toremorの旅手帳

鉄道と旅行と温泉と。大学生の放浪の様子をご覧ください。

18きっぷも利用可!リゾートビューふるさとのマニアックな見どころ

リゾートビューふるさとで大糸線を満喫

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リゾートビューふるさとは現在、ゆるキャラのアルクマのラッピングがされている。

快速リゾートビューふるさとは、主に土休日に長野―松本ー南小谷間を運行する観光列車です。

冬になるとこの観光列車、「オフシーズン」のイメージが強いですが、快適な車内から大きな窓を通じて雪景色を堪能できる魅力があります。

 

もちろん快速列車なので、指定席券を追加で購入すれば18きっぷも利用できます。

 

ちなみに筆者は長野県在住のマニアということで、地元ならでは、マニアならではの見どころもご紹介!
今回はリゾートビューふるさとに乗車して大糸線の冬景色を見に行きます。

 

 

やたらと遠回りの観光列車「リゾートビューふるさと」

リゾートビューふるさとは片道・全線の所要時間は4時間超と、意外と乗車時間の長い観光列車です。

運行経路は長野から信越本線、篠ノ井線、大糸線を経由して南小谷駅へと至るというもので、途中松本駅で進行方向が変わります。

地図で運行経路を見てみると、ものすごい遠回りをしていることが分かります。

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快速リゾートビューふるさとの運行経路。かなり遠回り。

地域間の速達性はほとんどなく、観光に特化した列車なんですね~

 

長野から白馬方面への移動はマイカー・高速バスが主流で、長野から白馬までの所要時間は1時間少々です。

移動だけ考えればこの方が便利…


長野ー白馬間にはかつて鉄道を通す計画があり、「善光寺白馬電鉄」として部分的に開業していましたがダムの建設により廃止になりました。

ちなみにこの善光寺白馬電鉄の路線に「電車」が通ったことは一度もなく、現在でも運送会社として社名が残っています。

 

アルクマラッピングになったリゾートビューふるさとに乗車!

話をもとに戻しまして、快速リゾートビューふるさとをじっくりと観察します。

使用車両はHB-300系

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リゾートビューふるさとに使用されるHB-300系。

快速リゾートビューふるさとに使用される車両はHB-300系というハイブリッド気動車です。

エンジンの動力で発電機を回し、蓄電池の電気と発電機の電気を合わせて車両を動かす、という駆動システムなので「ハイブリッド」なんだそう。

 

リゾートビューふるさとの運行経路はすべて電化されていますが、気動車での運転となっています。

これは飯山線方面への臨時観光列車の運行が想定されているためで、実際に十日町までの運航実績があります。

 

このHB-300系は羽越線の「きらきらうえつ」の後継「海里」や、リゾートしらかみ橅編成、青池編成に使用されている車両と同系列です。

ただしリゾートビューふるさとは2両編成で、個室などの設備はありません。

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同じ系列、HB-300系リゾートしらかみ橅編成。

確かに外形はほとんど同じですね~

 

塗装はリゾートビューふるさとオリジナルのものになっており、現在は四季とアルクマのデザインのラッピングがされています。

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車両側面にはラッピングがされている。

 

まるでグリーン車?ゆったりシートピッチの快適な車内

よく「乗り得列車」と評される快速リゾートビューふるさとですが、その理由は車内の座席にあります。

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リゾートビューふるさとの車内。

4列シートが整然と並ぶ車内ですが、シートピッチは1200mmと新幹線のグリーン車並みの広さとなっています。

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快速列車ながらシートピッチ1200mmを確保している。

座席からテーブルを取り出すとその広さが良く分かりまして、前の座席のテーブルを取り出しても手が届かない…

そのため座席横から小さなテーブルを出せるようになっています。

ちなみに両方のテーブルを出しても干渉しません。

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座席横からもテーブルが出せる。

ただ難点もありまして、シートピッチは広くても座席の座面の面積が小さいんですよ…

多分この部分でシートピッチを稼いでいるのですが、それならシートピッチを多少狭くしても座面を広げてほしかったな~と個人的には思います。

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座面が小さく深く腰掛けるのは難しい。

しかしながら総じて快速列車の指定席としてはとても快適だと思います。

追加530円ですからね~

 

リゾートビューふるさとの先頭部分は1号車、2号車ともに展望スペースになっています。

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リゾートビューふるさとの展望スペース。

現在は中止していますが、確か民話だか何だかを朗読する地元の方のイベントとかも、このスペースを使って行われます。

 

基本的にこのスペースが人でごった返すことはないので、景色が気になったらこの展望スペースに移動するのがおすすめの楽しみ方です。

 

松本―白馬間の車窓の見どころ

さて、だいぶ前置きが長くなりましたが、筆者は松本―白馬間で往復する日程を組みました。

 

座席は松本→南小谷間は進行方向左側、反対方向は右側の席に乗車すると見どころが多く、おすすめです。

しかし反対側の座席になっても、展望スペースは自由に使えますし、特に気にすることはないと思います。

 

※今回は松本から白馬にかけて観光用とマニア用の見どころをごちゃまぜにご紹介しています。

 

梓川を渡る

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筆者は夕暮れの梓川の方がおすすめである。復路に撮影。

島高松ー梓橋間では梓川を渡ります。

これは長野方面では進行方向右側、南小谷方面では左側に見える景色です。

 

梓川は上高地近辺(写真右手ので山が低く谷になっているところから流れています)を流れこの近辺に至り、犀川と合流して長野市方面へ、最終的には千曲川と合流して信濃川として新潟方面へ流れます。

 

特急「あずさ」の名前の元となっていますが、実際に「梓川を渡るあずさ」は大糸線直通の列車しかありません。

 

一日市場駅の駅名標

快速リゾートビューふるさとは途中「一日市場駅」を通過します。

復路ですと確か行き違いで停車しますが、この駅には国鉄時代の駅名標を駅舎側に移設して現在でも使われています。

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一日市場駅の駅名標。

新しい駅名標はホーム上に設置されていますが、こうして国鉄時代のを綺麗に残してくれるのは嬉しいですね~

 

安曇野の田園風景と北アルプス

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安曇野の田園風景。往路に撮影。

まず、豊科駅までの間に進行方向左側に広がるのが、「安曇野」の田園風景です。

特に「何もありません」が、大きな窓から北アルプスのふもとに広がる「安曇野」の典型的な風景を見ることができます。

 

列車が走っている近辺は主に稲作が行われていて、皆さんのイメージが強いリンゴとかの栽培はもっと北アルプスのふもとの方で行われています。

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北アルプスと田園風景はしばらく続く。

この写真の右よりの一番高い山(の奥の方!)が常念岳という山で、この辺りでは一番のランドマーク的な山となっています。

 

山頂近辺を登っているときと思われる写真がこちら…ブレててガスってますけど!

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常念岳に登ったわかかれし頃に撮影した写真。

筆者はあまり自力で登る山登りが好きではないのでやる気のない写真ですが、晴れていれば景色は綺麗でなんだと思います。

割と初心者でも登れる山らしいですが、標高は2857mあります。もう登るのはいいかな。

 

穂高駅の長時間停車

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穂高駅に停車中のリゾートビューふるさと。

穂高駅では長時間停車中に穂高神社に参拝に行くことができます。

指定券を駅員に見せることで誰でも途中下車することが認められています。

 

観光コースとしては当駅停車中に穂高神社に参拝することができ、感染症拡大以前は巫女さんによる案内が行われていました。

穂高神社は交通安全を祈願する方が多く訪れ、車で車両ごと参拝することもできます。

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穂高神社。穂高駅から徒歩5分。

夏シーズンはこの駅で臨時特急しなの81号白馬行きに抜かれます。

しなのも穂高駅に停車するので、別途特急券を買えば先回りすることもできます。

 

安曇追分駅に残る池田鉄道のホーム跡?

