toremorの旅手帳

鉄道と旅行と温泉と。大学生の放浪の様子をご覧ください。

【信州の野湯】廃道と温泉のコラボ、赤怒谷温泉に浸かる

上高地至近にある松本市内の「野湯」

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パイプから豪快に温泉が注がれる「赤怒谷温泉」。

「野湯」とは、源泉が出ているのにも関わらず、それを利用した商業施設が存在しない温泉を指します。

一口に「野湯」と言っても、蛇口からただ流れ出ているだけの温泉もあれば、川の脇から温泉が湧いていて川の水と混ぜれば浸かることができる温泉まで多種多様です。

 

今回は上高地付近に位置する「頑張れば浸かれる」ぐらいの温泉をご紹介します。

見どころは廃道と野湯のコラボレーションです!

 

 

国道から歩いて5分、廃道を歩く

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付近には温泉の影響で変質した岩肌が露出している。

上高地の入口である「釜トンネル」の手前、「赤怒谷(あかぬたに)トンネル」の入口からスタートです。

トンネルの前に車が2台分くらい置けるスペースがありまして、ここから歩くことになります。

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トンネルの脇の道を進む。

トンネルのすぐ脇に廃道(国道の旧道)が続いています。

「廃道」と言っても手入れがされていて、藪こきする必要はありません。

ここはかつて国道だった部分で、この道幅で観光バスがすれ違うこともあったようです。恐ろしい……

 

途中道に穴が開いていたりと「廃道感」が出ています。

その割にちゃんとポールが立っていまして、人の手が入っていることも分かります。

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道路には穴が…

赤茶けた未舗装(?)の道を進んでいくと、硫黄の香りと何やらモクモクとした煙が……

轍もあるので、ここまで車が入ったことがうかがえます。

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道の先には煙が…

近づいてみると、豪快な音と硫黄の香りが漂ってきます。
道路からも煙が出ていますね~

これが赤怒谷温泉です!

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豪快な煙の正体は「温泉」。

廃道の洞門の先には…

豪快にパイプからガスと温泉が噴出していますが、もう少し道を進んでみようと思います。

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温泉より先には洞門がある。「取入隧道」と書かれている。

素晴らしい洞門が見えてきました。

廃道ファンが心躍る理由も良く分かるような気がします。

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洞門内は舗装されていた痕跡がある。

構造物としての美しさに見とれていたら、鉄骨が見えてきました。

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一部は鉄骨で支えられている。

特に損傷が激しい箇所は無く、そこまで危険な感じはありませんでした。

筆者は大学の関係でヘルメットを持っているので、念のため着用して行きましたけれども……

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対岸は崩れている。

対岸側の岩盤は崩れていて、温泉によってグサグサになっています。

洞門を振り返ると……

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良いカーブですね~!

 

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洞門の先には温泉を取り入れる施設がある。

取入隧道の先には、道路の真ん中に源泉の施設があります。

明らかに廃道になってからできたものだと思います。

 

ここのメンテナンスのために未だに旧道が手入れされているのかもしれません。

どこの温泉の源泉になっているのか、なっていたのか分かりませんが、現役で稼働していました。

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この先は荒れているので、引き返す。

引き返して、いよいよ野湯へと向かいます。

 

野湯「赤怒谷温泉」に浸かる

先ほど、湯気がパイプから出ていたところに戻りましたが…あれ……

おとなしくなってしまいました。

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パイプの下にくぼみがあり、ここに浸かることができる。温泉の噴出が止まってしまった。

しかし、こういう「生き物」みたいな感じが野湯の魅力なのかもしれません。

川の方へ降りて、温泉を楽しみたいと思います。

 

ガードレールを跨ぎ、少しずつ高度を落とします。

斜面は急で足元が悪いので、慣れていない方はかなり注意した方がいいです。

沢靴のようなものを履いておくと楽です。

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壁に這うような形で降りていく。足元には温泉の沈殿物が…

温泉が出ていれば、豪快に源泉が注がれる様子を堪能できそうですが、出ていない方が安心して川まで降りられます。

先ほどまであれだけ温泉が出ていたのでまだ温かいかも…という期待をもとに、温泉が溜まっているところへ向かいます。

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河原にはいくつかくぼみがあり、ここに温泉が注がれる。

少しだけ水たまりから湯気が出ていたので、手で触るとぬるめの温泉に仕上がっています。

深さはあまりないので、足湯することにしました。

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温泉の体感は37℃くらい。肌がツルツルになる。

肌がツルツル、ほんのり硫黄の香りがいたしまして、温度も温めですがいい感じです。

地球初期の生命は、こういう温泉の湧くところで生まれたという説もあります。

だから気分が良いのか~

 

景色も良く、豪快に流れる梓川が野湯の雰囲気を盛り上げてくれます。

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この川は「梓川」の上流部。

梅雨時になって梓川の水位が上がってしまうとしばらくはお預けかもしれませんね~。

実際国道から歩いて10分程度でここまで降りられるので、意外と気軽な野湯だと感じました。

 

話は逸れますが、上高地付近は実は火山地帯で、活火山の「焼岳」や「アカンダナ山」が近くにあります。

上高地の入口にある大正池も、焼岳が噴火してせき止められてできたものです。

 

そしてその火山地帯をぶち抜いたのが「安房トンネル」。

工事中に水蒸気爆発が発生し、犠牲者が出てルートが変更になった過去があります。

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ルートが変更となって橋脚だけ残った「安房峠道路」の計画ルート。

色々と大変な歴史もありますが、このような秘湯を満喫できるのも火山のおかげかもしれませんね~

 

上高地周辺は秘湯が多数!

今回はかなり個性的な「赤怒谷温泉」をご紹介しましたが、周辺にも多数の秘湯があります。

一軒宿の坂巻温泉中の湯、新たに掘られたさわんど温泉も魅力的です。

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赤怒谷温泉に一番近い旅館は「坂巻温泉旅館」。こちらも日帰り入浴ができる。

足をのばせば、白濁した温泉の白骨温泉乗鞍温泉、県境を跨げば平湯温泉もあります。

 

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個性あふれる上高地周辺の温泉、ぜひ堪能してもらいたいです!

 

↓赤怒谷温泉の位置。「中の湯」バス停から歩くこともできる。

 

巨大地下壕と黄金色の温泉、長野市松代のディープな魅力

総延長数十キロにおよぶ巨大地下壕も…

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広大な地下壕が張り巡らされた、象山地下壕。太平洋戦争時には現在のNHKなどが入る予定だった。

長野駅周辺の周辺市街地から南へ13km、松代という街があります。

城下町の雰囲気や黄金色の温泉が魅力的なところです。

少し前までは鉄道も通っていました。

 

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さて、この松代にはかつて「日本の中枢を移す」という壮大な計画がありました。

それは、太平洋戦争時に大本営を東京から松代へ移すというもの。

計画は結果的には未完成でしたが、現在でもその面影を辿ることができます。

 

今回は信州の中でもなかなかディープな観光地、松代の魅力に迫ります!

