距離列車の雰囲気になります。

三条を過ぎると基本的に座席には余裕をもって座れる状況になります。

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雰囲気はほぼ急行列車!?

新幹線の高架が近づき日が傾くころ、長岡に到着します。

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夕日を浴びて長岡駅へ。

ここで一気に乗客が入れ替わりましたが、席には余裕がありました。

一方で入れ替わらない人は私も含めて大体がマニアの方という感じ。

停車時間はどの駅も短く、あっさりと出発していきました。

 

宮内で上越線と別れて、信越線に入っていきます。

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上越線と別れる。

続々と駅を通過して、夕日の日本海へ…

これまでと変わり、この快速は来迎寺を出ると柏崎まで、20分以上停車がありません。

田んぼが一面に広がる平野の景色が終わり、山間部へと入っていきます。

流石115系というだけありまして、山中も高速で難なく通過していきます。

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来迎寺から先は山間部へ。

急行列車のような走りを魅せる115系。

どんどんと駅を通過し、柏崎方面へ向かいます。

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この区間は続々と駅を通過していく。山を越え平らになれば柏崎は近い。

柏崎で地元の方が降り、マニア率の高い列車になっていきます。

柏崎~柿崎間は日本海の近くを通るため、車窓から良い景色を眺めることができ人気があります。

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これは日が沈みそう…

8月末に行きましたので、沈む太陽と115系の対決はやや劣勢……

ギリギリ耐えた景色ですが、夕日の日本海を疾走する115系はなかなか味わえません。

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海に近い駅として知られる青海川駅も通過。

↓青海川駅のちゃんとした夕日の風景はこちら

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柿崎あたりでちょうど日が沈み、直江津に着くころには真っ暗になっていました。

このまま夜行列車としてどこまでも行ってくれそうな雰囲気がありますが、この快速は直江津でしばらくの停車です。

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日が沈むにつれ、車内の雰囲気も変わる。

115系で運転される理由は「トキ鉄」にあり!?

直江津ではしばらくの停車時間があり、列車を撮影することができます。

逆に言えば、直江津まではずっと停車時間が僅かな速達列車だったということになります。

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直江津駅ではしばらくの停車がある。

乗客はまた入れ替わり、再び地元の方がそこそこ乗車されています。

大体は高田までの乗客でした。

2時間を超える115系の旅も終わり、上越妙高に到着しました。

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上越妙高に到着!

えちごトキめき鉄道を走行する国鉄型車両は、413系・455系のほかこの115系もわずかですが存在します。

その115系の運用はこの「新井快速」とこの折り返しの普通列車になります。

 

↓えちごトキめき鉄道、もう一つの国鉄型車両がこちら

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ところでこの「新井快速」、現在は新潟発新井行きの1本だけですが、以前は新井発の列車も存在していました。

現在はえちごトキめき鉄道との直通は終了し、直江津ー新潟間の快速として走行しています。

使用車両も115系ではなくE129系に変更されてしまいました。

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直江津駅に停車中のE129系。

えちごトキめき鉄道では信越本線時代から115系が走っていましたが、E129系の運用実績がなく、また今後対応する予定もありません。

そのためか、えちごトキめき鉄道に直通するこの「新井快速」は115系限定で運用されていると考えられます。

 

しかし、この「新井快速」も運転区間が短縮された場合(えちごトキめき鉄道への直通が消滅した場合)、使用車両が置き換わる可能性は十分にあります。

115系の余命もそこまで長いとは思えませんし、この列車の活躍を堪能できるのもあと少しかもしれません。

「今のうちに乗っておきたい列車」の一つ

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115系新井快速と並ぶキハ40+47のshukuraの回送。

先ほども読んでいただいたように、この「新井快速」も置き換えや運行区間が短縮されれば115系で運転される可能性は低くなるかと思います。

 

115系で2時間超えのロングラン、高速運転を楽しめるこの列車も乗れるうちに乗っておきたい列車として推しておきたいです。

尚、日本海の夕日を見たい場合は8月中旬までの乗車をおすすめします(次は来年かも…)!