この駅は、現在のダイヤでリゾートビューふるさと復路で運転停車します。

「かつて」といっても約80年ほど前ですが、安曇追分駅から私鉄の「池田鉄道」が分岐していました。

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安曇追分駅にはかつてのホーム跡が現存する。これは池田鉄道のものか、貨物扱いのホームかは現状ではわからない。

駅構内ではホーム跡と思われるコンクリートの建造物が残されています。

駅舎側にももう一本線路があったようですね~

 

安曇追分駅から東側に、高瀬川という川を越えた対岸「池田町」の方まで伸びる路線でした。

池田町は現在では大雪渓酒造という酒造メーカーがあることで有名です。

 

現在でもホーム跡が残る部分があり、廃線探訪をして楽しむこともできます。

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池田鉄道、終着の北池田駅のホーム跡。線路跡よりホーム跡の方が残っている箇所が多い変わった廃線跡である。

 

北アルプスの前面展望と高瀬川

穂高駅から信濃大町駅まで、特に信濃常盤駅付近の松本方面の前面(後面)展望がおすすめです。

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信濃常盤駅付近を走行中の快速リゾートビューふるさと。八ヶ岳も見えている。

南側の中央アルプスや左手には遠く八ヶ岳をのぞむこともできます。

前面・後面展望はこの近辺が一番おすすめかもしれません。

特におすすめなのは復路の前面展望で、信濃大町駅を出たら前面を見に行くと夕暮れの景色を楽しめますよ~

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高瀬川を渡る。

南大町駅の松本側の手前で高瀬川を渡ります。

信濃大町まで来るとだいぶ雪景色に変わっていきますね~。

 

高瀬川はなんと穂高のあたりまで南下し、犀川と合流、長野市方面に抜けて新潟に向かいます。

ここまで大糸線はゆっくりと上り坂を進んでいるのです。

 

往路の行程では減速運転してくれるので、天気が良ければ白馬方面の北アルプスが見渡せます。

上流側には、案内放送でもあるように葛温泉という熱めの名湯があります。

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川からも湯気が出る葛温泉周辺。
海ノ口駅周辺

海ノ口駅は木崎湖のほとりに位置する駅で、アニメの聖地にもなったことのある駅です。

この近辺は湖のすぐそばを通るので迫力のある景色が続きます。

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湖のすぐ近くを走行する。

快速リゾートビューふるさとは海ノ口駅に運転停車しかしませんが、普通列車に乗ってこの駅で降りるのもお勧めです。

大糸線で一番雰囲気が良い駅だと個人的には思います。

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海ノ口駅は夏も冬も美しい。

海ノ口駅ー簗場駅間の展望もなかなか良いので、車内で案内はされませんがおすすめです。

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前方に木崎湖が見える。
ヤナバスキー場前駅跡

昨年度廃止されたヤナバスキー場前駅を見ることができます。

一瞬で通り過ぎるので、南小谷方面なら簗場駅を出たら進行方向右側に注目してみてください。

 

現在ではホームは撤去されていて、夏の方が発見しやすいと思います。

 

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佐野坂峠

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佐野坂峠の頂上付近。北側へ降りれば白馬の市街地へと入る。

大糸線、実は簗場ー南神城間に峠越えの区間がありまして、分水嶺になっています。

どちらの水系も日本海に注ぐのですが、佐野坂峠より南側は新潟市(信濃川)へ、佐野坂峠より北側は糸魚川へ流れます。

 

この近辺はなかなか水の流れが難しいですね~

白馬側の麓には糸魚川方面へ注ぐ姫川の源流があります。

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姫川の源流は遊歩道が整備されている。

 まとめ

想像以上に長くなってしまいましたが、リゾートビューふるさとから見える大糸線の景色をご紹介しました。

単に乗ってしまうと飽きる区間でもありますので色々と車窓をチェックしてみてくださいね~

 

ちなみに筆者はリゾートビューふるさとの往路で白馬で乗車し、日帰り入浴を楽しんだあと、復路のリゾートビューふるさとに乗車しました。

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白馬駅から徒歩10分、日帰り入浴施設「みみずくの湯」。源泉かけ流しのアルカリの強いお湯を楽しめる。名物の温泉うどんは食塩を使わず温泉を使って仕上げたうどんで、コシが強い。

アルクマラッピングもいつまで続くのか分かりません~

気になる方はお早めにどうぞ!

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姨捨駅だけではない!?2連続スイッチバックの篠ノ井線普通列車に乗車

姨捨駅のスイッチバックは有名だが…

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姨捨駅は観光名所になっていて、四季島も停車する。

篠ノ井線では急勾配に位置する姨捨駅周辺でスイッチバック(※)をすることで有名です。

列車が途中で方向転換をしたり、駅からは日本三大車窓の一つに数えられた景色を眺められたりと、観光客にも楽しめる駅になっています。

 

(※)「スイッチバック」とは鉄道が急勾配を登るための運転形式で、途中で進路方向を変えながら、「ジグザク」に登っていくというものです(道路のヘアピンカーブや踊り場のある階段のようなもの)。

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勾配区間の「スイッチバック」と呼ばれる運転形式。

 

実は、篠ノ井線にはもう一箇所スイッチバックを行う区間があるのです。

今回は「2回スイッチバックを行う」という篠ノ井線普通列車に乗車してみます!

 

姨捨駅でスイッチバックを楽しむ

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松本駅13:29発の普通列車に乗車。

筆者の行程の都合で、今回は松本13:29発の普通列車長野行きに乗車し、松本から姨捨を経て長野へ向かいます。

 

篠ノ井線、昼の2両編成の普通列車は長野方面・松本方面問わず混雑していて、立ち客も出るんですよね~

しかもほとんどが長野まで乗車するので座席が空かない…

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篠ノ井線の普通列車に充当されるE127系ワンマン列車。

愚痴はさておいて、姨捨駅のスイッチバックはご覧のようなつくりになっています。

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姨捨駅のスイッチバックの構造。長野方面の普通列車は番号順に列車が移動する。

姨捨駅に停車しない列車はスイッチバックをせずに1→7の順に通過することができ、例えば特急「しなの」はスイッチバックすることなく当駅を通過します。

 

今回は後方展望でスイッチバックの動きを見ていきます。

普通列車で松本方面(山の上)から姨捨駅にやってくると、まずはそのまま姨捨駅のホームに入線します。

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1を走行中。左手に引き上げ線が見える。

分岐器を超えて、姨捨駅ホームに入る線路へと渡ります。

まだ方向転換はしていません。

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3の位置を走行中。一番左が通過線、真ん中が松本方面、この列車は長野方面の線路。

ホームについて乗客を降ろします。

「姨捨駅ではスイッチバック運転を…」などと観光用の自動放送が流れ、事前に列車が反対方向へ動くことについて案内がなされます。

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姨捨駅に停車中のE127系、松本方面の普通列車。

しばらくすると出発信号が「注意」の現示に変わり、進行方向と逆向きに発車。

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注意信号に変わったら反対方向へ出発。乗務員は後方の車両から運転している。

