toremorの旅手帳

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2021年8月の豪雨被害と長野エリアの鉄道の現状

2021年8月の豪雨、長野県の鉄道に打撃

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橋脚が傾いてしまった松本電鉄上高地線の田川橋梁。

2021年に停滞する前線の影響で、全国各地で大雨が降り続けました。

西日本から離れた長野県でも被害が出まして、鉄道にも影響が及んでいます。

今回は長野エリアの鉄道の現状を見ていきます。

 

 

アルピコ交通(松本電鉄)上高地線、橋梁の損傷で一部区間運休

松本ー新島々間を結ぶ松本電鉄上高地線。

西松本ー渚間の「田川橋梁」が損傷し、松本ー新村間が運休しています。

現在は松本~新村間でバスによる代行運転が行われ、新村~新島々間で運転が再開しました。

 

松本駅7番線には、現在も上高地線の車両が止まっています。

この車両は損傷した橋梁の先に停車しているため、移動させることはできません。

パンタグラフも下がっています。

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松本駅7番線には松本電鉄の車両が停車している。橋梁が復旧するまでは動くことはないだろう。

少し移動しまして、一駅先の西松本駅へ。

この駅のすぐ先に「田川橋梁」があります。

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西松本駅から田川橋梁を望む。

新島々側の橋脚が傾いていて、レールも橋脚も曲がってしまっています。

上流側を見てみると、ちょうどこの橋梁の手前で田川と薄川が合流しているので、流れる勢いが増えたとも考えられますね。

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新島々側の橋脚が傾いている。この橋の上流には川の合流部がある。

しかし…小さな地方私鉄がこの壊れた橋梁を復旧させるのは、資金的にもハードルが高そうです。

 

西松本駅には自転車が止まっていましたが、バス代行のための駐輪場として機能しているようです。

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西松本駅の自転車置き場には自転車が多数停まっている。

グループにバス会社があるからか、バスによる代行は被災から2日後から行われています。

これは長野エリアの被害を受けた路線の中で、最も早くから運行されているバス代行となります。

しかし並行する道路は元から交通量が多く、先日も代行バスによる所要時間の大幅な増加が問題に上がりました。

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(上)上高地線代行バス。

(下)新村交差点付近の渋滞。平行する国道は信号渋滞が多い。

 

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中央西線特急「しなの」は当面の間運休

中央西線塩尻~南木曽間で運休が続いています。

倉本~上松間および木曽平沢~贄川間で土砂流入が発生。

特に木曽平沢~贄川間は信号設備も破損しました。

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特急「しなの」は谷沿いを走るため、急傾斜地のすぐ近くを走る。

これにより特急「しなの」は運休しており、同区間の貨物列車も迂回を余儀なくされています。

 

上松~奈良井間は23日に、奈良井~塩尻間は8月末に、南木曽~上松間は9月末に運転再開の見通しが立っています。

また、23日から上松ー奈良井間で運転再開される列車とその他の区間の代行バスを乗り継ぐことで、中央西線の全区間を移動できるようになります。

 

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塩尻ー松本ー長野間で211系の臨時快速を運行

また、需要の大きい塩尻~松本~長野間にはほぼ特急「しなの」のスジで走る臨時快速列車が数本運転されています。

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特急「しなの」のスジで走る臨時快速。余談だが「快速塩尻行き」の方向幕はかなりレア。

筆者も長野に用事がありこの臨時快速に乗車しましたが、乗客はまばら……

あまり認知されていないのかもしれません。

 

もともとこの区間は特急しなのも少し余裕のあるダイヤになっているためか、そのまま211系で走っても遅くならないんですよね~

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乗客はまばら。特急しなのとほぼ同じ停車駅なので、通過駅も多い。

臨時快速は、特急「しなの」すべてのダイヤで運転されるわけではないので、塩尻ー長野間は事実上の減便となっています。

そのためか定期の普通列車が通常より混雑しているので、ご利用の方はご注意を…

 

飯田線辰野ー伊那新町間は当面の間運休、一部バス代行実施

飯田線は現在辰野~伊那松島間、平岡~大海間が運休となっています。

特に宮木~辰野駅間の横川橋梁が損傷しているため、JR東海は復旧には相当な時間がかかるとしています。

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伊那松島駅は飯田線の前身「伊那電気鉄道」開業時の終点。現在も運輸区がおかれ拠点駅となっている。

伊那松島~伊那新町間は23日に運転再開するそうです。

(岡谷~)辰野~伊那新町間はバスによる代行運転の見込みが立っていて、23日に運行が開始されます。

平岡~大海間は現在被害状況の調査中で、8/20現在バス代行についてもまだ発表されていません。

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辰野経由の中央本線は運休

中央本線岡谷~(辰野経由)~塩尻間は現在も運休が続いています。

辰野~川岸間で土砂流入が発生し、JR東日本は復旧には相当な時間がかかるとしています。

JR東日本ではバスによる代行運転は行わないようです。

JR東海の代行バスによって、25日までは岡谷~辰野間の移動が可能になります。

 

一方、塩嶺トンネル経由の列車はほぼ通常通り運行されているため、特急「あずさ」などには影響はありません。

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かつて大正時代のホーム屋根が残っていた川岸駅。今回、駅近くでは土石流被害で人の命が奪われた。

ちなみに、岡谷市で発生した土石流で3名が死亡してしまった災害は、川岸駅の近くで起こったものです。

 

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走行中の列車の被害はなし

大きな被害を受けた長野エリアの鉄道ですが、運行している車両や旅客の被害はありませんでした。

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北陸新幹線は被害はなかったが、浸水のおそれのある車両基地から車両を移動させる措置をとった。

長野エリアの鉄道は、大雨の当日、新幹線以外のJR•民鉄はすべての路線が運休。

台風で多くの車両が浸かってしまった北陸新幹線では、教訓を活かして事前に車両を移動する措置が取られました。

「危険な状況、雨量の場合には運休などの対処をする」という概念が定着しつつあり、その結果とも言えると思います。

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上田電鉄の「赤い橋」の復旧は行政と民間、鉄道会社が一体となって行われた。

一方、橋梁の損傷など、多額の資金が必要となる復旧工事が複数想定されます。

全国的に鉄道会社はコロナ禍で収益が低下していますし、この問題をどう乗り越えるのか、行政も含めた検討が必要になりそうです。

 

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