2021年のダイヤ改正で注目される185系と215系
2021年のダイヤ改正では、JR東日本の定期列車として走る最後の国鉄型特急車両、185系の定期運用が消滅することが発表されています。
もともと東海道線の特急「踊り子」に使用されていた185系は、かつて特急「あずさ」に使用されていた257系にバトンを渡しつつある状況です。
また、東海道系統の通勤ライナーは特急に格上げされ、「ライナー」用の車両として開発された全車2階建ての215系も運用が無くなります。
一見中央線系統に関係なさそうな車両ですが、数年前までは中央線でどちらの車両も走っていて、休日にはこの2形式を中央線内で乗り換えることもできました。
今回は、実際に185系と215系を乗り継いで松本から新宿まで移動した2018年のある夏の休日をご紹介します…!
185系が中央線・篠ノ井線を疾走!臨時特急「はまかいじ」
2019年の1月まで、松本ー八王子ー横浜間には臨時特急「はまかいじ」の運転がありました。
停車駅は松本を出ると、塩尻、岡谷、下諏訪、上諏訪、茅野、富士見、小淵沢、韮崎、甲府、石和温泉、山梨市、塩山、勝沼ぶどう郷、大月、八王子と、八王子から横浜線に入って、橋本、町田、新横浜、横浜でした。
ほぼ急行列車並みの停車駅で、「かいじ」という名前が付きながら長野県の松本まで走っていたんですね~。
臨時列車ではありましたがほぼ毎週末運転されていたので、当時は特に珍しさはなく鉄道ファンの姿もまばらでした。
使用車両は185系の6両編成、全車普通車でした。
「はまかいじ」に乗る
では実際に松本駅から乗車していきます。
松本駅に飾られているこの提灯…「松本ぼんぼん」という、道路を封鎖して踊りながらパレードする大きなお祭りに際して飾られているものです。
当然の如く幕式の行先表示ですが、やっぱりこう行先が「くるくる」と表示されるまでの時間がとても夢がありますね~
当時ブログを書くなんて微塵も思っていなかったので、テキトーな写真が多いですが車内の様子を見ていきます。
なんというか空気が185系という感じ。
個人的には国鉄型特急車両の車内の雰囲気とはちょっと違う、この車両オリジナルの雰囲気がある気がします。
少々マニアックな話をしますと、座席はR55型という国鉄車両のリニューアルではおなじみの座席が配置されています。
まだまだ座席の下に足が延ばせる時代になるのは先のことで、「ムーンライトながら」などでこのシートに苦しめられた方も少なくないかもしれません。
遅延して出発したため、松本駅を出た途端に猛加速。
鉄道唱歌のオルゴールと肉声放送でしたが、だんだんと唸るモーター音で放送が聞こえなくなります。
ほぼトップスピードのMT54の爆音モーター音は篠ノ井線でも堪能できました。
当時は多分単純に「185系に乗車した記録が欲しかった」若造でしたので、こんな感じで窓が開くところがあるとか、戸袋窓があるとかで満足していた気がします。
車両の号数がプレートで入っていたり、水色の表示板で「自由席」と表記されているのも、現在では貴重なものになりました。
途中駅で189系の臨時特急「あずさ」とすれ違いました。
中央本線方面も数年前まで国鉄車両はそこそこ臨時で残っていたんですね~
何を思ったのか指定席ではなく、自由席に乗ってしまったので「はまかいじ」と印字されたきっぷは筆者のきっぷ入れに保存されていません。
もったいない感じがありますが、その後小淵沢までの自由席という存在が貴重なものになりましたので、これで良かったのかも…?