篠ノ井線では、運転席を入れ替えることなくそのままバックで引き上げ線へと入っていきます。

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4→5の位置を走行。ここまでバックで運転する。

引き上げ線に入ると間もなく本来の進行方向であった信号が青に変わり進みます。

姨捨駅を後に、これが1回目のスイッチバックです。

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写真右上が姨捨駅。

ここまではほぼすべての普通列車が行っているので、姨捨駅に停車する列車ならどれでも体験することができます。

 姨捨駅は「日本三大車窓」に選ばれるだけありまして、結構な景色が広がります。

昼も夜も、四季折々いい雰囲気なので、ぜひ~

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姨捨駅からの景色。昼も夜も楽しめる。

姨捨駅周辺は鉄道の撮影地としても人気があり、駅から徒歩圏内で列車を撮影することができますよ~

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もう一つのスイッチバック「桑ノ原信号場」

この普通列車は姨捨駅を去り、どんどん善光寺平へと下っていきます。

途中で速度を落とし始め、何やら引き上げ線が見えてきました。

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普通列車は徐行しはじめ、左手にはまた引き上げ線が見えてくる。

ここが2か所目のスイッチバック、「桑ノ原信号場」です。

実は一部の普通列車はここの信号場で列車の行き違いをするのです。

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桑ノ原信号場の概略図。

列車は分岐器を渡ってまず山側の引き上げ線に入っていきます。

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山側の引き上げ線に入る普通列車。

信号場の盆地側には「銀河鉄道桑ノ原」と書かれた、新駅設置委員会の看板がありますが、新駅設置の話は1度も聞いたことはありません。

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新駅設置委員会の看板。

 

特に「また逆に動きます」という放送はなく、信号が開通するとすぐさま進行方向と逆向きに進み、今度は盆地側の引き上げ線に入ります。

この時も乗務員は後方の車両から運転し、運転台を交換することはありません。

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4→5の位置を走行中。進行方向と逆向きに運転。

ここの位置に着くと、「列車の行き違いを行います。しばらくお待ちください」と放送が入ります。

この信号場も、姨捨ほどにはないにせよ結構な標高のようです…

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数分ほどの停車時間があります。

善光寺平はすっかり雪景色で、写真を撮っている人も多くいました。

しばらく待っていると…

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信号待ち。

松本方面の特急しなのが通過していきました。

これで元の進行方向に戻ります。

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7の位置を走行中。

普通列車は元の線路へと戻りどんどんと坂を下って、稲荷山駅へと向かいます。

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写真右手の高まりが桑ノ原信号場。

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車窓左手が桑ノ原信号場の山側の引き上げ線。別日撮影。

以上、2回スイッチバックをする篠ノ井線の普通列車をご紹介しました。

どちらのスイッチバックも稲荷山―姨捨間の急勾配を通過するためにつくられたもので、両駅の間は約8km、標高差は200mもあります。

 

桑ノ原信号場は貨物列車の行き違いだけでなく、日中では数本の定期の普通列車が停車することがあります。

姨捨のスイッチバックを経験したい方、桑ノ原信号場に停車する列車を選ぶと、2度美味しい旅になりますよ~

 

 

 

【新幹線の秘境駅】安中榛名駅をじっくり観察する

山奥に突如現れる新幹線駅

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高崎―金沢間で開業している北陸新幹線ですが、高崎の一つお隣の山の中に「秘境駅」と称される新幹線の駅があります。

 

その名は「安中榛名(あんなかはるな)駅」。

平均乗車人員は北陸新幹線でワースト1位、JR東日本の新幹線駅でもワースト2位とトップクラスの利用者の少なさとなっています。

 

今回は安中榛名駅の全貌とその駅の周辺はどうなっているのか、見ていきます!

 

 

安中榛名駅を観察!

安中榛名駅にやってまいりました。

 

当駅までの所要時間は北陸新幹線「あさま」号で、東京駅から約1時間です。

しかし、「あさま」でも当駅を通過する列車が多く設定されるほど利用客は少なく、1日に停車する新幹線は12本しかありません。

(参考にならないかもしれませんが飯田線天竜峡駅、天竜峡方面の列車の本数と同じです)

 

落ち葉の吹き込むホーム

北陸新幹線によく見られる2面2線の小さな駅ですが、ホームドアは完備され、ホームの端までの屋根はあるようです。

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安中榛名駅は2面2線で、待避線はない。

印象的なのは季節柄ですがホームに吹き込んでいる落ち葉…

どことなくローカル線の駅のような雰囲気があります。

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ホームには落ち葉が吹き込んでいる。

東京方面に停車するあさま号が入ってきました。

停車している新幹線を見ると、この駅は結構カーブがきつい駅であることが分かります。

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安中榛名駅に停車中のE7系F3編成。

またこの駅は斜面の中腹に立っており、東京方面側は崖になっています。

崖の方には軽トラが停車中…ホームの端では新幹線車両と軽トラの並びを撮ることができました!

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軽トラと新幹線の並びは貴重?

少し1番線(長野・金沢方面)のホームを散策してみます。

駅名標を見ると英語表記はAnnakaとharunaの間に‐はなく、"Annnakaharuna"になっています。

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安中榛名駅の駅名標。

「榛名」と名前がついていますが、当駅から榛名山にアクセスする路線バスはなく、安中榛名駅からはタクシーで移動するほかありません。

ホームの中ほどに階段とエスカレーターがあります。

長野方面のホームからのエスカレーターはなんと下り専用。

やはり新幹線通勤を意識しているのでしょうか。

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ホームには階段とエスカレーターが設置されている。

 

不可解なスペースの先には…

そして変わっているのがエレベーター乗り場。

表示を見る限りエレベーターは待合室の中に設置されているようです。

何だこのスペースは…

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長野方面のエレベーターは待合室の中にある。

待合室と呼べるほどの座席はありませんが、随分と開放的な造りです。

ベンチもなかなかお金がかかっていそうですねぇ…

座布団は地元の方のご厚意によって設置されているようです。

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待合室は座席数が少ないが、ベンチはかなり豪華。

この待合室、実は吹き抜けになっていて駅本屋とつながっています。

館内は暖かく、全体で空調が効いている豪華な造りです。

 

吹き抜けから眺めてみると、どことなく平成初期っぽい感じのデザインが良い味を出しています。

雰囲気は駅というより、地方空港みたいな感じがあります。

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吹き抜けで駅の入り口とつながっている。空調完備。

前後左右、坂の途中にある立地

では、反対側のホーム、2番線に回ります。

造りは基本的に1番線と同じですが、待合室は普通の造りになっています。

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2番線側のホーム。待合室は普通。

長野方面の先にはトンネルがありますが、ここから軽井沢駅までトンネル、上り勾配が連続します。

 

安中榛名駅を通過する列車はこの区間の上り勾配に備えて、当駅より高崎側から「助走」をつけて走行していますが、当駅に停車する列車は出発後、過酷な加速を強いられることになります。

 

2番線から1番線側を見ると視界が開けています。

2番線側は崖になっているのと対照的で、この駅が斜面の中腹にあることが良く分かります。

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1番線側は視界が開けている。

さて、改札口へ続く通路はというと至ってシンプルですが、車両の形をした案内表示が印象的です。

自動改札は2つしかありませんが、利用実態には見合っているのかもしれません。

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改札へ続く通路。

改札口前には今時珍しい、伝言板がありました。

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改札口前の伝言板。

長野方面のホームから吹き抜けの待合室を経て、エレベーターを降りると改札口の前に出てきます。

化粧室が改札の内側にしかないのは難点ですね…

 