 

 

武家屋敷と禅宗の寺を見る

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松代藩は当時信濃国で最高の石高を誇った。

江戸時代に信濃国で最大の石高を誇った「松代藩」が置かれたため、現在でも武家屋敷の跡を見ることができます。

 

中級武士のお屋敷が現存しており、現在でも中を見ることができます。

大正時代に再整備されたため、江戸時代の面影はほぼありませんがなかなか立派な庭園や茶室があります。

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山寺常山邸。入場無料。

もう少し山側へ歩くと、今度は禅宗のお寺が見えてきます。

こちらも庭が綺麗に整備されており、春の時期は桜の穴場スポットになります。

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黄檗宗象山恵明禅寺。手前の山門は開基当時のもの。

本堂も禅宗独特な感じで、少し中国に来たような感じがあります。

それにしても桜が美しい……

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本堂も禅宗独特な造り。江戸時代に大火で焼失、再建された。

もうすでにディープな感じがありますが、この美しいお寺の背景にある山の中には地下壕が張り巡らされています。

お次はいよいよ地下壕の中へ……

 

「松代大本営」の跡を探る

日本の中枢を移す「松代大本営」の計画では、松代周辺の3つの山に地下壕を張り巡らせ、その中に省庁などの建物や食糧庫を入れる予定でした。

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松代周辺の地下壕。

通信施設が入る予定だった地下壕(象山地下壕)は現在でも一部が公開されており、無料で見学できます。

また、大本営が入る地下壕は現在公開されていませんが、天皇が避難する予定だった建物が現存しており、外から眺めることができます。

 

今回は公開されている2か所を見に行きます。

象山地下壕の中を歩く

現在中を見学できるのは、現在のNHKなどが入る予定だった地下壕です。

見学コースはそのうち約500mの区間、行き止まりになっているので往復1kmほどあります。

全体の中では少しな感じがありますが、それでも結構な長さです。

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山の中に碁盤の目のように張り巡らされた地下壕、見学できるのは往復約1kmのエリア。

先ほどのお寺と目と鼻の先にある、採石場の見学入り口のような場所から入ります。

受付を済ませ、ヘルメットを着用します。なんと入場無料。

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ヘルメットを被り、地下壕へ。

地下壕内は電波は通じませんのでご注意ください。

ほぼ当時のままと思われる狭い坑道を進みますが、だんだん中は広くなっていきます。

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入口は狭いけれど…

永遠と続きそうな地下壕は、すでにただモノではない広さであることが分かる気がします。

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想像を超える長さの地下壕が残っている。

途中地下壕の壁を見ると、建設当時に付けられたと思われる掘削機の跡がいたるところに見られます。

とにかく物凄いマンパワーが短期間に投入されたわけですが、その労働の跡を垣間見た感じ。

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掘削機の跡が一面に残っている。

地下壕の建設には朝鮮人が使われたという記録が残されています。

朝鮮人を束ねるリーダー役も朝鮮人だったようで、これは反発を防ぐ狙いがあったとか。

こんな感じで器具が刺さったままのところもあります。

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器具が刺さったまま放置された部分を実際に見ることができる。

この広めな地下壕の中に小屋を建て、その部屋を省庁などに使う予定でした。

一部の地下壕では小屋ができていたようですが、終戦まもなくに撤去されてしまったらしいです。

 

内部に進むと直角に地下壕が交わり、街のようなつくりになっています。

ここの建設で発生した瓦礫はトロッコなどで運び出され、かつて存在した松代駅から貨物列車で全国へと送られました。

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碁盤の目のように張り巡らされた地下壕と、トロッコの枕木の跡。

公開されている部分はほんの一部ですが、筆者は往復だけで結構疲れてしまいました。

それほど広大な地下迷宮になっているわけです。

 

地上に戻りまして、今度は大本営が設置される予定だった地下壕を見に行きます。

天皇の「御座所」、大本営の地下壕も現存

車を利用して、今度はもう少し山奥に進みます。

「松代地震観測所」という施設が、大本営用の地下壕跡地につくられています。

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大本営の地下壕跡は、地震観測所になっているため立ち入りできない。

地下壕には入ることはできませんが、入口には案内が書かれていて、中の構造を知ることができます。

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地下壕の入口を覗くことはできる。

ここは少し変わった造りになっていて、地下壕の外に天皇や皇后が生活する拠点(御座所)が設置されています。

この建物が現存しているのです。

 

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皇族が避難する予定だった建物が現存している。

まずは地上の御座所へ皇族を避難させ、戦況が悪化したら地下壕へ、と2段階の避難を想定していたようです。

当然御座所と地下壕はつながっています。

 

以前は「天皇が避難するための地下壕」が公開されていたことがあり、かなり豪華な造りになっていたらしい(案内板の写真がそれ)ですが、現在では見ることはできません。

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建設当時から使われる建物は壁も厚く、頑丈である。

当時はこのようにむき出しに建物があったわけではなく、周辺を盛って半地下構造にしていたらしいです。

天皇の御座所は近づくことができます。

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天皇の御座所に近づく。

中を覗けるようになっていて、ベタっとくっついても問題ないとのこと。

と言うことでお宅拝見……

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中は普通の和室と言う雰囲気だが、木材は高級なものが使われている。

コンセントがあったりと、比較的生活感があるのは気象庁職員の詰所として改築、利用されていたかららしいです。

ですが確かに竿縁天井だったりと高級感は残されています。

 

振替って風景を見るとこんな感じ。

ちょうど山の陰に隠れる位置なんですね~

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こんな山奥に日本の中枢を移す計画があったのか…と不思議な気持ちになる。

大本営を追ったあとは、温泉へ…

 

黄金色の温泉に浸かる

さて、松代というと個性的な温泉があることでも知られています。

鉄分や炭酸、カルシウムなどの成分が濃い、黄金色の温泉です。

 

湯治場としての雰囲気を味わいたいのなら、加賀井温泉一陽館へ。

複数の種類の源泉を楽しむことができます。

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加賀井温泉一陽館の浴室。

また、松代温泉公民館で温泉に入れたりします。

黄金色の源泉がどんどん注がれるかけ流し、内風呂のみですがおすすめです。

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温泉主体の公民館は、昼間から賑わいを見せる。

観光として日帰り入浴や宿泊をするなら、国民宿舎「松代荘」へ。

近年リニューアルされ、露天風呂も設置されました。

自噴する温泉の迫力はここでも楽しむことができます。

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松代温泉は「ガス抜き」と呼ばれるプロセスを経てから注がれる。

城下町の雰囲気と太平洋戦争の面影、黄金の温泉と見どころが豊富な「松代」。

是非機会があれば訪れてみてはいかがでしょうか。

 

【県内在住者おすすめ】鉄道を使って諏訪湖を散策する(下諏訪駅▶上諏訪駅)

諏訪湖の湖畔は歩きやすいけれど……

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高ボッチ高原から望む諏訪湖。奥に富士山が見える。

長野県で最も大きな湖の諏訪湖。

湖の大きさランキングでは当然上位…と思いきや全国23位なんだそうです。

 

諏訪湖は1周16kmありまして、湖畔にジョギング・ウォーキングコースが整備されています。

しかしウォーキング趣味として1日費やすならいいけれど、「正直16kmも湖見て歩くなんて辛い!」というあなたに……

 

普段鉄道を紹介することが多い弊ブログですが、今回は鉄道を使った5kmほどの気軽な散歩コースをご紹介します!