 

残り少なくなった115系の活躍、可能な限り見守りたいと思います…。

 

 

2021年8月の豪雨被害と長野エリアの鉄道の現状

2021年8月の豪雨、長野県の鉄道に打撃

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橋脚が傾いてしまった松本電鉄上高地線の田川橋梁。

2021年に停滞する前線の影響で、全国各地で大雨が降り続けました。

西日本から離れた長野県でも被害が出まして、鉄道にも影響が及んでいます。

今回は長野エリアの鉄道の現状を見ていきます。

 

 

アルピコ交通(松本電鉄)上高地線、橋梁の損傷で一部区間運休

松本ー新島々間を結ぶ松本電鉄上高地線。

西松本ー渚間の「田川橋梁」が損傷し、松本ー新村間が運休しています。

現在は松本~新村間でバスによる代行運転が行われ、新村~新島々間で運転が再開しました。

 

松本駅7番線には、現在も上高地線の車両が止まっています。

この車両は損傷した橋梁の先に停車しているため、移動させることはできません。

パンタグラフも下がっています。

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松本駅7番線には松本電鉄の車両が停車している。橋梁が復旧するまでは動くことはないだろう。

少し移動しまして、一駅先の西松本駅へ。

この駅のすぐ先に「田川橋梁」があります。

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西松本駅から田川橋梁を望む。

新島々側の橋脚が傾いていて、レールも橋脚も曲がってしまっています。

上流側を見てみると、ちょうどこの橋梁の手前で田川と薄川が合流しているので、流れる勢いが増えたとも考えられますね。

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新島々側の橋脚が傾いている。この橋の上流には川の合流部がある。

しかし…小さな地方私鉄がこの壊れた橋梁を復旧させるのは、資金的にもハードルが高そうです。

 

西松本駅には自転車が止まっていましたが、バス代行のための駐輪場として機能しているようです。

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西松本駅の自転車置き場には自転車が多数停まっている。

グループにバス会社があるからか、バスによる代行は被災から2日後から行われています。

これは長野エリアの被害を受けた路線の中で、最も早くから運行されているバス代行となります。

しかし並行する道路は元から交通量が多く、先日も代行バスによる所要時間の大幅な増加が問題に上がりました。

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(上)上高地線代行バス。

(下)新村交差点付近の渋滞。平行する国道は信号渋滞が多い。

 

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中央西線特急「しなの」は当面の間運休

中央西線塩尻~南木曽間で運休が続いています。

倉本~上松間および木曽平沢~贄川間で土砂流入が発生。

特に木曽平沢~贄川間は信号設備も破損しました。

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特急「しなの」は谷沿いを走るため、急傾斜地のすぐ近くを走る。

これにより特急「しなの」は運休しており、同区間の貨物列車も迂回を余儀なくされています。

 

上松~奈良井間は23日に、奈良井~塩尻間は8月末に、南木曽~上松間は9月末に運転再開の見通しが立っています。

また、23日から上松ー奈良井間で運転再開される列車とその他の区間の代行バスを乗り継ぐことで、中央西線の全区間を移動できるようになります。

 

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塩尻ー松本ー長野間で211系の臨時快速を運行

また、需要の大きい塩尻~松本~長野間にはほぼ特急「しなの」のスジで走る臨時快速列車が数本運転されています。

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特急「しなの」のスジで走る臨時快速。余談だが「快速塩尻行き」の方向幕はかなりレア。

筆者も長野に用事がありこの臨時快速に乗車しましたが、乗客はまばら……

あまり認知されていないのかもしれません。

 

もともとこの区間は特急しなのも少し余裕のあるダイヤになっているためか、そのまま211系で走っても遅くならないんですよね~

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乗客はまばら。特急しなのとほぼ同じ停車駅なので、通過駅も多い。

臨時快速は、特急「しなの」すべてのダイヤで運転されるわけではないので、塩尻ー長野間は事実上の減便となっています。

そのためか定期の普通列車が通常より混雑しているので、ご利用の方はご注意を…

 

飯田線辰野ー伊那新町間は当面の間運休、一部バス代行実施

飯田線は現在辰野~伊那松島間、平岡~大海間が運休となっています。

特に宮木~辰野駅間の横川橋梁が損傷しているため、JR東海は復旧には相当な時間がかかるとしています。

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伊那松島駅は飯田線の前身「伊那電気鉄道」開業時の終点。現在も運輸区がおかれ拠点駅となっている。

伊那松島~伊那新町間は23日に運転再開するそうです。

(岡谷~)辰野~伊那新町間はバスによる代行運転の見込みが立っていて、23日に運行が開始されます。

平岡~大海間は現在被害状況の調査中で、8/20現在バス代行についてもまだ発表されていません。

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辰野経由の中央本線は運休

中央本線岡谷~(辰野経由)~塩尻間は現在も運休が続いています。

辰野~川岸間で土砂流入が発生し、JR東日本は復旧には相当な時間がかかるとしています。

JR東日本ではバスによる代行運転は行わないようです。

JR東海の代行バスによって、25日までは岡谷~辰野間の移動が可能になります。

 