何故か洗面所の写真を撮って、小淵沢駅で下車しました。
小淵沢駅から、また臨時列車に乗り換えです。
おまけ:長野車両センターで185系の運転席を楽しむ
余談ですがその後少しずつ185系の廃車が進み、長野車両センター公開時には解体前の先頭車両の中に入ることができました。
車内は電気が通っていませんでしたが、運転席に入ることができました。
なんだか廃車にするのはもったいないな~と感じるレベルで、最後まで綺麗に使われていた様子が読み取れます。
その後この車両は重機の餌に…
215系で走る中央線最後の長距離普通列車「ホリデー快速ビューやまなし」
ホリデー快速ビューやまなしは、山梨県の小淵沢から新宿までを結ぶ長距離の快速列車です。
「かいじ」より長い区間を走行する列車で、登山客や観光客には特急料金なしで乗れることから人気でした。
ご存知の方も多いかもしれませんが、215系は着席通勤が流行っていた時代に、オール2階建て車両で座席定員を増やした車両です。
「▶▶◣」と書かれた先頭のデザイン、DDL(Double Decker Linerの略称)の文字をかたどったものです。
座席定員は増えたものの、ドア数が2しかないので乗降に時間がかかり、活躍の場が縮小傾向に。
最近ではもっぱら東海道線の通勤ライナーと、この中央本線のホリデー快速ビューやまなしにしか使われませんでした。
ただこの車両、この「ホリデー快速ビューやまなし」にはずいぶんと向いている車両でした。
山梨県から(特に大月から)はごった返すくらいの客を乗せますが、基本的に八王子や新宿近辺まで降車する客は少数。
人の流れがある程度固定化されているので、乗降に時間がかかるというデメリットもそこまで問題になりませんでした。
ホリデー快速ビューやまなしのグリーン車に乗る
小淵沢駅からは当駅始発の臨時列車「ホリデー快速ビューやまなし」に乗車します。
この列車に使われる車両は、オール2階建て車両の215系です。
今考えれば中央本線に東海道線系統の車両がバンバン走っている面白い時期でしたね~。
筆者は終点まで乗るので、ゆとりのグリーン車に乗車します。
この列車、自由席は主に大月近辺からの観光客、指定席は観光客と18きっぱーで混雑しますが、グリーン車は価格が高く特急料金とあまり変わらないので、物好きしか使わない傾向にあり、普段から空いていました。
2階席にはちらほらお客さんが乗っていましたが、1階席は0人……。
215系には1階席、2階席ともに網棚がないという特徴があります。
そこまで遠距離の移動をするコンセプトで造られていないので、問題はなかったのだと思います。
どことなくJR初期っぽさがにじみ出ていますね~
ドア付近に来てみると、普通列車のグリーン車である感じがとても良く分かります。
車端部には平屋席も設けられていて、他にお客さんがいなければ個室気分を味わうことができます。
こちらには網棚があるので、大きな荷物があるときはこちらの方が便利かも…
この列車、10両編成なんですがモーターが先頭2両と後部2両に偏って配置させているため、発車時には客車のように強めのショックを受けます。
これが215系の醍醐味だったんですよね~
途中まで2階席で景色を眺めていました。
普段見慣れない位置から見るのでなかなか楽しかったですね~
甲府を過ぎ、途中の甲斐大和で特急列車を先に通します。
確か新宿まで1本しか抜かれなかった記憶があります…
その後も山梨県内を淡々と走行していきます。
個人的にはこの列車の見どころは東京に入ってからもあると思います。
普段、大月以西から立川以東へ直通する普通列車はこの列車のほかにはなく、かつて走っていた中央本線の長距離普通列車の面影を最後に残した存在ともいえます。
中央線の長距離普通列車は、新宿を出ると立川(古くはこの駅も通過)、八王子まで止まりませんでしたが、同区間はこの列車も三鷹、立川、八王子にしか止まりません。
そうこうしているうちに終点、新宿に到着です。
ホームはずいぶんと逸れて、山手貨物線方面へ。
向かいには今は無きスーパービュー踊り子の姿が……
JR初期の面々が顔を合わせました。
居場所に苦労しながら山手線での運用実績もあるという215系。
今度のダイヤ改正で本当に居場所がなくなってしまうかもしれませんが、思い出としてとどめておこうと思います。
そして185系、良くここまで残ったな~と思いますが、最後まで活躍を遠くから見守りたいですね~