今年の冬シーズン、青春18きっぷを手にした鉄道ファンが注目した列車がありました。
その名は「ムーンライト信州81号」。
新宿を23:54に出発、中央本線・篠ノ井線・大糸線経由で白馬に翌5:40に着く夜行快速列車です。今では夜行列車そのものが珍しいものになってしまいましたが、ムーンライト信州に使われる車両がさらに鉄道ファンを惹き寄せるのです。それが189系という国鉄型車両です。今回はその車両の歴史と、見どころ、現状と今後の動向などを見ていきたいと思います。
189系とは?
189系は、1975年に登場した国鉄の特急型車両です。主に信越本線の直流区間の特急「あさま」「そよかぜ」や中央本線の特急「あずさ」に投入され、当時老朽化の著しかった181系(ボンネット型の直流用特急型車両。特急「こだま」にも投入された)を置き換えるために登場しました。
北陸新幹線開業前、信越本線の区間であった関東平野から軽井沢方面に向かう碓氷峠(横川ー軽井沢間)は、最大勾配66.7‰(1kmで66.7m登る)の鉄道屈指の難所でした。
この急勾配を越えるため、当時この区間を走行する列車はすべて、専用の電気機関車EF63形を併結して運転されました。189系は、この電気機関車から受けた指令で自車の動力制御ができる、いわゆる協調運転が可能な車両でした。
現役最後の189系、廃車間近!?
北陸新幹線が長野まで開業すると、信越本線の横川ー軽井沢間は廃止となり、在来線特急「あさま」も廃止となりました。このため余剰となった189系は転出・廃車され、臨時列車などにも充当されましたが、新型車両の登場で徐々に姿を消すようになりました。2018年まで運用のあった豊田車両センター所属の6両3編成も廃車されました。
そして2019年現在、運転されている最後の編成が 長野総合車両センター所属の189系N102 編成。
2015年までは長野ー直江津間の普通・快速列車「妙高」号として活躍。しかし北陸新幹線金沢延伸開業の際、JRから第三セクター「北しなの線」に移管され、この列車は廃止されました。その後臨時列車として「あずさ」に投入されたり、新宿ー白馬間の「ムーンライト信州」として運転されていました。
2019年1月現在、最後の運用となっているのが塩尻ー長野間に平日運転される「おはようライナー」。しかし、2019年のダイヤ改正で189系の運用から普通列車に使われている211系へ置き換えられることが明らかになり、事実上の定期運用を終えることになりました。
まだ乗れる!「おはようライナー」
2019年3月26日のダイヤ改正までは、189系N102 編成を使用する「おはようライナー」が平日に以下のダイヤで運転しています。
塩尻 657
村井 703
松本 709-710
田沢 717
明科 722-723
長野 810
※乗車の際は乗車券のほかに乗車整理券310円が必要です。自動券売機か車内で購入できます。
※快速列車のライナー扱いですので乗車券として18きっぷも使えます。
※単に塩尻・松本地区ー長野地区を往復するのならば、信州往復きっぷというおトクなきっぷがあります。
因みに松本長野間は往復で1470円(乗車券のみ)。定価ですと往復の乗車券で2280円かかりますから810円も安くなります。おすすめです。
189系N102編成の見どころ
幕回し、先頭車両最前部の側面にあるASAMAのフォント、自由席の札、温度計…
人によってどの部分を魅力に感じるかは様々かもしれませんが…
筆者は車両製造当時から変わっていない簡易リクライニングシートをおすすめします!6号車のみこちらのシートが使われています。
このほかに簡易リクライニングシート使われている国鉄車両はおそらく東武鉄道SL大樹の14系座席車くらい…?かなり貴重なものになりますので是非ご体感くださいませ!
長野駅につきましたら、しなの鉄道の115系との並びも胸アツ!最後まで楽しめます。
(追記…鉄道唱歌オルゴールの車内チャイムはならない場合が多いと思います…)
残りわずかとなった国鉄型特急車両。原型をとどめている最後の車両に、お乗りになってはいかがでしょうか?