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吹き抜けの待合室からエレベーターを降りると、改札口の前に出る。改札外から見ると構造が分かりやすい。

改札口前の「おぎのや」は周辺唯一の飲食店

改札を出ますと、変わった照明が印象的な売店があります。

釜めしで有名な「おぎのや」と駅レンタカーが並んでいます。

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売店では釜めしのほかにそばやうどん、軽食類が販売されている。

改札前に飲み物の自動販売機は無く、駅周辺にも見当たらないので、飲み物が欲しい場合は改札内の各ホームに1基ずつある自動販売機を使うほかありません。

 

後でご紹介しますが、これ以外の商業施設は駅周辺にはありません。

しかしこの辺りもバブルあたりの雰囲気が今でも漂っていますねぇ…

 

改札外に待合室があり、こちらはwifiも完備。

贅沢なベンチがこちらにも並べられています。

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改札外の待合室。wifi完備。

停車する列車の発車時刻が近づくとこちらに数組のお客さんが入っていきます。

お客さんは時間になると改札口へ…地方空港や港の雰囲気に似ています。

 

この駅はなんとみどりの窓口が現役で稼働していますが、利用客は少なく将来無くなる可能性もありそうです。

 

まるで地方空港?衝撃の駅前風景

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駅の建物を出ますと、目の前には駐車場が広がっています。

閑散とした駅構内とは対照的に、結構な数の車が止まっています。

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駅前には駐車場が広がっている。

平日の昼間に訪れたので、ここに止まっている車の持ち主は、この駅から新幹線通勤をしていらっしゃる方も多いのかもしれません。

しかし、駅の利用者に対してこれだけ多くの車がいるのには納得の理由があります。

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駐車場は基本的に無料で利用することができる。

駐車料金が無料なんですよね~

パークアンドライドのように使うなら、街中に駅が無くても(その方が渋滞が少ないし)良いのかも?

 

ちょっと良さそうな点も見つかったことで、まずは駅の北側を覗きに行きます。

駅入り口の脇に案内のない怪しげな地下道(?)があるので進んでみます。

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駅の反対側へ移動するのはこの通路を渡る必要がある。

先ほども述べたように、安中榛名駅は斜面に位置しているので、反対側は階段を上る必要があります。

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北口(?)。看板も案内もない。

こちら側の出口周辺ですが…

本当に何もありません!

まあこちら側は山側なので開発のしようがないのかもしれませんね~

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駅前にはグラウンドと太陽光パネルしかない。

北側は街灯もほとんどなく、ただの何もない空間でした。

気を取り直して反対側、南側のメインの駅前に戻ります…

 

駅周辺は確かに建物はあまりないですが、道路は整備されています。

ラウンドアバウトの交差点がありますが、これは最近整備されたようです。

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駅前にはラウンドアバウトの交差点がある。

駅前にビジネスホテルやコンビニなどは一切ありません。

少し進むと何やら廃墟めいた建物があります。

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1枚目:デイリーヤマザキ安中榛名店跡。2枚目:コミュニティープラザ。

実はこちらにかつて、デイリーヤマザキがあったそうですが2013年に閉店。

以降駅周辺に商業施設はひとつもないそうです。

こちらのブログを見ると現役だった頃のコンビニの写真があります。

dailyportalz.jp

 

まるでゴーストタウンのようですが、もう少し進むと住宅街が広がっています。

こちらの住宅街はJR東日本が開発したもので「びゅうヴェルジェ 安中榛名」という名前で売り出され、なんと2016年にめでたく完売したらしいです!

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眼下に広がる住宅街はJR東日本が開発したもの。

住宅街を眺めた場所は展望台のようになっています。

オブジェは背景の山の形がデザインになっていておしゃれですね~

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駅正面の道をまっすぐ進むと展望台がある。

新しそうな家が多いのでしばらくは人が住むとは思いますが、団地のように高齢化が進んだらこの街はどうなってしまうのか…怖いところでもあります。

 

駅周辺にはとにかく商業施設がないので、ここにお住まいの方は結局車で安中や磯部の市街に出ないと買い物ができないのだと思います。

そういう点では不便なのではないでしょうかね~

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安中榛名の駅前の道路。徐々に空き地は公園や宅地に変化している。

東京駅から約1時間と、新幹線通勤駅としては立地は良い方であるはずですが、個人的には「地元が新幹線駅だけ作って終わってしまった」感じが否めません。

駅と同時に、地元も協力して街を作っていかないと「新駅」を活かせないのではないかと考えてしまいます。

 

ただ、宅地も完売したようなので需要がないわけではないはずです。

今後どうやってこの駅前が変化を遂げるのか、温かく見守りたい(?)と思います!

 

 

 

かつては終着駅だった!両国駅の臨時ホームでテレワークしてみる

両国駅「幻のホーム」で車内テレワーク!

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両国駅3番線に停車中の成田エクスプレスの車両(E259系)。車内をテレワークスペースとして開放した。

11/27~28にわたって、両国駅の臨時ホームに成田エクスプレスの車両を停車させ、車内をテレワークスペースとして活用するという実証実験が行われました。

 

今回はこの実証実験に参加し、車内でテレワークするメリットやデメリットをご紹介。

またこの臨時ホームから、かつて終着駅だった両国駅の面影を探していきます!

 

 

余ったホーム×余った車両の有効活用

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3番線ホームに立ち入ることは、通常ではできない。

両国駅で成田エクスプレスの車両を使ってテレワークをする…

 

一見、確かに「駅にまとまった人数が使えるテレワークスペースができる」というメリットがありますが、どうして両国駅で、成田エクスプレスの車両なのでしょうか?

 

実はこれは運営側(JR側)に事情があります。

 

感染症拡大の影響で成田空港を発着する飛行機が激減、そのあおりを受けた空港のアクセス特急「成田エクスプレス」は日中の便を運休しているため、車両が使われず余り気味です。

 

一方、両国駅には普段使われない臨時ホームがあります。

このホームに日中余っている成田エクスプレスの車両を置いておき車内を開放すれば、空いているホームも余っている車両も有効活用できるという一石二鳥な企画なのです。

 

実際に車内でテレワークしてみる

今回はJRの実証実験として行われた企画ですのでまだお試し段階のものですが、実際に利用して感じたポイントをご紹介します。

 

予約はJR東日本のエキナカに設置されているシェアオフィスの予約サイト、station workから行います。

両国駅の臨時ホーム(詳しくは後でご紹介します!)の通路で受付を済ませ、車内に向かいます。

www.stationwork.jp

 

予約を確保しても座席が決まっているわけではなく、グリーン車も含めて自由に座ることができます。

 

メリット①:Wi-Fiやコンセントが充実

最近になって、ビジネス利用が多いJR東日本の一部の特急列車は基本Wi-Fi完備、コンセントも1人1個が標準となっています。

 

成田エクスプレスの車両もこの例に漏れず、座席の取っ手部分にコンセントがあります。

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普通車の座席のひじ掛けにコンセントがある。

車内のWi-Fiも無料で使用することができ、安定していて使いやすいです。

 

一方机はというと、パソコン1台を置くのがギリギリといったところですがこれも特に使いづらいというわけではありません。

基本的に普通車であれば隣に人が座るということはなかったので、必要なら隣席のテーブルを使っても問題ないかと思います。

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パソコンを机にのせた状態。決して広くはないが不便ではない。