 

 

渡るは神か里人か…諏訪湖の壮大な風景

諏訪湖はなんと標高756mもの高所に存在する天然の湖です。

こんな標高の高いところにここまで大規模の湖があることは大変珍しく、著しい断層運動によるずれ(阪神淡路大震災の時にずれた距離の約8000倍ずれている)の結果生み出された歴史を持っています。

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諏訪湖からは天気が良ければ富士山を見ることができる。

特に冬~春にかけてのシーズンは空気が澄んでいるため、諏訪湖から富士山を眺めることもできます。

 

また、厳冬期には「御神渡り」という珍しい現象が見られます。

湖の表面を覆う氷が膨張と収縮を繰り返すことで出来るもので、最近の気候ですと相当寒くないとみられません。

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2018年に出現した「御神渡り」。

出現のためにはただ凍ればいいというものではなくて、風が弱いことや良い天気が続くことなど、様々な要因が重なる必要があります。

今年の諏訪湖は全面結氷はしたんですが、御神渡りは出現しませんでした。

 

ちなみに「御神渡り」は古くから観察記録が残っているので、地球の気候変動を示す重要なデータとして研究に使われたりもします。

 

鉄道を使うことで諏訪湖を気軽に散歩できる

様々な景色を楽しめる諏訪湖ですが、湖畔沿いの遊歩道は高低差が少なく快適なウォーキング・ジョギングコースになっています。

今回は中央本線の下諏訪ー上諏訪駅間を歩くことで帰りは電車で起点まで戻ってこれる、1時間くらいのゆるーいコースをご紹介します。

 

 

温泉の湧きだす下諏訪駅からスタート!

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温泉が出ている下諏訪駅前のモニュメント。

温泉というと上諏訪駅周辺のイメージが強いですが、実は下諏訪も豊富な湯量を誇る温泉地です。

駅前のモニュメントからは絶えず温泉が湧きだしています。

とにかく熱くてサラッとしているのが下諏訪温泉の特徴で、近くには共同浴場も多数存在しています。

 

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湖岸沿いを進む

湖岸までは下諏訪駅からほぼ真っすぐ、約1kmほどで諏訪湖の湖岸に到着します。

湖岸はずっと遊歩道が続いています。

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湖岸に続く遊歩道。

早速この時期ならではの見どころがあります。

諏訪湖から見える富士山です。

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諏訪湖から見える富士山。

遠近法で富士山が「そんなに高くない」感じに見えます。

天気が良くないと見えないので見えたらラッキー。

中央本線で岡谷ー下諏訪付近の車窓を気を付けて見てみると、一瞬だけ富士山が見える時がありますが、それもこの近辺の景色です。

 

歩いてみて気が付きましたが諏訪湖は「一級河川」なんですね~

法律で湖が河川の一部として扱われることは結構あるみたいです。

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諏訪湖も一級河川。

歩いていくと少し漁港のような雰囲気が……

釣り用の船でしょうか。

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海沿いっぽい感じがあるが湖である。

諏訪湖周辺には「高浜」とか「ヨットハーバー」とか、海っぽい雰囲気を出している地名や交差点名がちらほら見られます。

遊歩道沿いには時々カモ(?)の御一行様が時々いらっしゃいます。

人慣れしているようで、私が通ってもなりふり構わず業務を継続中。

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カモは人慣れしている。

遊歩道は湖岸のすぐ近くにあり、近づくこともできます。

ほんの少し波を感じることもできます。

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湖岸ぎりぎりまで近づくことができる。

山側を見ると源泉がちらほら見られます。

諏訪湖周辺は様々な場所から温泉が出ていて、ライフラインとして各家庭に送られている地域もあります……

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高木源湯。

湖側にはワカサギ釣り用の船が留置(?)してあります。

これなら暖かいところで釣りができそうですね~

諏訪湖ではワカサギのほか、うなぎや手長エビも名物です。

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ワカサギ釣り用の船。

湖の東側に来ましたが風向きの関係か、こちら側の方が波が高いような気がします。

この日は暖かかったので、地元の方を中心にジョギングされたりウォーキングされたりしている方がそこそこいらっしゃいました。

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東側の湖岸に来ると少し波が高くなった。

ところでこの遊歩道、なんか歩きやすいな~と思ったら、ジョギング用に設計されたものだったようです。

自転車は入れないようで、歩く人と走る人専用として使われています。

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赤い道はジョギング用につくられているらしい。

近くには味噌の工場がちらほら見られます。

諏訪湖の周りには結構な数の味噌の工場があり、「信州一味噌」とか「タケヤみそ」は諏訪の味噌になります。

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タケヤみその工場。

諏訪市湖畔公園の中に入ればあと少しです。

ちょうどいいところに椅子が置いてありました。

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諏訪市湖畔公園に置かれている謎の椅子。

誰のものか分からず座りませんでしたが、座った位置に目線を合わせてみると…

ここからの眺めもいいですね~

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謎の椅子から見える風景。

諏訪湖間欠泉センター近くの足湯に浸かる

湖岸を歩くこと約40分、間欠泉センターに到着です。

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諏訪湖間欠泉センターに到着。

諏訪湖に間欠泉のイメージがある方は、もう少数派なのかもしれません。

昭和58年に温泉を掘削した際、高さ50mまで自噴し当時世界2位の高さを誇ったようですが、現在は圧縮空気の力を借りて定期的に自噴(?)しています。

 

次の時間までまだしばらくあるので、近くの足湯に寄ります。

足湯は無料で、タオルは間欠泉センターでも販売されています。

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足湯は源泉がそのまま注がれている。

足湯をしながら諏訪湖の景色を見るとなかなか心地が良いものです。

冬に訪れる場合、源泉から遠い位置だと温水プールくらいの温度しか得られないので、空いている場合は源泉近くに陣取ることをおすすめします。

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足湯をしながら諏訪湖を望む。

諏訪湖間欠泉センター名物「間欠泉」と「ゆで卵」

諏訪湖間欠泉センターでは、温泉でつくる温泉卵やゆで卵が名物になっています。

普段、温泉卵は自分で作ることができるのですが、この日は設備点検中でした。

 

ということで諏訪の温泉でつくったゆで卵をいただきます。

箱根の大涌谷で売られている黒卵のような見た目のインパクトはありませんが、ほんのり温泉の香りがします。

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諏訪の温泉でつくったゆで卵を食べる。


かなり表面が熱いので気を付ける必要があります。

猫「手」の方は要注意。美味でした。

 

そうこうしているうちに間欠泉の時間がやってまいりました。

今では噴出時間の時刻表が貼ってあります。

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噴出時間の時刻表。

⑥は臨時ダイヤのようです。お気を付けください。

この間欠泉センターの中庭に噴出孔があり、時間になるとミサのように人が集まってきます。

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5m程度の高さまで温泉が噴出する。

最盛期の10分の1とはいえ、かなりの迫力です。

数分間ぐらい噴水のように温泉が出ますが、ムラがあって調子の良い時と悪い時があります。

 

一度小さくなってもまた元気になることがあるので、あきらめず見続けることが大切です。

ちなみに筆者は何度かここを訪れていますが、今回(写真のやつ)は割と調子がいい方だったと思います。

 

片倉館の千人風呂に浸かる

実はもうすでに上諏訪の市街地にいるので、締めの入浴に参りましょう。

現在日帰り入浴施設となっている片倉館では、重要文化財の建物で温泉に入れます。

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片倉館の外観。

もともと大人数を収容するように設計されているので、かえって密になりにくい施設かもしれません。

90年以上の歴史を持つ洋風のお風呂で、気分だけでも優雅になることができます。

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現在では日帰り入浴施設になっている。

下諏訪駅から上諏訪駅までの「緩い散歩旅」

片倉館から上諏訪駅までは徒歩5分ちょっと。

気軽に半日程度で諏訪湖を満喫することができました。

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上諏訪駅に到着!

