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かつての大動脈、今ではバラバラに…【信越本線の今⓪】

大動脈、信越本線の今を追う

こんにちは。トレモロです。

自己紹介から入るの苦手なんですが、当ブログは皆様のおかげで累計3万pvを超えました。

いつもご覧いただき本当にありがとうございます。

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信越本線の特急に使用された189系。

さて、そういう節目でございまして今回はシリーズ物で、かつて高崎から長野経由で新潟までを結んでいた、信越本線と呼ばれた鉄道路線の現在を追ってみたいと思います。

 

信越本線は当初から官設鉄道(国が建設した鉄道)として建設され、現在でもほとんどの路線は現存しています。

 

しかし現在、一部区間で平行する北陸新幹線が開業し、第三セクター(民間と国や地方公共団体が共同で運行する)鉄道に移管され、それらは別の路線となっています。

つまり「信越本線」と名乗っている路線は高崎ー横川間、篠ノ井ー長野間、直江津ー新潟間と途切れ途切れになっているのです。

 

「だから何なんだ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれの地域で抱えている事情や信越本線の役割の違いがそこから見えてきます。

第1回…いや第0回は信越本線の歴史と、現在をざっくりと俯瞰してみます。

 

 

歴史は日本最初の鉄道建設に遡る

あまりイメージが沸かないかもしれませんが、信越本線は日本の中でもトップクラスに歴史の深い路線です。

 

信越本線の建設ルートの一部は、「中山道幹線」と呼ばれる明治初頭の計画ではじめて示されました。

中山道幹線は東京と京都を結ぶ目的で計画されたもので、文字通り中山道に沿うルートでした。

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中山道幹線のルート(赤)とその支線。Tam0031 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=45461426による

東京と京都を結ぶ鉄道ルートとしては、東海道ルートと中山道ルートが案として出されていましたが、「陸運・海運が盛んだった東海道よりも先に、不便な中山道に沿って建設する」ということで中山道ルートの建設が決まりました。

 

色々あって現在の高崎線(上野ー熊谷ー高崎間)が日本鉄道という私鉄によって開業したのは、なんと東海道線の建設よりも前のこと。

 

高崎から先、西側(京都方面)へ向かう中山道幹線(高崎ー軽井沢間)とその建設のための資材を運搬する路線(軽井沢ー直江津間)として建設されたのが、信越本線です。

 

  • 高崎ー横川間…1885年開業
  • 直江津ー関山(新潟県)間…1886年開業
  • 関山ー長野ー軽井沢間…1888年開業
  • 横川ー軽井沢間(碓氷峠)…1893年開業
  • 直江津ー新潟間は私鉄北陸鉄道として開業

ご覧のように信越本線はほとんどの区間で1800年代の開業。

歴史が古いことが分かります。

 

信越本線の今はどうなっている?

高崎ー横川間:「信」でも「越」でもないのに…

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横川駅に停車中のD51 498と旧型客車。土日を中心に運行される。

群馬県内で完結するこの区間は「信」も「越」も通りませんが名前は信越本線のまま残っています。

JR東日本の管轄です。

 

平行して北陸新幹線(高崎ー長野間)が1997年に開業しましたが、こちらは第三セクターになっていません。(基本的に新規開業の新幹線に平行する路線は第三セクター化されます)

 

新幹線と平行はしているものの接続駅が高崎しか存在せず、横川から先、軽井沢までは廃線になっているので、現在では都市間輸送よりローカル輸送に特化した路線になっています。

 

またこの区間は、観光列車としてSLを運行していることでも知られています。

 

横川ー軽井沢間:最大の難所は廃線に…

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碓氷峠を越えるためだけに製造されたEF63。普通列車も特急列車もこの機関車を連結しなければならなかった。

横川ー軽井沢間には碓氷峠と呼ばれる峠が存在します。

この峠、「上って下る」一般的な峠ではなく、長野側が一方的に高く、群馬側が一方的に低くなっています。

つまり峠の頂上付近と麓を勾配に弱いと言われる鉄道で結ばなければならなかったのです。

 

開業も他の区間に遅れること5年。

開業当時は「アプト式」と呼ばれる歯車を組み合わせたユニークな鉄道で結ばれました。

 

その後改良され速度も向上しましたが、専用の機関車を連結しなければ鉄道は登ったり下ったりできない難所であることには変わりませんでした。

運行コストが高く「満員電車になっても赤字」とも言われたこの区間、1997年北陸新幹線長野開業に合わせて廃線、バス転換されています。

 

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レンガ造りの手前の路線が旧線(アプト式)、奥の架線柱が見える路線が新線(EF63の併結運転)。どちらも保存状態良く残されている。

横川駅にはかつて峠越えの専属の機関車が常駐していましたが、そのあとは「碓氷峠鉄道文化むら」という博物館になっています。

  

