toremorの旅手帳

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中央線特急の2019ダイヤ改正を「もっと深く」考える

来る2019年3月26日、JRはダイヤ改正を行います。

乗る人、撮る人大忙し。

 

ニュースにも取り上げられ、沿線住民は旗を揚げ…

話題になった(?)中央線特急のダイヤ改正を、

もう少しじっくりと見ていきたいと思います!

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中央線特急に使用されるE353系(左)とE257系(右)。松本駅にて。

 

 中央線特急では主に

「特急の速達化と料金体系の見直し」

がなされました。

 

それでは細かく見ていきます。

 

中央線特急はE353系に統一

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大糸線に乗り入れる車両もE353系に変更となる。南小谷駅にて試運転。

中央線特急は現在、一部列車がE257系で運行されていますが、

今後新型車両E353系に統一されます。

 

これによって中央線特急の全車指定席化、サービス向上、速達化への貢献が期待されます。

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E353系普通車には、荷物棚下、エアコン吹き出し口近くに「指定席発売済み」を示すランプの設置がされている。

コンセントや大型テーブルのついた座席、乗り心地…など、

一般利用者にはうれしいサービス向上なのではないでしょうか。

 

「あずさ」停車駅削減

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諏訪湖周辺は、特急停車駅問題や複線化問題など、鉄道関連で意見がまとまらなかったことが多い地域。高ボッチ高原から諏訪湖を望む。

沿線住民の反対が日々報じられる、話題となっているテーマです。

 

長野県内では伝統的に停車していた「上諏訪駅」が、

今回のダイヤ改正で上下1本通過するようになります。

 

この区間中央東線の中では少ない単線になっていて、

その都合で列車が停車しているという見方や、

住民との協議の結果、特急がほぼ各駅停車状態になったという見方が

多いのが現状です。

 

上諏訪駅一つ手前(新宿方面)の茅野駅には全列車が停車し、

普通列車との接続もとれるようなので、こちらはダイヤ改正後も、

ある程度の利便性は確保されると思います。

 

また山梨県内では、今まで一部の列車が停車(上り下りそれぞれ1日5本程度)していた

石和温泉、山梨市、塩山の3駅が全列車通過となります。

 

こちらは停車する特急の本数が減るだけなので、

今回のダイヤ改正の影響は大きいかもしれません。

 

ただ、甲府ー新宿間では「あずさ」が慢性的に混雑していることが多く、

(おそらく停車駅がかいじに比べて少ないから)「かいじ」には空席が多い印象です。

 

このようなことから、混雑の分散化を図りたいという意図があるのではないかと、

筆者は推測します。

 

富士急行線直通の特急「富士回遊」新設

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新宿から河口湖方面の需要は大きい。新宿駅にて。

以前から直通実績の多かった富士急行へ乗り入れる、

「特急富士回遊」が新設されます。

 

新幹線開業によって近年では在来線特急の種類は減る傾向にありますが、

新たな特急が走ることになった珍しい例です。

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廃車された189系6両編成は、臨時あずさ以外でも、臨時快速として富士急行線へ入ることもあった。

以前から特急車両を用いた快速列車が多く運行されていました。

現在では房総から転用された、E257系5両編成が快速運用につくことがありますが、

需要に対応しきれていないのが現状です。

 

外国人観光客の需要も高まりもあって、「確実に座れる」「料金を徴収できる」列車

として活躍するのではないかと思われます。

 

 

東京近郊のライナー、特急化

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中央ライナー青梅ライナーは「着席して帰りたい」という通勤客の需要にこたえてきた。

中央線の東京周辺の帰宅ラッシュは非常に混雑し、

「座って帰りたい」という需要はかなりあります。

 

この列車には中央線の特急列車が充当され、

快速列車全車指定席の扱いで普通車に510円、グリーン車に720円で乗れるため、

多くの通勤客に人気でした。

 

今度のダイヤ改正では

  • 特急格上げに伴って、料金が200~300円程度値上げされる
  • 朝にも新宿方面に運転されるようになる
  • 八王子ー高尾間には運転されなくなる

という変更点があります。

 

朝にも座って通勤できるようになるのは良いと思いますが…

「料金値上げ…!?困る…」という意見は少なくないです。

これについては下の項目で!

 

全車指定席化と、料金体系の見直し

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JR東日本のホームページより。常磐線特急と同じような料金体系となる。

2019年のダイヤ改正から中央線特急は全車指定席化します。

これは常磐線特急と同じようなシステムで、

定価できっぷを買う際にグリーン車以外は同じ料金になるというものです。

 

様々な料金がありますが、まとめると

  • 現行の自由席より高くなり、指定席より安くなる
  • グリーン車は全体的に値下げされる
  • 今まで利用できた各種割引きっぷは値上げされる

全体的に均衡のとれた料金体系になることが分かります。

 

今回の料金改定で「意外と便利かな?」と感じるのが

えきねっとチケットレスサービス」

 

グリーン車、普通車の特急料金が一律100円引きであるだけでなく、

JR東日本ニュースには

『「えきねっとチケットレスサービス」は、指定席1席のご利用につき「えきねっとポイン ト」が 30 ポイント(75 円相当)たまります。 』

とあります。

 

つまり事実上175円の割引です。

また、「チケットレスサービス導入キャンペーン」では、

普通車指定席の特急料金が300円引きになるので、

事実上1席で5円の割引になります。

 

この割引料金は距離と関係なく一律ですので、

短距離利用をするほどお得になる制度です。

 

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特急車両が快速として走る例。廃止傾向にある。松本駅にて。

一方、中央ライナー青梅ライナーの後継、

「おうめ」「はちおうじ」の利用者もこの運賃体系になり、

値上げとなります。

 

中央線普通列車グリーン車導入を見込んだ料金だと考えると、

「腑に落ちる」と思います。

東海道線などに使われる普通列車グリーン車の料金も、幅はありますが

800~1000円程度。

 

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普通列車グリーン車は快適に長距離を移動できる。

 

 

もし現行のライナーが、中央線普通のグリーン車が走り始めても存続すると

普通列車グリーン車よりずっと安く新型特急のサービスを受けられる」

という本末転倒なことがおこりかねません。

 

ただし、これが吉と出るのかはわかりません。

新宿ー八王子ー高尾間では私鉄の京王線が競合しています。

こちらは運賃も安く、さらに座席の指定サービスが追加で400円。

 

価格に敏感なサラリーマンが京王線に流れるかもしれません。

(無論、人が流れても大丈夫なくらいに利用者がいるのかもしれませんが)

 

短距離では京王線、長距離では京王バスなどに競合する中央線。

その軍配はどちらに上がるのでしょうか。