篠ノ井線の廃線跡が遊歩道になっている
塩尻―篠ノ井間を結ぶ篠ノ井線。
特急「あずさ」や「しなの」が走行し、信越線に直通することで長野県内の主に塩尻ー松本ー長野間の都市間輸送を担っています。
篠ノ井線は峠を複数越える山岳路線で、姨捨駅付近のスイッチバックや日本三大車窓に選ばれた景色が有名です。当ブログでも少し触れたことがあります。
篠ノ井線の明科ー西条間も険しい区間で、昭和63年に長大トンネルによる新ルートに切り替わりました。
その時に残された旧ルートの一部が、現在遊歩道として開放されています。
遊歩道には複数のレンガ造りのトンネルが残されていますが、中でも「漆久保トンネル」は明治時代の開通当時から変わらない姿で現存しています。
123年の歴史、漆久保トンネル
漆久保トンネルは、明治30年に開通した長さ53mの小さなトンネルです。
ただし書きには「開業当時から補修工事がされていない」とありましたので、篠ノ井線の電化時に架線を張ったぐらいしか手を加えられていないと考えられます。
当然トンネルの構造もそのまま。
明治時代の重厚なトンネルの造りを近くで感じることができます。
トンネル内に入ると壁面から天井の方まで、すべてレンガ造りであることが分かります。
後からコンクリで補強したりはされていません。
黒いすすは蒸気機関車が走っていた当時のもので、今ではレンガの色とのコントラストが良い感じになっています。
トンネル内には、鉄道が走行していたころの部品も一部残されています。
壁面にあるのはケーブル類の部品ですかね?
天井には電化されていたころの架線が張った跡が見られます。
碍子が残っているところが、個人的には好きなポイントです。
53mのトンネルを抜けると、出口脇には速度制限標識が残っていました。
この区間では60km/hの制限がかかっていますが、新しく建設された長大トンネルは、ほぼ直線で普通列車でも100km/h近くのトップスピードで通過します。
遊歩道となっている旧線には信号場もあったので、新線建設は所要時間短縮にかなりの効果があったのではないかと思います。
トンネルの周りにも設備が残る
踏切跡
塩尻方面の出口から明科駅方面に進むと、踏切が残っています。
独特なアーチ構造:小沢川橋梁
トンネル脇からは小さな沢の橋梁が現存しており、実はここもかなりの見どころです。
谷底までは階段が整備されています。
降りた先にはこれまたレンガ造りの水路があります。
レンガの積み方にご注目。
一段ごとに異なる向きでレンガが積まれ、かなり変わったデザインになっています。
普通の方向に積まれている段と、アーチの軸の向きに積まれている段があります。
このような造りは全国的にも極めて稀なんだそう。
建築には疎いのでよくわかりませんが、確かにこんな造りのアーチ橋は見たことがありません。
距離標や注意書き
ウォーキングコース脇にはたびたび鉄道標識が残っています。
復元されたものではなく、こちらも当時のまま。
探しながら歩いてみるとなかなか楽しいのでおすすめです。
別のエリアには中継信号機が残っているらしいです……
いたるところで見られる「林内に立ち入らないこと」の看板。
よく見ると「日本国有」の文字が消されているようにも見えます。
アクセス
明科駅から「駅からウォーキング」もできるのですが、かなりの辺境の地なのでマイカーでの訪問をおすすめします。
鉄道マニアでなくても楽しめると思いますよ~
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情報量も多そうなので、もしよかったら覗いてみてください。