あと何気にですが荷物を収納するスペースが多いので、大きな荷物を持った方でも安心して使うことができるのは大きなメリットかもしれません。

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大きな荷物を持っている方にとって、荷物スペースは重宝するかも。

 

メリット②:座席数が圧倒的に多く使いやすい

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車内は特別な細工がされているわけではなく、普段と変わらない。

JR東日本ではエキナカに主に1人~2人用のブースを設置(公衆電話のボックスのようなイメージです)して、個人向けシェアオフィスを展開しています。

しかし駅に設置されているブースの数は決して多くはなく、一つの駅に数室程度しかありません。

 

一方で今回の実証実験では成田エクスプレス用の車両(E259系)6両編成を丸ごとシェアオフィスとして開放していました。

全席分をシェアスペースとして使われているわけではありませんが、車内の定員は290人、2席分で1スペースとしても約140人の人が利用できることになります。

 

エキナカ(というか駅そのものですが)でここまで収容人数が多ければ、「いつでも利用できる」という利便性の向上が期待できます。

 

デメリット①:個室ではなく、ビジネス以外の利用も多い

エキナカのシェアオフィスと圧倒的に違う点は、「個室ではない」ということです。

同じ値段で個室のシェアオフィスが借りられるなら、個室を使いたくなる気がします。

 

開放型のシェアオフィスでも静かで使いやすければ問題ないとも考えられますが、車両丸ごとビジネスモードの客ばっかりかというと、決してそうではありません。

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利用客は鉄道ファンが最も多かった。

これは土曜だったからかもしれませんが、車内は鉄道ファンのほか、子供連れや物珍しさで休憩するグループ客で賑わう時間もありました。極論すれば鉄道博物館の休憩スペースとして開放している車両みたいな需要も結構あるのです。

 

ビジネスで利用する場合、電話だけならデッキに出れば問題ありませんが、仕事環境として使いやすいかと言われるとちょっと疑問点が残ります。

解決策としては、どの需要にも応えられるように、例えばビジネス利用とそうでない利用で号車を分けてみたりしてもいいのかもしれません。

 

デメリット②:利用客がグリーン車に集中

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座席指定ではないので、時間内であれば自由に車両を移動できる。

先ほども述べたように車内でのテレワークは座席が指定されず、人数しか管理されていません。

どこの席に座っても利用料金は同じなので、1編成6両のうちのグリーン車1両に客が集中していました。

 

今回の利用客のほとんどは鉄道に興味をお持ちの方とお見受けしたので、たまたまなのかもしれません(実際走っている成田エクスプレスのグリーン料金は高い一方、今回は破格でE259系のグリーン車に立ち入ることができるため人が集中したとも考えられます)が、ちょっとねぇ…

 

感染症対策の観点からもグリーン車が密になりやすいシステムなので、例えばグリーン車の料金を高くするとか、もう少し工夫が必要な気がします。

 

鉄道ファンとしては車内のテレワークを楽しめましたが、ビジネス利用として使いやすくするにはまだ改善すべき点が残りそうです。

 

両国駅のターミナル駅としての面影

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臨時ホームへはレッドカーペットが敷かれた通路を進んでいく。通路には両国駅の歴史についての展示がされている。

今回の実証実験で使用された3番線は、両国駅の臨時ホームとなっていて普段は立ち入ることができません。

なぜこんな場所にホームがあるのか―――実はこのホーム、両国駅がターミナル駅だった時代の名残なのです。

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臨時ホームは改修されているが、現在でも古い骨組みが残る。

両国駅は現在、普段1面2線の小さな駅に総武線の各駅停車が来るだけの小さな駅ですが、実ははかつて房総方面のターミナル駅として栄えていました。

 

現在の国技館や江戸東京博物館の敷地は両国駅の跡地に建設されたもので、訪れたことのある方なら分かると思いますが、かなり広大な敷地だったのです。

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現在の両国駅とかつての両国駅(1947年米軍撮影)を比較する。両国駅は1930年頃は渋谷や池袋よりも収入の大きい駅だった。

1932年に総武線の御茶ノ水までの電車線が開業したことで規模は縮小していきますが、房総方面は非電化区間が長い間残っていたため、房総方面の急行の発着駅としてしばらくは賑わっていました。

 

この房総方面の急行列車などの発着に使われていたのが現在の3番線です。

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3番線の錦糸町側から隅田川方面を見ると、右側に分岐する線路が並んでいることが分かる。かつては国技館を含めて右側一帯も両国駅だった。

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3番線の隣にもホームが現存している。

しかし1972年に総武線の複々線化が完了し、総武快速線の地下区間(東京トンネル)も開業。

快速線に両国駅は設置されず通過駅となり、房総方面の急行は全廃、房総方面の列車は大半が東京発着になりました。

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総武快速線のトンネル出口付近にはかつてホームがあった。両国駅は快速線には設置されず、通過することになった。

その後徐々に規模を縮小していき、現在のように各駅停車しか止まらない駅になりましたが、途中駅になってから利用者は増加し現在も賑わいを見せています。

 

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両国駅の駅舎は線路に直交する形で建設されているが、これもターミナル駅だった名残である。駅舎は現在商業施設としてリニューアルされている。

両国駅の臨時ホーム(3番線)は現在でも臨時列車が発着できるようになっていて、時々終着駅としての役割を果たすことがあります。

このほかにもイベントスペースとして解放されることもありますので、もし立ち入る機会があればターミナル駅だった頃の両国駅に想いを馳せてみるのもいいかもしれません。

 

 

 

 

【サンライズエクスプレス】シングルツインのベッドを座席にアレンジする!

サンライズエクスプレス、シングルツインに乗る

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現在唯一の定期寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」に使用される、285系には様々なタイプの寝台があります。


今回は車両車端部にある「シングルツイン」の設備をご紹介。

ベッドを座席にアレンジして、秘密基地のような感覚を味わいます!

 

 

名前が奇妙な「シングルツイン」

「シングルツイン」というと1人用なのか2人用なのかよくわからない名前ですが、その名の通り「1人でも2人でも使える客室」としてつくられています。

 

サンライズエクスプレスのシングルツインは、すべての個室が車端部に設置されています。

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一番右手前の上下二つの窓が近づいている部屋がシングルツイン。

 この客室の歴史は1989年にデビューした「初代トワイライトエクスプレス」に遡ります。

トワイライトエクスプレスに採用された「シングルツイン」は下段に座席があり、上段がベッドになっています。

下段の座席はベッドにアレンジすることができ、2人で利用する場合は上段と下段、2段のベッドとして使えるようになっています。

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Chihaya Sta - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=34166047による

 一方のサンライズエクスプレスに採用されたシングルツインは、つくりこそ似ているものの、デフォルトの状態で2段のベッドとなっています。

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サンライズエクスプレスのシングルツインは、元から2段ベッドになっている。

一見アレンジできなさそうですが、実はこの列車にも「下段を座席として使うことができる」というDNAは受け継がれているのです。

 

シングルツインの部屋を観察!