今回は鉄道の駅から鉄道の駅までのルートにしました。

諏訪湖周辺の移動にはバスもありますが、鉄道はこの地域ではそれなりに本数があるので便利なのです。

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上諏訪駅にも足湯がある。こちらは鉄道を見ながら楽しむことができる。

鉄道でハイキングやウォーキングに行くとハードなイメージがありますが、やり方次第では緩い散歩旅が楽しめます。

「緩い散歩旅」、見つけ次第追加していこうと思います!

 

 

 

18きっぷも利用可!リゾートビューふるさとのマニアックな見どころ

リゾートビューふるさとで大糸線を満喫

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リゾートビューふるさとは現在、ゆるキャラのアルクマのラッピングがされている。

快速リゾートビューふるさとは、主に土休日に長野―松本ー南小谷間を運行する観光列車です。

冬になるとこの観光列車、「オフシーズン」のイメージが強いですが、快適な車内から大きな窓を通じて雪景色を堪能できる魅力があります。

 

もちろん快速列車なので、指定席券を追加で購入すれば18きっぷも利用できます。

 

ちなみに筆者は長野県在住のマニアということで、地元ならでは、マニアならではの見どころもご紹介!
今回はリゾートビューふるさとに乗車して大糸線の冬景色を見に行きます。

 

 

やたらと遠回りの観光列車「リゾートビューふるさと」

リゾートビューふるさとは片道・全線の所要時間は4時間超と、意外と乗車時間の長い観光列車です。

運行経路は長野から信越本線、篠ノ井線、大糸線を経由して南小谷駅へと至るというもので、途中松本駅で進行方向が変わります。

地図で運行経路を見てみると、ものすごい遠回りをしていることが分かります。

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快速リゾートビューふるさとの運行経路。かなり遠回り。

地域間の速達性はほとんどなく、観光に特化した列車なんですね~

 

長野から白馬方面への移動はマイカー・高速バスが主流で、長野から白馬までの所要時間は1時間少々です。

移動だけ考えればこの方が便利…


長野ー白馬間にはかつて鉄道を通す計画があり、「善光寺白馬電鉄」として部分的に開業していましたがダムの建設により廃止になりました。

ちなみにこの善光寺白馬電鉄の路線に「電車」が通ったことは一度もなく、現在でも運送会社として社名が残っています。

 

アルクマラッピングになったリゾートビューふるさとに乗車!

話をもとに戻しまして、快速リゾートビューふるさとをじっくりと観察します。

使用車両はHB-300系

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リゾートビューふるさとに使用されるHB-300系。

快速リゾートビューふるさとに使用される車両はHB-300系というハイブリッド気動車です。

エンジンの動力で発電機を回し、蓄電池の電気と発電機の電気を合わせて車両を動かす、という駆動システムなので「ハイブリッド」なんだそう。

 

リゾートビューふるさとの運行経路はすべて電化されていますが、気動車での運転となっています。

これは飯山線方面への臨時観光列車の運行が想定されているためで、実際に十日町までの運航実績があります。

 

このHB-300系は羽越線の「きらきらうえつ」の後継「海里」や、リゾートしらかみ橅編成、青池編成に使用されている車両と同系列です。

ただしリゾートビューふるさとは2両編成で、個室などの設備はありません。

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同じ系列、HB-300系リゾートしらかみ橅編成。

確かに外形はほとんど同じですね~

 

塗装はリゾートビューふるさとオリジナルのものになっており、現在は四季とアルクマのデザインのラッピングがされています。

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車両側面にはラッピングがされている。

 

まるでグリーン車?ゆったりシートピッチの快適な車内

よく「乗り得列車」と評される快速リゾートビューふるさとですが、その理由は車内の座席にあります。

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リゾートビューふるさとの車内。

4列シートが整然と並ぶ車内ですが、シートピッチは1200mmと新幹線のグリーン車並みの広さとなっています。

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快速列車ながらシートピッチ1200mmを確保している。

座席からテーブルを取り出すとその広さが良く分かりまして、前の座席のテーブルを取り出しても手が届かない…

そのため座席横から小さなテーブルを出せるようになっています。

ちなみに両方のテーブルを出しても干渉しません。

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座席横からもテーブルが出せる。

ただ難点もありまして、シートピッチは広くても座席の座面の面積が小さいんですよ…

多分この部分でシートピッチを稼いでいるのですが、それならシートピッチを多少狭くしても座面を広げてほしかったな~と個人的には思います。

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座面が小さく深く腰掛けるのは難しい。

しかしながら総じて快速列車の指定席としてはとても快適だと思います。

追加530円ですからね~

 

リゾートビューふるさとの先頭部分は1号車、2号車ともに展望スペースになっています。

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リゾートビューふるさとの展望スペース。

現在は中止していますが、確か民話だか何だかを朗読する地元の方のイベントとかも、このスペースを使って行われます。

 

基本的にこのスペースが人でごった返すことはないので、景色が気になったらこの展望スペースに移動するのがおすすめの楽しみ方です。

 

松本―白馬間の車窓の見どころ

さて、だいぶ前置きが長くなりましたが、筆者は松本―白馬間で往復する日程を組みました。

 

座席は松本→南小谷間は進行方向左側、反対方向は右側の席に乗車すると見どころが多く、おすすめです。

しかし反対側の座席になっても、展望スペースは自由に使えますし、特に気にすることはないと思います。

 

※今回は松本から白馬にかけて観光用とマニア用の見どころをごちゃまぜにご紹介しています。

 

梓川を渡る

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筆者は夕暮れの梓川の方がおすすめである。復路に撮影。

島高松ー梓橋間では梓川を渡ります。

これは長野方面では進行方向右側、南小谷方面では左側に見える景色です。

 

梓川は上高地近辺(写真右手ので山が低く谷になっているところから流れています)を流れこの近辺に至り、犀川と合流して長野市方面へ、最終的には千曲川と合流して信濃川として新潟方面へ流れます。

 

特急「あずさ」の名前の元となっていますが、実際に「梓川を渡るあずさ」は大糸線直通の列車しかありません。

 

一日市場駅の駅名標

快速リゾートビューふるさとは途中「一日市場駅」を通過します。

復路ですと確か行き違いで停車しますが、この駅には国鉄時代の駅名標を駅舎側に移設して現在でも使われています。

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一日市場駅の駅名標。

新しい駅名標はホーム上に設置されていますが、こうして国鉄時代のを綺麗に残してくれるのは嬉しいですね~

 

安曇野の田園風景と北アルプス

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安曇野の田園風景。往路に撮影。

まず、豊科駅までの間に進行方向左側に広がるのが、「安曇野」の田園風景です。

特に「何もありません」が、大きな窓から北アルプスのふもとに広がる「安曇野」の典型的な風景を見ることができます。

 

列車が走っている近辺は主に稲作が行われていて、皆さんのイメージが強いリンゴとかの栽培はもっと北アルプスのふもとの方で行われています。

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北アルプスと田園風景はしばらく続く。

この写真の右よりの一番高い山(の奥の方!)が常念岳という山で、この辺りでは一番のランドマーク的な山となっています。

 

山頂近辺を登っているときと思われる写真がこちら…ブレててガスってますけど!