一方、塩嶺トンネル経由の列車はほぼ通常通り運行されているため、特急「あずさ」などには影響はありません。

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かつて大正時代のホーム屋根が残っていた川岸駅。今回、駅近くでは土石流被害で人の命が奪われた。

ちなみに、岡谷市で発生した土石流で3名が死亡してしまった災害は、川岸駅の近くで起こったものです。

 

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走行中の列車の被害はなし

大きな被害を受けた長野エリアの鉄道ですが、運行している車両や旅客の被害はありませんでした。

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北陸新幹線は被害はなかったが、浸水のおそれのある車両基地から車両を移動させる措置をとった。

長野エリアの鉄道は、大雨の当日、新幹線以外のJR•民鉄はすべての路線が運休。

台風で多くの車両が浸かってしまった北陸新幹線では、教訓を活かして事前に車両を移動する措置が取られました。

「危険な状況、雨量の場合には運休などの対処をする」という概念が定着しつつあり、その結果とも言えると思います。

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上田電鉄の「赤い橋」の復旧は行政と民間、鉄道会社が一体となって行われた。

一方、橋梁の損傷など、多額の資金が必要となる復旧工事が複数想定されます。

全国的に鉄道会社はコロナ禍で収益が低下していますし、この問題をどう乗り越えるのか、行政も含めた検討が必要になりそうです。

 

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【新駅】開業のカギは気動車化!?えちご押上ひすい海岸駅を探索!

えちごトキめき鉄道の新駅「えちご押上ひすい海岸駅」

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2021年3月に開業した新駅「えちご押上ひすい海岸」。

2021年3月、えちごトキめき鉄道に新駅が開業しました。

その名も「えちご押上ひすい海岸駅」

ひらがなと漢字が交互に来る、長くてキラキラした駅名ですがいったいどんな駅なのでしょうか……?

 

 

糸魚川駅から1.6km離れた隣の駅

新駅は、北陸新幹線と接続する糸魚川駅から直江津方面1.6kmほど離れています。

ホームは踏切を跨いで上り線と下り線に分かれています。

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踏切を跨いでホームが2手に分かれる。

糸魚川・泊方面のホーム側にはトイレや駐輪場、駅舎が設置されています。

この駐輪場の敷地はJRのものなのか、トキ鉄のものなのか……

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(上)駅前に設置されているトイレ。

(下)駅前の駐輪場。北陸新幹線の高架下にある。

船小屋をイメージしたという駅舎、なかなかいい感じです。

「ひすい」の文字がひすい色になっています。

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えちご押上ひすい海岸駅の駅舎。

中にはいってびっくり、エアコンが着いています!

灼熱の日に訪問しましたが、残念ながらついておらず……

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待合室にはエアコンも。

ホームの長さはぎりぎり2車両分ぐらいでしょうか?

直線の線路にシンプルなホームです。 

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糸魚川方面のホーム。

工夫次第では写真も撮りやすそうですね~ 

乗車位置は一か所です。

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一か所だけ乗車位置が描かれている。

直江津方面のホームも同様、シンプルなホームです。

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直江津方面のホーム。

直江津方面のホームは信号が被るので、ホームから写真撮るのには向かないかもしれません。

 

「デッドセクション」という難題を越えて誕生

さて、この新駅はだいぶ前から新駅誘致の動きがあったようで…

この駅は地元糸魚川市の請願駅で、糸魚川市押上地区の皆様方の悲願の駅。

今から約50年前に糸魚川高校が今の場所に移転した時から、ここに駅があれば便利なのになあと考えられていたそうです。

祝 えちご押上ひすい海岸駅 開業 | えちごトキめき鉄道社長(いすみ鉄道前社長) 鳥塚亮の地域を元気にするブログ

とえちごトキめき鉄道の鳥塚社長が語っています。

 

周辺には病院や高校があり、新駅ができれば利便性が向上すると考えられていました。 

 

ところで、鉄道マニアの方ならご存知かもしれませんが、北陸本線複線電化の際、現在の新駅近辺に直流と交流を切り替えるためのデッドセクションが作られました。

デッドセクションはいわば絶縁になっていて、この区間は電車は加速することができません(加速できない区間なので、この区間に列車が止まってしまってもいけない)。

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えちご押上ひすい海岸駅付近に存在するデッドセクション。

toshonori baba - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8455104による

そのため、デッドセクションを通過する電車はある程度のスピードで、惰性でこの区間を通過する必要があります。

そんなデッドセクションの近くに新駅ができてしまうと、十分な速度が出ないままこの区間に止まってしまったり、逆に駅に停車できないリスクがあります。

 

ということでなかなかこの新駅を作ることは困難だったのですが、JRから第三セクターの「えちごトキめき鉄道」にこの区間が移管され、車両も電気を使わずに走るディーゼルカーが投入されました。

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えちごトキめき鉄道の普通列車は気動車で運行される。

電気を使わないのなら、デッドセクション近くに駅があっても特に問題になりません。

車両が気動車に変わったことで、約50年もの年月を経て、新駅が作られたのです。

観光名所「ヒスイ海岸」も徒歩圏内!