上下2段のベッドが設置されているシングルツイン。

天井が高くなっており、さらに上下2段とも窓が設置されているので、広さの割には解放感があって、第一印象としては快適そうです。

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上段ベッド部分を車外から撮影。大きな窓があるため解放感がある。

まずは下段ベッドから。

サンライズエクスプレスに見られる標準的なB寝台です。

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下段ベッド。サンライズエクスプレスの標準的なB寝台。

手前側に小さな机と、奥にはNHKFMが聴けるオーディオ、アラームや照明スイッチがついています。

特筆すべき点は、下段の照明スイッチのパネルで上段の窓のカーテンを電動で操作できるということです。

これは1人利用で下段のベッドで寝る場合なんかにとても便利ですよね~

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下段の照明スイッチの操作パネルで上段のカーテンの開閉を扱える。

スリッパやコップ、ハンガーなどの備品は2人利用を前提として、2つずつ設置されています。

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備品は2人分ずつある。

これは部屋の違いは関係ありませんが、寝台特急のハンガーに上着をかけない場合は、壁からハンガーを外しておくのが鉄則です。

走行中の揺れでガチャガチャうるさくて眠れませんからね~

 

上段のベッドに登るには急な階段?梯子?を上がると移動できます。

分かりづらいですが、この階段の途中にコンセント一口と灰皿(喫煙室の場合のみ)があります。

コンセントは残念ながらここにしかありません…まあ登場時期を考えればコンセントがあるだけでも嬉しいですね~

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階段の途中に灰皿とコンセントがある。

上段ベッドに上がってみるとこんな感じ。

寝ているうちに落ちそうですが、ベッドがシートベルトのようなもので固定されているので意外と安定感があります。

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上段ベッド。狭く感じるが実際のベッドのサイズは同じ。

この上段ベッドも実は上にはね上げることができるそうですが、天井が高くなる意外にあまりメリットがないので、今回はやりませんでした。

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上段ベッドははね上げることができるらしい。

通路側には、上段ベッドを利用する際におそらく重要となるであろう、収納があります。

シングルツインを2人で利用する場合は荷物を置くスペースが限られますので、2人利用の時は重宝しそうです。

一方、一人で利用する場合はどちらかのベッドに荷物を置けばいいので、むしろ荷物の置き場所は余裕があります。

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写真右上の収納スペースにご注目。

下段ベッドを座席にアレンジ!

一通り部屋の造りをご紹介したところで、下段ベッドを座席にアレンジしてみます。

まずは下段ベッドのシーツをはがします…

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下段ベッドのシーツをはがす。

モケットはオリーブ色のようです。

なかなか落ち着きのあるいい色だと思います。

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シーツをはがした状態。

続いて

こんなことをやっていいの少しくぼんでいるベッドの真ん中の部分を「ガバっと」取り外します

これでいいのかと不安になりますが、一応正しい手順です。

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真ん中部分を取り外した状態。

取り外すとよくわかりますが、下段ベッドの真ん中部分の下は空洞になっているので、ここも収納として使えそうです。

 

最後に窓の下部にあるテーブルを上げれば、座席へのアレンジは完成です。

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ベッドを引き出せば完成!

気になるベッド真ん中部分の処遇ですが、こんな感じで背もたれにするのが一番使いやすい気がします。

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ベッドの真ん中部分を背もたれにした例。

完成したレイアウトを車外から眺めてみるとこんな感じ。

なかなかに秘密基地のような気分が味わえ、子供心をくすぐります。

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下段ベッドを座席にアレンジした状態を車外から見る。

一人で「広い部屋」として使った方が満足感は高い

サンライズエクスプレスのシングルツインは2名でも利用できますが、筆者は一人で使った方が満足感は高いと思います。

 

まず2人で利用した場合、やはり収納が少なく可動範囲が狭くなります。

小さな荷物であればベッドの下や上段ベッドの収納を使えば大丈夫ですが、キャリーケースくらいのサイズですとドアの前近辺にしか置く場所がありません。

 

また、部屋の備品は基本2つずつありますがコンセントは一つだったり、下段ベッドを座席にアレンジしても背もたれは片側にしか付けられなかったりと、ちょっとずつ妥協しないといけない部分が出てきます。

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シングルツインは開放感があるが、実際のスペースはそこまで広くない。

2人で利用する場合はサンライズツインかシングルを2室抑えた方が、おそらく快適です。

 

逆に1人で利用する場合、荷物スペースは広く、天井も高いので解放感があります。

A寝台のシングルデラックスのようにしっかりとした机やいすはありませんが、アレンジをして座席やテーブルを使うことができます。

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A寝台シングルデラックスには座席とテーブル、洗面台が設置されている。

ちなみに、筆者が下段ベッドを座席にアレンジして乗車している際に車掌さんが来られたのですが、「おお、こんな風にもなるんだ」と驚かれていらっしゃいましたので、こんな客はあまりいないのかもしれません。

(※筆者は一応、下車する時にはもともとのベッドの形に戻しておきました)

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お酒を片手に、夜が更けていく街並みを眺めるのは非常に楽しい。

シングルツインに乗車された際は、機会があればぜひ座席にアレンジしてみてください!

 

【宇高航路代替?】現在でも可能!高松ー宇野間をフェリーで移動する

さようなら宇高航路…

本州ー四国間を移動する手段として長らく運航されていた、岡山県の宇野港と香川県の高松港を結ぶ「宇高航路」。

瀬戸大橋が建設される前は青函連絡船や関門連絡船と並び、「鉄道連絡線」としての役割を担っていました。


車も鉄道も通ることができる瀬戸大橋が開業すると、民間のフェリーも含めて「宇高航路」は縮小傾向に転じます。

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寝台特急「サンライズ瀬戸」も朝に瀬戸大橋を通過する。

しかし、コスト面でフェリーが瀬戸大橋に勝っていたり、瀬戸大橋が何らかの事情で通行規制となったときの代替輸送など、フェリーには一部の需要がありました。

 結局、瀬戸大橋開業後約30年間宇高航路は存続していましたが、高速道路の値下げなどの影響により2019年に廃止されました。

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現在の本州ー四国間の鉄道輸送のメイン、快速マリンライナー。瀬戸大橋を走行する。

また一つかつての景色が消えてしまった感じがありますが、実は現在でも高松港~宇野港までフェリーで移動できるのです。

 

今回は瀬戸大橋を使わずに船で四国から本州へ、高松駅から宇野駅まで移動してみます!

 

 

「島」を経由すれば移動できる!

はじめから余談ですが、高松駅には「宇高連絡船」で提供されていたうどんの味を再現した、「連絡船うどん」というお店があります。

正直「本物の讃岐うどん」という印象はありませんが、やみつきになるだしの味とファストフードとして(?)のうどん文化を味わうことができます。

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高松駅構内にある「連絡船うどん」。麺は駅前の「めりけんや」と同じものを使用しているらしい。素朴な味が癖になる感じでこれはこれで美味!

宇高航路は廃止されてしまいましたが、現在でも島を経由すれば高松から宇野まで移動することができます。

今回は「直島」を経由するルートを選択しましたが、小豆島経由で高松から宇野へ行くルートもあります。

 

さて、高松駅から高松港まで移動します。

現在高松駅は近代的な建物となり、駅前は再開発されています。駅前から高松港のフェリー乗り場までは通路が整備されており、大きな道も立体交差で越えていくことができます。

 

ちなみにかつての高松駅はもっと海側まで伸びていて、青函連絡船のように車両も船で運べたようです。

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1980年代の高松駅は現在よりもずっと海側まで線路が続いていた。

歩いて10分くらいでしょうか、結構距離はある感じですが、高低差のある所はエスカレーターもあるので体感的には辛くありません。

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高松駅から高松港までは徒歩10分程度。近代的な通路を進む。

まず、「直島行き」の船の乗り場を目指します。

直島まではフェリーと高速艇が運航されていて、それぞれ乗り場が違うので注意が必要です。

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フェリー乗り場まで通路は続いている。

フェリーのきっぷうりばは、行先の島ごとに分かれています。

自動券売機もありますが、不思議と大抵の観光客は窓口で買いたがる傾向にあるようです。

直島・宮浦港行きの運航会社は四国汽船です。

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フェリーのきっぷうりば。

行先ごとに分かれている券売機は最近鉄道では見なくなってきましたが、フェリーは現在でも行先ごとに券売機が分かれていることが多い気がします。

 

筆者はなぜか鉄道も短距離フェリーも出発ギリギリになる悪い癖があります…ああもう乗船始めてるし!