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常念岳に登ったわかかれし頃に撮影した写真。

筆者はあまり自力で登る山登りが好きではないのでやる気のない写真ですが、晴れていれば景色は綺麗でなんだと思います。

割と初心者でも登れる山らしいですが、標高は2857mあります。もう登るのはいいかな。

 

穂高駅の長時間停車

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穂高駅に停車中のリゾートビューふるさと。

穂高駅では長時間停車中に穂高神社に参拝に行くことができます。

指定券を駅員に見せることで誰でも途中下車することが認められています。

 

観光コースとしては当駅停車中に穂高神社に参拝することができ、感染症拡大以前は巫女さんによる案内が行われていました。

穂高神社は交通安全を祈願する方が多く訪れ、車で車両ごと参拝することもできます。

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穂高神社。穂高駅から徒歩5分。

夏シーズンはこの駅で臨時特急しなの81号白馬行きに抜かれます。

しなのも穂高駅に停車するので、別途特急券を買えば先回りすることもできます。

 

安曇追分駅に残る池田鉄道のホーム跡?

この駅は、現在のダイヤでリゾートビューふるさと復路で運転停車します。

「かつて」といっても約80年ほど前ですが、安曇追分駅から私鉄の「池田鉄道」が分岐していました。

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安曇追分駅にはかつてのホーム跡が現存する。これは池田鉄道のものか、貨物扱いのホームかは現状ではわからない。

駅構内ではホーム跡と思われるコンクリートの建造物が残されています。

駅舎側にももう一本線路があったようですね~

 

安曇追分駅から東側に、高瀬川という川を越えた対岸「池田町」の方まで伸びる路線でした。

池田町は現在では大雪渓酒造という酒造メーカーがあることで有名です。

 

現在でもホーム跡が残る部分があり、廃線探訪をして楽しむこともできます。

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池田鉄道、終着の北池田駅のホーム跡。線路跡よりホーム跡の方が残っている箇所が多い変わった廃線跡である。

 

北アルプスの前面展望と高瀬川

穂高駅から信濃大町駅まで、特に信濃常盤駅付近の松本方面の前面(後面)展望がおすすめです。

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信濃常盤駅付近を走行中の快速リゾートビューふるさと。八ヶ岳も見えている。

南側の中央アルプスや左手には遠く八ヶ岳をのぞむこともできます。

前面・後面展望はこの近辺が一番おすすめかもしれません。

特におすすめなのは復路の前面展望で、信濃大町駅を出たら前面を見に行くと夕暮れの景色を楽しめますよ~

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高瀬川を渡る。

南大町駅の松本側の手前で高瀬川を渡ります。

信濃大町まで来るとだいぶ雪景色に変わっていきますね~。

 

高瀬川はなんと穂高のあたりまで南下し、犀川と合流、長野市方面に抜けて新潟に向かいます。

ここまで大糸線はゆっくりと上り坂を進んでいるのです。

 

往路の行程では減速運転してくれるので、天気が良ければ白馬方面の北アルプスが見渡せます。

上流側には、案内放送でもあるように葛温泉という熱めの名湯があります。

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川からも湯気が出る葛温泉周辺。
海ノ口駅周辺

海ノ口駅は木崎湖のほとりに位置する駅で、アニメの聖地にもなったことのある駅です。

この近辺は湖のすぐそばを通るので迫力のある景色が続きます。

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湖のすぐ近くを走行する。

快速リゾートビューふるさとは海ノ口駅に運転停車しかしませんが、普通列車に乗ってこの駅で降りるのもお勧めです。

大糸線で一番雰囲気が良い駅だと個人的には思います。

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海ノ口駅は夏も冬も美しい。

海ノ口駅ー簗場駅間の展望もなかなか良いので、車内で案内はされませんがおすすめです。

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前方に木崎湖が見える。
ヤナバスキー場前駅跡

昨年度廃止されたヤナバスキー場前駅を見ることができます。

一瞬で通り過ぎるので、南小谷方面なら簗場駅を出たら進行方向右側に注目してみてください。

 

現在ではホームは撤去されていて、夏の方が発見しやすいと思います。

 

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佐野坂峠

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佐野坂峠の頂上付近。北側へ降りれば白馬の市街地へと入る。

大糸線、実は簗場ー南神城間に峠越えの区間がありまして、分水嶺になっています。

どちらの水系も日本海に注ぐのですが、佐野坂峠より南側は新潟市(信濃川)へ、佐野坂峠より北側は糸魚川へ流れます。

 

この近辺はなかなか水の流れが難しいですね~

白馬側の麓には糸魚川方面へ注ぐ姫川の源流があります。

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姫川の源流は遊歩道が整備されている。

 まとめ

想像以上に長くなってしまいましたが、リゾートビューふるさとから見える大糸線の景色をご紹介しました。

単に乗ってしまうと飽きる区間でもありますので色々と車窓をチェックしてみてくださいね~

 

ちなみに筆者はリゾートビューふるさとの往路で白馬で乗車し、日帰り入浴を楽しんだあと、復路のリゾートビューふるさとに乗車しました。

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白馬駅から徒歩10分、日帰り入浴施設「みみずくの湯」。源泉かけ流しのアルカリの強いお湯を楽しめる。名物の温泉うどんは食塩を使わず温泉を使って仕上げたうどんで、コシが強い。

アルクマラッピングもいつまで続くのか分かりません~

気になる方はお早めにどうぞ!

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【乗車時間6時間超】飯田線を普通列車で全線走破する

全線走破に約7時間かかる飯田線

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飯田線に使用される213系も置き換えが決定している。

飯田線は、長野県にある辰野駅から愛知県の豊橋駅までの195.7kmを結ぶ路線です。

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飯田線の走行区間。Wikipediaパブリックドメインより引用。

ものすごく長い路線というわけではありませんが、なんと約200kmの間に94駅もの駅が存在します。

また、山地を縫うように走るので高速走行ができず、普通列車を乗り通すと約7時間かかるのです…

 

今回は中央本線岡谷駅から飯田線直通の普通列車に乗車し、愛知県の豊橋駅に向かいます!

 

 

岡谷から豊橋行き普通列車に乗車!