新駅付近には高校や病院といった施設がありますが、観光名所「ヒスイ海岸」も徒歩圏内にあります。

ヒスイ海岸は、砂浜ではなく石の海岸で、運が良ければ翡翠を合法的に拾うことができます。

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駅から歩いてすぐ、日本海が見える。

駅前の踏切から日本海まで歩いて5分、海岸までは10分かからず着くことができます。

国道を渡る地下道を渡ると、ヒスイ海岸に到着です。

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国道を渡り、ヒスイ海岸へ。

筆者はこの駅が誕生する前、糸魚川駅から歩いて行ったことがありますが、往復1時間くらいかかりました……

新駅のありがたさが良く分かります…

 

海岸に降りてみます。

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ヒスイ海岸へ。

あれ…砂っぽく見えますが、もっと波打ち際に行けば分かります。

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砂ではなく石が転がっている。

なかなか綺麗な石がたくさんありまして、翡翠ではなくても楽しめます。

海岸を一方向に歩く怪しい人影がありますが、これは石を探している人です。

歩いている人を追い越して石を探してはいけないという暗黙のルールがあります。

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普通の砂浜海岸と波の音が違います!

海を見ながらボーっとするのも良し、石を探すのも良し…

ちなみに翡翠は、冬~春先までがシーズン(大きいものが採れる)なので、夏は小さいものが見つかればラッキーと言う感じ。

 

えちごトキめき鉄道の新駅から、宝石探しに出かけるのもなかなか楽しいですよ~!

 

【表定速度80km/h超】えちごトキめき鉄道で急行型車両の圧巻の走りを体験する!

土休日に運行されるえちごトキめき鉄道の「観光急行」

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観光急行に使用される413系・455系。

えちごトキめき鉄道では、土休日に急行列車が運転されています。

使用している車両は413系・415系で、元を辿れば国鉄時代の急行型車両に起源を持つ貴重な車両です。

 

今回えちごトキめき鉄道を走る「急行型車両で走る急行列車」に乗車します。

想像を超える高速走行が楽しめます!

 

 

旧北陸本線に急行列車が帰ってきた!

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「急行」と書かれた電光掲示板。

えちごトキめき鉄道の観光急行は、日本海ひすいラインの直江津ー市振間1往復(急行1号・2号)、直江津ー糸魚川間1往復(急行3号・4号)で運行されます。

日本海ひすいラインは旧北陸本線の市振ー糸魚川ー直江津間が第三セクター化された路線で、かつては多くの特急・急行列車が走行していました。

 

第三セクター化された後に普通列車中心のダイヤが組まれ、優等列車のほとんどが姿を消してしまいました。

今回の急行列車の復活で、土休日のみではあるものの久々に優等列車が走ることになります。

 

ダイヤは以下の通りです。

  • 急行1号…直江津11:26→糸魚川12:20-34→市振12:52
  • 急行2号…直江津14:31←糸魚川13:28-42←市振13:10
  • 急行3号…直江津15:03→糸魚川15:51
  • 急行4号…直江津17:08←糸魚川16:40

 

特筆すべきは急行4号のダイヤ。

直江津ー糸魚川間38.8kmを28分、表定速度82.5km/hというかなりの高速運転です。

今回登場した「急行列車」がちゃんと急行らしい運転をしているということが分かります。

 

その他のダイヤも途中駅で長時間の運転停車をするので、実際に走行している速度は意外と早いです。

 

また、すべての急行列車で車内販売が行われ、一部の列車では直江津駅で駅弁の立ち売りがあります。

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ホリデーツアーパスと乗車記念証。

急行料金は大人500円で、休日のみに利用できるトキ鉄ホリデーツアーパスを購入すると追加料金なしで乗車できます。

車内では急行券を補充券で発売してくれます。

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車内で購入できる急行券。

これは特別な対応ではなくむしろ好意的に発券してもらえ、追加で記念に購入することもできます。

(筆者もホリデーツアーパスを買っていましたが、追加で記念に急行券を購入しました)

至るところに残る急行型の面影

413系・455系にはいたるところに急行型車両の面影があります。

413系のボックスシート、窓側の腕かけが無くなっていますが相当古いタイプの急行型のシートではないでしょうか。

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413系のボックスシート。取っ手に注目!