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直島行きフェリーに乗り込む。

高松港→直島へ移動

筆者は「船で高松から宇野に向かう」ことが主目的で乗船しましたが、日曜日ということもあってこのような目的で乗っている乗客はおそらく私だけ。

 

「直島」というと一般的には「アートの島」として知られ(こういう瀬戸内の観光開発はすごく上手いなぁって思います)、私どもの年代でもちらほら「行ったことがある」と耳にします。

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高松港はフェリーが何本も就航していて、ひっきりなしに船がやってくる。

高松港を出港すると四国フェリー系列の小豆島ー高松のフェリーがやって来ました。

ちょうど車内で「〽島の乙女の唄声を~乗せて行く行く小豆島丸~」と四国フェリーの社歌が流れている頃でしょうか。

 

四国フェリーは出発時と到着時に社歌を車内で流すんですよね~宇高航路を2019年の最後まで運航していた会社です。

 

さて乗船している船を軽くご紹介。

運航中に乗客が立ち入れるのは客室と展望デッキの2フロアです。

残念ながらうどん屋はありません…

 

船内は広々、テラス席が◎

まずは客室です。

整然とシートが並んでいますが、ソファーでくつろげるグループ向けの場所もありました。

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シートはリクライニングしないが、足元は広く快適。

さすが観光客を呼び込んでいるだけあって車内は明るく綺麗です。

船内には現在地を示すモニターがあります。

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船内には現在地を表示するモニターがある。

高松ー直島・宮浦港まではフェリーで約50分程度です。

展望デッキに上がってみます。

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テラス席があり、この区画は利用者に人気があるようだ。

展望デッキにはテラス席があり、ここは利用者にかなり人気があります。

女性グループを中心に客層が若いのがこの船の特徴です。

 

後方の展望もできます。

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写真左手の島はおそらく女木島という島です。

遠く彼方に高松の市街地をのぞむことができますね。

 

ぼーっと景色を眺めていたのですが、何やら大きなタンカーが前を横切っていきます。

写真では伝わりづらいですがかなりの迫力…

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タンカーと交差する。

船ってこんな至近距離で大型船と交差するんですね~

CAPE TSUBAKIという船でした。

 

タンカーに見とれていると急旋回して直島・宮浦港に入港です。

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急旋回して宮浦港に入港する。

意外と小回りが利くんですね~毎回どうしてあんなにぴったり港に着けるのか、船にあまり詳しくない筆者は不思議でなりません。

 

 

直島行のフェリーなので、乗客も車もここで一旦降りなければなりません。

マニアックな人ばかりだと思っていたら、案外一般的なお客さんが多く驚きまがら下船しています…

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車両甲板から下船する。

船自体はそのまま宇野行きになり、車と人が出払ったら宇野行きの改札(?)を開始します。

実際純粋に宇野まで移動したい場合は、この間に宮浦港のきっぷうりばで宇野行きのきっぷを買えば、先ほどまで乗っていた船に乗り込むことはできると思います。

 

直島は観光地化されている

港側には高松から来た車より多くの車が待機していました。

本数も宇野ー直島間の方が多くの便の設定があります。

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宇野行の車の待機列は意外と長い。

筆者はこのまま乗り込んでも良かったのですが、少し島で観光をする予定を立てていました。

普通のブログ記事でしたらここからがメインでしょうが、この記事ではサクッと流して岡山県側に渡ります。

 

主に美術品と美術館やそれに類する建物が観光名所のようです。

こちらはI♡湯と書かれた銭湯。

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宮浦港裏にある銭湯を改造した入浴施設。入浴料600円を超えるのは驚きだが、美術館の入館だと思えばいいのかもしれない。

こちらは景観の観点から建物ほぼすべてが地下にある地中美術館です。

ここはなかなか面白かったですよ~現在は予約制です。

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地中美術館は入場時間が決まっている予約制となっている。館内は撮影禁止。

そして普段松本で見かける草間彌生氏の作品が島内には展示されています。

なんだか新鮮ですが、観光パンフレットで確かに見覚えがある風景です。

 

1枚目は「黄色いカボチャにもっと接近したかったのですが、バスが出るのでここが限界でした」という写真です。

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草間彌生氏の作品を海辺で見るのは新鮮だった。

直島→宇野港へ移動

直島ー宇野間は高松ー直島よりもずっと距離が近く、フェリーでも20分程度でついてしまいます。

ここで、直島から高松、宇野までのそれぞれの運賃を見てみます。

  • 直島ー高松間…520円
  • 直島ー宇野間…300円

高松から宇野まで合計で820円です。

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高松港から宇野港まで合計で820円となる。



ちなみに高松ー岡山間で瀬戸大橋を渡り鉄道を利用した場合と、このフェリーと鉄道を併用した場合を比較すると…

  • 鉄道利用(瀬戸大橋経由)…1550円
  • フェリー+宇野線…1410円

と、フェリーで移動した方が現在でも安くなります。

所要時間は、たとえ直島で下船してすぐに乗船しても乗り換え含めて1時間くらいフェリーの方が遅くなります。

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宇野行のフェリーに乗船。

到着した船は直島港までの船と同じものでした。

時間帯の関係で人は少なく、今度はテラス席に陣取りました。

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テラス席からの眺望は素晴らしい。

潮風にあたりながら瀬戸内海を眺めるのは、至福のひと時です。

出港してすぐ、宇野港が見えてきます。

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実は正面一帯にかつては線路が伸びていた。

この写真に写っている正面、大きな建物もありますがこの辺一帯はかつて線路が伸びていました。

宇野駅周辺の1980年代を見てみるとよくわかります…

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1980年、宇野駅周辺の航空写真。写真左側の船が発着しているところで、現在のフェリーも発着している。

あっという間に宇野港に到着。

隣には小豆島からのフェリーが止まっています。

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宇野港に入港。

 

宇野港に残る連絡船の面影

かつて、寝台特急「瀬戸」の終着駅でもあった宇野駅は広大な敷地がありましたが、現在はとてもこじんまりとした1面2線の頭端式ホームしかありません。

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宇野駅のホームは現在、こじんまりとしたホームになっている。

広大な敷地跡は再開発されるか空き地になっていて、今ではほとんど面影がありませんが、駐車場の脇に1か所だけ連絡船当時の遺構が残されています。

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連絡船の遺構。但し書きもついている。

遠くから見る方が構造が分かるので反対側に回ります。

すると…

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連絡船の遺構の姿がはっきりとわかる。

再開発が進む宇野駅周辺にひっそりと佇む連絡船の遺構…なかなか哀愁が漂います。

「宇野駅から連絡船に向けてお客さんの席確保のダッシュがあった」話を知る構造物はここにはもうほとんどないのはないでしょうか。

どうやら保存会の方が保存しているようで、ひっそりと愛を感じますね~

 

現在では輸送手段としての「宇高航路」は終わってしまいますが、かつての栄光を想いながら跡を辿ってみるのもなかなか良いものです。

 

【検証】e5489で予約したサンライズのきっぷを東京駅で受け取る方法

サンライズエクスプレスはネットで予約可能!