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軽井沢ー篠ノ井間:しなの鉄道に移管

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しなの鉄道SR1系とJRから譲渡された115系。

新幹線と完全に平行するこの区間は、北陸新幹線長野開業に合わせて第三セクター化されました。

「しなの鉄道」は移管当初経営難に陥っていましたが、様々な取り組みによって改善、現在では「第三セクターの成功例」として語られることがあります。

 

2020年に完全新造の新車を導入。

「信越本線」のルートの中では最も新しい車両が走っています。

 

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篠ノ井ー長野間:わずか9.3kmだけ残った信越本線

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篠ノ井駅のホーム案内板。しっかり直江津方面と書かれている。

篠ノ井ー長野間は長野県内で唯一残った「信越本線」です。

JR東日本によって運行されています。

 

この区間には篠ノ井駅で接続している篠ノ井線(松本方面)から、名古屋ー長野間を結ぶ特急「ワイドビューしなの」が通ります。

新幹線と完全に平行する区間ですが、第三セクター化されていない珍しい区間です。

この特急しなのと北陸新幹線の接続のためJRのまま残されているとも言われています。

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信越本線長野駅まで乗り入れる特急しなの。

長野近辺の輸送を担っていて、列車は篠ノ井線かしなの鉄道(旧信越本線)と直通していて、第三セクターがJRに乗り入れる形で運行されます。

 

営業成績はあと一歩で黒字、1時間に3~4本程度とほんの少し「本線らしさ」を感じる区間です。

 

長野ー妙高高原間:直通するJR飯山線も3セク通過を強いられる

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妙高高原駅。北しなの線でも115系はまだまだ活躍中。

長野ー妙高高原間は再び第三セクター「しなの鉄道」の管轄。北しなの線と呼ばれます。

この区間は北陸新幹線金沢延伸開業に合わせて第三セクターに移管されました。

 

この区間の途中駅「豊野」からJR飯山線が分岐しています。

飯山線は北しなの線に長野駅まで乗り入れていますが、豊野ー長野間は「しなの鉄道」なので別料金で運賃が上乗せされます。

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飯山線に使用されるキハ110形。一部区間だけ旧信越本線に乗り入れる。

先ほどの篠ノ井ー長野間とは逆で、JRの路線が第三セクターに乗り入れています。

ややこしい~

 

基本的に複線だった旧信越本線は、北長野から先の区間では基本的に直江津まで単線に変わります。

 

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妙高高原ー直江津間:スイッチバックが現在も現役

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現在も残る二本木駅のスイッチバック。

妙高高原ー直江津間は「えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン」という第三セクターに移管されています。

えちごトキめき鉄道は新潟県内を走る新幹線に平行したJR路線を引き継いだ会社で、旧信越本線(妙高高原ー直江津間)と、旧北陸本線(市振~直江津間)を所有しています。

 

途中にあるスイッチバック駅、二本木駅では現在でもスイッチバック運転が行われ、名所となっています。

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北しなの線SR1系ととえちごトキめき鉄道「雪月花」。

こちらも経営難でしたが最近「雪月花」という観光列車を導入。

予約が取れないほどの人気があります。

 

上越妙高駅から先は新潟方面まで、旧信越本線と信越本線を直通する特急「しらゆき」が運行されています。

 

直江津ー新潟間:まとまった距離のある珍しい区間

直江津駅から長岡駅を経て新潟駅へ、この区間が最も信越本線としての原型をとどめている地域です。

こちらはJR東日本の管轄。

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青海川駅は夕日が美しい。

特に直江津ー柏崎間は海沿いを走る景色のよろしい区間です。

信越本線は山だらけのイメージですが、海沿いも走るのです。

青海川駅は日本一海に近い駅の一つと言われ、夕日の時間には絶景を楽しむことができます。

 

長岡から先は打って変わって通勤路線へ。

政令指定都市である新潟市をはじめ、長岡市や三条市など、人口の多い区間を通ります。

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信越本線新潟地区に使用されるE129系。

「新潟周辺のラッシュをなめてはいけない」

これは筆者の中では18きっぷ旅の教訓として末永く語り継ぎたい言葉の一つです…

本当に大変ですから…

 

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シリーズ:信越本線の今

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信越本線を走る特急「しらゆき」。

このようにざっくりと旧あるいは現役の信越本線のルートをご紹介しましたが、いかに変化に富んだ路線であることがご覧いただけたかと思います。

意外と廃線となった区間は短くて、旅客用であれば横川ー軽井沢の碓氷峠の区間のみなんですよね…

 

次回以降はこの変化に富む信越本線を区間ごとに少し掘り下げて見ていきたいと思います。

筆者の情報にはムラがあったりしますので、間違っていたらぜひコメントなどでお知らせください。

 

それでは今後もよろしくお願いいたします。

 

次回へ続く…

 

 

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