意外と利用者の多い岡谷ー伊那市間

9時半を過ぎたころ、本日の主役、313系が登場。

この車両、東海道線から飯田線までどんな路線でも見られる汎用性の高い車両です。

今日はずっとこの車両に乗り続けます。

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本日の主役、313系。

この運用の始発駅は上諏訪で、のんびりと岡谷までやって来ます(すでにここに20分くらいかかってる)。

乗車時間7時間というのは始発の上諏訪駅~豊橋駅までの所要時間です。

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「豊橋行き」の案内表示。

筆者は行程の関係で岡谷駅から乗り湯谷温泉駅で一度下車しますが、それでも乗車時間はぶっ通しで5時間超。

普通列車で乗り換えなしで5時間というのはあまり経験がありません。

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普通列車は岡谷から南側へ、辰野経由で飯田線に入る。ウィキペディアコモンズより引用。

はじめ(辰野駅まで)は飯田線ではなく、中央線の旧メインルートを走行します。

岡谷ー辰野までの中央線の区間を走行する列車は、ほとんどが飯田線に直通するので、事実上飯田線の路線のような扱いを受けています。

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辰野駅からはいよいよJR東海に入り、ここから正式に飯田線に入ります。

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飯田線の起点駅、辰野駅。ここで下車する客も多いが、車内は意外と混雑していた。

飯田線に入ると駅間距離がぐっと短くなります。

飯田線も元は私鉄で、4社の路線をくっつけったもので駅間距離が短いことも、うなずけます。

 

駅は住宅街の中にある感じで、乗り降りが多く地域輸送として定着している雰囲気があります。

少なくともこの区間は秘境路線という雰囲気はありません。

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北殿駅(だったような…)。無人駅の割に各駅ごとに乗り降りが多いので車掌さんはきっぷの回収や販売に大忙し…

駅間が短く、利用者もそこそこいて、大体無人駅……

というと車掌さんは短時間の間にきっぷの販売に回収、ドア扱い(ドアを開けたり閉めたりする操作)をすることになります。

 

運転士側(先頭)からドア扱いをしたり(車内できっぷを売った後に最後部に戻る時間的ゆとりがないため)、ホームを駆け足で行ったり来たり(きっぷを回収したあとすぐにドアを閉めなければならないため)する姿は飯田線ならでは…

 

飯田線の車掌さんは全国で最も体力のいる車掌さんかもしれません。

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伊那松島駅で車両交換。

途中伊那松島駅で列車のすれ違いをして、ほどなく伊那北駅、伊那市駅に到着。

この近辺は伊那市の中心的なエリアで多くのお客さんがこれらの駅で降りていきます。

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駅本屋の屋根が特徴的な伊那北駅。

JR最急勾配、40‰に挑む

伊那市駅を出てしばらくすると、沢渡ー赤木駅間に存在する現在のJRで最も勾配のきつい区間を通ります。

碓氷線の66.7‰が廃止されて日本のJR線内一位の座に就きました。

 

ちなみに40‰という勾配は民鉄に目を向けるとそこまで珍しい数字ではなく、例えば東京メトロ副都心線東新宿ー新宿三丁目駅間にも同じ勾配があります。

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沢渡ー赤木間のJR最急勾配地点。

ひねくれている筆者、「これもっと手前から緩やかな坂にできるのでは?」と思ってしまいますが、現状大丈夫なのでこれでいいのかもしれません。

流石の313系もちょっと音が鈍くなる程度には、頑張って登っている感じはあります。

 

大体の地点はここです。

 

途中駒ヶ根駅で乗り降りがあり、ここからは駒ケ岳を眺めながら進みます。

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この区間は駒ケ岳が美しく見える。

反対側には伊那谷が見えています。
こちらも雰囲気のいい車窓です。

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天竜川のつくった伊那谷を登ったり降りたりしながら進む。

この区間は斜面を等高線上に走っていくので、途中で小さな川を跨ぐ区間に入ると…

ものすごいカーブになり、短編成の飯田線でも後ろの車両から先頭が見えます…

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田切駅付近の急カーブ。

アトラクションとしては楽しいですが、致命的に速度が遅い…なるほど乗車時間も長くなるわけです!

 

「これでは鉄道の持つ高速性が…」という方もいそうですが、伊那谷周辺は「高速移動手段は中央道か中央道を走る高速バス、地域間輸送は飯田線」といった使われ方をしているので、現在は特に問題はない気がします。

 

むかし、飯田駅まで「こまがね」という新宿方面からの急行が走っていましたが、高速バスの台頭でなくなってしまいました…

リニアが通ればだいぶ早くなるものの、果たしてリニアで飯田に来る人はどれだけいるのか…今後の行方が気になります。

 

ほどなくして飯田駅に到着。

反対側に停車しているのはJR東日本の211系です。

こんなところまでこの車両は侵略しているのか…

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飯田駅に停車中の211系。

飯田駅を過ぎると乗客が減っていき、天竜峡駅で観光客はドッと降りてしまいます。

飯田市街地はあんなに開けていたのに、ここからは急に絶壁に…

天竜峡へは天竜峡駅から歩いていくことができます。

 

秘境駅に渡らずの鉄橋…飯田線の人気スポット

ここから先は秘境駅の連続する区間ですが、普通列車の本数は2~3時間に1本、多い時は1時間に1本とそこまで少ないというわけではありません。

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天竜峡駅から天竜峡までは目と鼻の先。

ここから先の乗客は物好きなマニアックな方々の精鋭部隊。

私も左に右に前にウロウロしながら飯田線を楽しみます。

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天竜川を渡っていざ秘境区間へ。

ここで秘境駅ランキングトップ15にランクインした飯田線の駅をご紹介。

(※牛山氏のホームページ(TOP50)を参考にしています。)

 

まずは秘境駅ランキング6位、田本駅。

トンネルを抜けた先にある駅で、駅から集落へは、けもの道を20分歩くしかないそうです。

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断崖絶壁にホームだけある田本駅。

車窓はというとトンネルと橋梁と絶壁が繰り返されるので、大変楽しい感じ。

秘境駅を巡る観光列車が走るのは、秘境駅の散策以外にも車窓の楽しさがあるのかもしれません。

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よく車窓を見てみると、旧線の鉄橋が残されている部分を見つけたりできます。

先人の苦労がうかがえますね…

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続いて秘境駅ランキング14位、為栗(してぐり)駅。

ダムが建設される前までは集落があったものの、建設後に水位が上昇、大半の集落は水没してしまったそう。

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為栗駅。降りる客も乗る客もいなかった。

またまた秘境駅ランキング11位、中井侍(なかいさむらい)駅。

平仮名で書くと「みなとみらい」とよく似ていますが、こちらは軽自動車でもアクセス困難と言われています。

長野県最南部の駅で、駅前にはなんと茶畑が…

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中井侍駅。田本駅同様、絶壁に位置する。眼下には茶畑が…

そして最後に秘境駅ランキング第3位、小和田駅。

意外や意外、かつて交換設備があった形跡がある駅でした。

保線用の引き込み線もあります。

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小和田駅。駅自体はそこまで秘境とは思えないが…

駅周辺には何もなく、小和田の集落は無人になり、外部からのアクセスはほぼ不可能。

こちらもダム建設で水没し対岸に渡れなくなったようで、かつてはそれなりに使われていたようです。

 