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高松駅に停車中のサンライズ瀬戸号琴平行き。

最後の定期寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」号。

最近(と言いましても結構経ちますが)他の特急のようにネットで購入できるようになり、簡単にチケットを予約できるようになりました。

 

ところで、JRでは会社ごとに列車の予約サイトが異なります。

例えばJR東日本の特急「あずさ」の座席をネット予約するには、「えきねっと」というJR東日本の予約サイトを使います。

 

複数の会社を跨ぐ寝台特急(サンライズ瀬戸であれば、JR東日本、東海、西日本、四国と4社を跨ぐ)はどの会社で予約すればいいのでしょうか?

 

そしてサンライズエクスプレスのきっぷはチケットレスではないので、紙のきっぷを受け取る必要があります。

果たしてどの券売機や窓口で受け取ることができるのでしょうか?

 

今回は「サンライズエクスプレスの寝台券をネットで予約して、東京駅で受け取る」という、一見簡単そうな方法を検証していきます。

 

 

複雑!?ネットでの予約と東京駅での受け取り方法

 サンライズエクスプレスをネットで予約し東京駅で受け取るには、

  1. e5489で個室または座席を予約
  2. 東京駅のJR東海の指定席券売機で受け取る

という手順が必要になります。

1. JR西日本のサイト「e5489」で予約

 まずはじめに、サンライズ瀬戸・出雲号に乗車するためには、乗車券のほかに上乗せで特急券・座席指定券か寝台券が必要になります。

 

ノビノビ座席はフェリーの雑魚寝のようなスペース(大部屋に仕切りがついている)で、寝台券ではなく座席指定券で乗車することができます。

それ以外の個室(シングル・シングルツイン・シングルデラックスなど)を利用する場合は寝台券が必要になります。

 

ネットで予約する場合は、基本的に「e5489」というJR西日本の予約サイトを使います。

ノビノビ座席のみ、JR東日本の「えきねっと」でも予約することができますが、「えきねっと」では個室のきっぷを予約することはできません。

 

  • ノビノビ座席を利用する場合…「えきねっと」か「e5489」で予約
  • それ以外を利用する場合…「e5489」で予約

 

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ノビノビ座席のみ「えきねっと」で予約可能。


それでは実際にe5489の予約画面を見てみます。

 

e5489の会員登録後、サンライズ出雲・瀬戸の予約フォームへ進む

e5489を利用するには会員登録をする必要があります。(クレジットカードの登録が必要です)

 

e5489にはサンライズ瀬戸・出雲専用予約フォームが設定されていますが、なかなか辿りつくのが難しいので、こちらにリンクを貼っておきます。

トップページから予約することもできますが、専用フォームからの予約の方が自由度が高く、簡単です。

www.jr-odekake.net

 

トップページから予約する方法

トップページから進む場合はこちらから。

少々煩雑ですが、臨時列車を予約方法と同じようなやり方になります。

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赤枠のボタンをクリックして予約を始める。

 

「その他の特急・新幹線」と書かれた、赤枠のボタンをクリックします。

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「新幹線を利用」のチェックを外すとスムーズに列車を選択できる。乗り継ぎ割引を適用したい方はチェックを外さずに検索。

続いて、サンライズ号を降車してそのまま目的地につく場合は「新幹線を利用」のチェックを外します。

その方が検索結果をスムーズに見ることができるからです。 

ちなみに、サンライズ出雲・瀬戸号の定期列車の東京駅の出発時刻は22時です。

 

(※)新幹線に乗り継ぎをして別の目的地へ移動する場合は到着駅に「新幹線の降車駅」を入力して、チェックを外さずに進んでください。

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利用したい設備の空席を照会して、予約する

経路を検索すると「特急サンライズ…」と書かれたものが出てきます。

空席を照会し、空いている設備を確保します。

A寝台は「シングルデラックス」、B寝台はその他の個室、「指」と書かれたものは「ノビノビ座席」です。

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人数・乗車券の有無を選択。

人数・乗車券の有無を選択します。

個室の番号を指定したり、階数を指定することはこの方法ではできませんので、サンライズ専用フォームから予約することをおすすめします。

ここから先は通常の特急の予約とあまり変わらないと思います。

 

2. 東京駅ではJR東海「東海道新幹線の指定席券売機」へ!

e5489で予約されたきっぷはJR西日本の駅で受け散ることができますが、北陸新幹線の駅・東京都区内の駅を除いて、通常JR東日本の駅で受け取ることはできません。

また、「JR東海の区間を通るJR西日本のきっぷ」は先ほど除いた「北陸新幹線の駅・東京都区内の駅」では受け取ることができません。

 

一方、JR東海のe5489に対応している指定席券売機では「JR東海の区間を含む予約されたきっぷ」を受け取ることができます。

 

サンライズ号のきっぷは「JR東海の区間を通るJR西日本のきっぷ」に該当します。

したがいまして、東京近辺でネット予約したサンライズ号のきっぷを受け取る場合、「JR東海のe5489受け取りに対応している券売機または窓口」で受け取る必要があります。

 

つまり、東京駅では「東海道新幹線東京駅の改札前にある指定席券売機」で受け取ることが可能ということです。

実際に行ってみます。

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東京駅にある東海道新幹線の乗り換え口。「東海道新幹線」と書かれた案内に沿って進めばたどり着く。

指定席券売機にはマークがついていて、「e5489きっぷ受取」と書かれています。

画面をのぞいてみると…

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ありました、ありました…「5489サービスきっぷ受取」というボタンをタッチ。

クレジットカードを入れて情報を読み込みます。

途中、何やら注意書きが出てきますがそのまま進むと…

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サンライズ号のきっぷの受け取り画面に進むことができる。

無事、きっぷを発見することができました。

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ネットで購入したサンライズ号のきっぷ。左上にe5489の文字が印字される。

ちゃんと発行元に「東京駅MV」「西予約セ」の文字が入っています。

 

 

オンライン予約のメリットとデメリット

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筆者の予約したシングルツインは2段ベッドを1人~2人で使用する個室。下の段のベッドは座席にすることもできる。

サンライズエクスプレスのオンライン予約ときっぷの受け取り方法をざっくりと検証しました。

筆者は「鉄道ファンが慣れれば使いやすいけれど、一般の方には複雑すぎるのではないか」と思います…メリットとデメリットはこんな感じではないでしょうか。

 

メリット

  • 窓口に並ばず、寝台の空室照会ができる(これが一番いい点だと思います)
  • 指定席券売機で受け取れるので、発車時間が迫っていても受け取りしやすい
  • 専用予約フォームがあるので、簡単に予約することができる

デメリット

  • 「JR西日本のサイトで予約しJR東海の券売機で受け取る」というシステムが煩雑
  • 細かい寝台の要望に応えられない(例えばシングルの平屋を意図的に予約することは難しい)
  • 東京近辺では東海道新幹線の駅でしか寝台券を受け取れない

 

とにかく「サンライズエクスプレスを予約したい」と思っても直感的に予約できないという点は問題である気がします。

一般のお客さんが「予約したきっぷは東京駅のJR東海の指定席券売機できっぷをお受け取りください」と言われても、たぶん何のことかわからないはずです。

 

誰もが使いやすいシステムの上に、寝台特急のオンライン予約ができたらいいですね~

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部屋の明かりを消して流れる夜景を見るのは寝台特急ならでは。

 

 

www.toremor.work