この取っ手のタイプは多分(?)これが最後だと思います。

一方455系はかなり色濃く急行型の面影が…

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455系の車内。

こちらは一部がロングシート化、デッキが撤去されたほかは急行型のままに近い状態で保たれていると考えられます。

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455系のボックスシート。

座り心地はこちらの方がずっしりとした感じで、乗車していると快適で眠りに落ちそうです。

こちらの座席は窓側の腕かけが残っていますね~

 

トイレも洗面台も現存していて、痰吐付洗面器もちゃんと残っています…

これはもう文化財ですねぇ~

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今や貴重、痰吐付洗面器。

どの車両でも急行らしさを感じますが、455系の方が乗車率が高かったです。

モーターがあるのは413系の方ですので、楽しみ方に応じて車両を変えるといいかもしれません。

急行1~3号は写真撮影や観光を、4号は圧巻の走りを!

えちごトキめき鉄道の急行列車は、運行される急行そのものに愛称があるわけではなく、ダイヤ順に急行1~4号と付番されます。

 

比較的ゆったりとしたダイヤで運行される急行1~3号は、景色の良い箇所や筒石駅付近での徐行運転や、途中駅停車中に写真撮影ができる(改札外には出られません)ように設定されています。

運転停車の際もドアが開いて、撮影や見学ができる

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名立駅に降りることができる。

筆者は2号・3号に乗車しましたが、2号は名立駅、3号は能生駅で停車がありました。

急行2号は名立駅では待避線に入りますが、3号は通過線を走ります。

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名立駅に残る、北陸線時代の看板。

一方の能生駅はカーブがちょうどよくて、写真撮影に向いています。

いずれも停車中にサボを交換してくれたり、ファンのツボを押さえたサービスをしてくださいます……分かってくれています!

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能生駅は撮影しやすい。

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納入時に付けられたサボをつけてくださった。

デッドセクションで電気が消える…あの経験をもう一度!

旧北陸本線では途中、直流区間と交流区間で電化の方式が変わる場所があります。

この区間を通過する電車には特殊な「交直流両方に対応する車両」が必要で、急行列車で運行される413系・455系はそれに該当します。

 

えちごトキめき鉄道のえちご押上ひすい海岸ー梶屋敷間に直流と交流が変わる箇所があるのですが、この切り替えを行う際に、車内の電気が消えるのです。

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デッドセクション通過時は車内の電灯が消える。

一方で現在この路線に導入されている普通の車両はディーゼルカーなのでこの体験は出来ません。

交直流車両って高価なので導入のハードルが高いんですよね~そのために架線があってもディーゼルで走っている路線は意外と多くあります。

急行1・2号は親不知を抜けて市振まで走行

急行1・2号は糸魚川を超えて、親不知海岸の脇を通りながら市振まで運行されます。

景色の良い区間なので、観光という意味ではこちらまで乗車された方が楽しめるかもしれません。

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親不知付近を通過する急行列車。

市振駅周辺には道の駅があり昼食をとることができますが、急行1号の折り返しの急行2号は到着から約20分で出発するので、注意が必要です。

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市振駅停車中。

急行4号で圧巻の走りを堪能

急行列車として一日の最後に運転される急行4号。

表定速度82.5kmという高速走行が楽しめるのはこの列車です。

 

糸魚川出発前には時間があり、ご厚意で幕回しをしていただきました。

乗客の数は時間の都合か意外と少なめでした。

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幕回しもやっていただいた。

筆者は最も急行型車両の形をとどめている455系に乗車しましたが、この圧巻の走りはモーターのある413系に乗った方がより楽しめるかも……

糸魚川を出発するとすぐにトップスピードまで加速していきます。

 

グイグイと加速する割に乗り心地が良いのは、流石急行型車両というところでしょうか。

交直流を切り替え、トンネルを高速で走り続けていきます。

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トンネルも高速で通過する。

モグラ駅の筒石駅も一瞬で通過し、名立駅も通過線を高速通過。

 

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名立駅は通過線を走る。

途中駅を通過し続け、あっという間に直江津に着きます。

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途中駅を高速通過。

これぞ急行列車、至高の走りを堪能できました。

皆様もご乗車の際は、ぜひ急行4号まで乗ってみてください!

 

貴重な車両を本来の走りで保存しているえちごトキめき鉄道、時代を乗り越え乗って残していきたいですね~

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直江津のホテルα1の客室から撮影した413系・455系。

 

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