今回は秘境駅に降りず列車に乗り続けましたが、本数が2時間に1本あるならば途中下車する選択肢もアリかもしれませんね。

飯田線秘境駅号に乗車するのもいいですが、秘境駅に人がごった返すのはちょっと…という方はぜひ普通列車で訪れてみてください~

 

さてさて列車はさらに南下して次の名所「渡らずの鉄橋」へ。

「採掘中のトンネルが崩落したのでルートを迂回させた」というびっくりの理由が裏には隠されています。

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鉄橋の手前に本来通すはずだったトンネルの延長(右)が見える。

このトンネルを抜けると…対岸に行きそうで帰ってくる鉄橋が現れます。

 

この名所が終わってしばらく乗車すると、中部天竜の駅に着きます。

かつて佐久間レールパークという博物館があったことで有名です。

収蔵された車両の大部分は名古屋のリニア鉄道館に移動したようです。

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佐久間レールパークの跡が見られる。

筆者はこの後もう少し乗車し、湯谷温泉駅で下車。

湯谷温泉を堪能してから豊橋へ向かいます。

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湯谷温泉駅は特急「伊那路」も停車する。

駅周辺は味のあるいい感じです。

模型とかにありそう…

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温泉の様子はこちらをどうぞ。

なかなかいいところでしたよ~

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さて、湯谷温泉から先は213系5000番台です。

新型車両の315系の導入によって今後置き換えられることが明らかになり、現在は余命宣告された状態です。

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飯田線に運用される213系5000番台。

広い意味では形式は快速マリンライナーに使用された車両と同じですが、JR東海独自設計となっています。

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213系の座席。

座席はこんな感じで結構快適ですが、2ドア車なのでこのまま豊橋に行くとなると混みそうですよね~

秘境から市街地へ、そして名鉄と線路を共用…

列車は長篠城の隣を進みいよいよ市街地へ…

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飯田線は長篠城の隣を通る。

豊川駅を過ぎると乗客が一気に増えて、もはや地方私鉄という感じ。

しばらく進むとJRっぽくない、何やら怪しい線路が近づいてきます。

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何やら怪しい線路がこちらへ向かっている…

ここからはご存知「名鉄とJRが同じ線路を走る」という非常に変わった区間です。

飯田線がまだ豊川鉄道という私鉄だった頃、愛知電気鉄道(現名鉄)が現在の豊橋駅に乗り入れるために行った計画の名残です。

 

簡単に言うと、「お互い(豊川鉄道・現飯田線と愛知電気鉄道・現名鉄)がそれぞれ単線を豊橋駅に伸ばすより、線路を共用して複線にした方が効率がいいし建設費も抑えられる」という計画のもとにつくられた路線が、現在も使われています…

 

ホームの反対側が他社線というのはなかなか不思議…

名鉄はこの共用区間の駅を通過しますが、豊川以遠から来る日中の普通列車も飯田線・名鉄供用区間にある飯田線の途中駅は通過してしまいます。

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駅を通過する飯田線普通列車の向かいには名鉄の車両…なかなか状況を呑み込めない…

そして問題の供用区間は終点豊橋まで続き、合計6時間30分の旅はようやくゴール。

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JRと名鉄の案内が入り交ざる大変カオスな駅「豊橋駅」。

最後までネタが尽きない飯田線の旅、長時間ながら飽きずに楽しめました。

乗る方の趣味の方、ぜひ一度挑戦してみては!

 

【元営団3000系】長野電鉄3600系L2編成のさよならイベントに参加!

長野電鉄を走る元営団3000系

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9月末で引退する長野電鉄3600系L2編成。夜間瀬川橋梁にて。

長野電鉄では首都圏を走った中古車両が多数在籍しています。

帝都高速度交通営団(現東京メトロ)日比谷線で活躍していた3000系は、短縮、ワンマン化などの改造を経て長野電鉄の長野電鉄の主力車両として活躍していました。

 

ところが元3000系は老朽化(車両製造から約半世紀以上)などによって、置き換えが進んでいます。

2020年9月25日をもって中間車を連結する現在唯一の編成3600系L2編成が引退、中間車を持たない他の3500系も2022年度までに引退するとされています。

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元営団3000系(左手前)の置き換え車両の一つ元営団03系(右奥)。約30年前の日比谷線で見られた光景が長野県で見られた時期もあった。2020年2月須坂駅にて。

 今回は長野電鉄によって開催された、営団時代の面影を色濃く残す、3600系L2編成のさよならイベントに参加させていただきました!

 

 

今回引退する3600系L2編成とは?

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左…長野電鉄3500系(元営団3000系)右…長野電鉄3000系(元営団03系)

長野電鉄の主力車両となっていた元営団3000系

転属時に短編成化や抑速ブレーキ(車のエンジンブレーキと似ている機能)を搭載する改造を行い、40‰前後のきつい勾配が連続する信州中野ー湯田中間にも乗り入れることができます。

改造後、長野電鉄では3両編成は3600系、2両編成は3500系と区分されました。

 

また、3500系、3600系は、

  • N編成…普通の2両編成。
  • O編成…木島線(現在廃止となっている長野電鉄河東線、屋代線に相当)用のワンマン対応の2両編成。
  • L編成…中間車を持つ3両編成。2020年9月25日をもって運用離脱。

と、3つにさらに分かれています。

 

今回ご紹介する3600系L2編成とは、「3両編成で走行する元営団3000系最後の編成」です。

 

東急から転属した8500系が導入される前までは、3600系は長野電鉄最大の定員数を誇る車両でした。

その定員の多さと汎用性の高さ(8500系は3両編成だが、抑速ブレーキ非搭載車なので運用区間が長野ー信州中野間に限られる一方、3600系は全区間で走行できる)から、転属後約20年も活躍しました。

 

屋代ー須坂駅間を結んでいた屋代線(2012年廃止)の定期列車のラストランを務めた車両でもあります。

 

L2編成のさよならイベントに参加

このイベントは平日に行われ、1日に午前と午後、2回行われます。

定員を絞って行われますが、日程も2週間ほどの中から選択できるため、比較的予約しやすく密にもならないよう工夫されています。

 

筆者は9/15の午前の部に参加させていただきました。

 

10:00 須坂駅で撮影会

長野電鉄須坂駅に一足早く到着した筆者。

須坂駅は車両基地も併設されている比較的規模の大きい駅です。

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須坂駅は車両基地を備えた大きな駅。かつては屋代線との分岐駅でもあった。

改札口には出店のようなコーナーがあります。

長野電鉄の大きな駅では、このように改札前で物産品を販売する取り組みをやっています。

改札脇の窓口がレジを兼ねていて、利用客も結構多いイメージ。

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須坂駅改札前では物産品が販売されている。

イベント当日は何やら試運転の車両が駅構内をウロウロしておりました…

イベントに使用される3600系L2編成とともにパシャリ。

実はそこまで長野電鉄に詳しいわけではないので、何の試運転なのかは分かりませんが……団体幕と試運転幕が並ぶのは珍しいかもしれません…

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左…試運転中の3500系N6編成。右…団体幕の3600系L2編成。本日の主役。

さて、撮影会会場へ向かいます。

須坂駅では線路上に降りて撮影を楽しむことができるようです。

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イベントでは線路上から撮影することができる。

L2編成の方向幕を一つずつ、約1分間隔で回してくれます。

こんなにもゆったりと方向幕を撮影できるのはなかなか贅沢ですよね~

ほとんどの幕を出していただきましたが、レアっぽい(?)ものをご紹介します。

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屋代行き・松代行きは屋代線時代の名残。かつて上野方面から信越本線(現しなの鉄道)経由、屋代駅から長野電鉄に直通して湯田中まで運行される列車も存在したらしい。

左、5番線に停車している列車が3600系L2編成です。

屋代線時代の行先表示は、3500系・3600系が引退すれば全くお目にかかれなくなるのではないでしょうか…

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特急の方向幕も存在する。

こちらは特急の方向幕です。

長野電鉄では通常、特急列車に有料の専用車両を充当するので、このような通勤型の車両が「特急」の表示を出すことはありません。

 

緊急時の代走用に方向幕が用意されているのだそうです。

イベント列車運転中はなんと特急幕で運転してくださるようなので、他の方向幕は後でご紹介。

 

さて30分ほど撮影したらいよいよ3600系L2編成に乗車します。

今回は普段使用されない5番線からの発車

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夜間瀬川橋梁でL2編成を撮影(10:36 須坂→10:57 信濃竹原)

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L2編成の車内。クリーム色の内部と青い長椅子が特徴的。

団体専用列車は須坂駅を出て、まず湯田中駅方面へ向かいます。

 

参加者は信濃竹原駅で下車し、3600系L2編成はしばらく信濃竹原駅に停車したのち出発、信濃竹原駅を出発してすぐに渡る夜間瀬川橋梁で1回目のパシャリ。

そして、列車は湯田中駅で折り返してくるので、今度は信濃竹原駅に向かって走行するL2編成を夜間瀬川橋梁で2回目のパシャリ。

 

撮影が終わったら撤収して信濃竹原駅にもどり、再びL2編成に乗車するという企画です。これは楽で楽しい!

筆者は撮影する業界については疎いので腕はありませんが、ちょっとだけ撮り鉄ごっこをさせてもらいます。

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湯田中方面へ去っていくL2編成。「特急 湯田中」の表示で運転。

結構時間ギリギリであわてた筆者はとりあえず記録を撮影。

背後にも見られるように、結構な急勾配を湯田中駅まで登っていきます。

 

しばらく待ちまして折り返してくるL2編成を撮ります。

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折り返しは「特急 長野」の方向幕。

折り返しは特急長野行きの表示のようです。

こうやって見てみるとドアのやや丸みを帯びた窓、床下の抵抗器が印象的です。

3両編成とはいえ、橋梁を渡る長い編成は格好いいですよね~

 

普段は基本的に乗車する列車の駅撮りしかしない筆者、減速してくれていても慌てます。

日頃撮影されている方、本当に尊敬……

 

もう1本列車が撮れるということで待っていると、元営団03系の長野電鉄3000系がやってきました。

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元営団日比谷線03系。この車両で元営団日比谷線3000系を置き換える。つまり約30年前の東京での車両置き換えが長野で再現されることになる。

さて、信濃竹原駅に戻りまして団体専用列車と定期列車を乗り継いで、地下駅の市役所前駅へ向かいます。

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信濃竹原駅は昭和2年の建設当時の駅舎が現存。

営団時代を思わせる車内(11:48 信濃竹原→12:10 須坂)

須坂駅に戻りまして、そこから先行する定期列車に乗り換え、先回りして市役所前駅でL2編成を撮影をします。

 

少し車内を観察してみます。

筆者が指定された号車は中間車の2号車でした。

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L2編成中間車の車内。

冷房化改造がされていますが、扇風機は営団時代のものをそのまま使っています

車内に扇風機がある車両って少なくなりましたよね…

個人的にはエアコンの空気を扇風機で回してくれた方が、やさしい感じで車内が冷えるような気がするので好きです。

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扇風機には営団のマークが…

18m車体なので、普通の車両よりは1両当たりの長さは短くなっています。

確かに少し前の日比谷線の車内のサイズ感ってこんな感じだったような…(筆者は営団3000系時代には乗ったことがありません)

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長野電鉄、というと車内のつり革に東急百貨店の広告がよくつけられています。

実は長野駅前にも東急百貨店があるんですよ…

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つり革には東急百貨店の文字が…

L2編成は先頭車と中間車で製造工場が異なり、デビューした年も異なります。

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湯田中側から3652、3602、3612の順になっている。中間車だけ製造工場もデビューした年も異なる。

中間車だけ新しいようですね。

先頭車と中間車で大きく異なる点はドアのデザインです。

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上:中間車のドア。下:先頭車のドア。

L2編成の共通している特徴はグレーの床にクリーム色の壁、ブルーのロングシート。

参考までに先ほど須坂駅で隣に並んでいた同じく元営団3000系、現3500系N8編成の車内を見てみると…

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N8編成の車内。L2編成とは内装デザインが異なりかなり印象が違う。

だいぶ印象が違いますね~

こういう点にハマると沼なのかもしれません。

 

車内もじっくり見られたところで市役所前駅へ移動!

市役所前駅で地下区間を走る元営団日比谷線を撮る!

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市役所前駅は地下駅。

長野から一駅、市役所前駅に来ました。

長野市民は「うちの街には地下鉄が走っている」とよく言いますが、正確には地下区間です。

ただ、長野電鉄側もどんどん東京の地下鉄車両を中古購入するので、地下鉄であるという既成事実を積み重ねようとしているのではという疑惑があります。

 

余談は置いておきまして、長野電鉄のご協力でなんと当駅の撮影はイベント参加者貸切!

撮影中は一般のお客様はコンコースでお待ちいただくという、なかなか思い切った企画です。

 

まずは長野方面。

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長野方面に停車するL2編成。

この車両はやっぱり地下区間が似合いますよね~

市役所前駅も昭和の雰囲気がいっぱいに出ているので、これもなかなかいい感じ。

 

この車両は長野駅まで行き折り返してきます。

湯田中方面のホームへ移動してもう一度パシャリ。

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湯田中方面に停車するL2編成。

ドアも閉めた状態でも撮らせていただきました。

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ドアを閉めた状態。

この駅、味があっていいですが定期列車も接近放送などは特に流れません。

まあ電車が来るときには相当な走行音がしますので大丈夫だと思いますけどね~

 

配布されたグッズも豪華(13:11 市役所前→13:31 須坂)

さてL2編成にそのまま乗車して須坂駅に戻ります。

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千曲川を渡るL2編成。

なかなかに盛りだくさんで大変楽しいイベントになりました。

配布されたグッズはこちら…(イベント受付時にもらえます)

一日乗車券も特別デザイン。

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七味缶に一日乗車券、書籍、クリアファイルをいただいた。このデザインのクリアファイルは普段販売されていないらしい。

このほかに、後から3500系や3600系の廃車発生品(つり革)が貰えるとのこと。

参加者が多い場合は抽選で送られてくるようです。


これで参加費1万円……もしかすると採算度外視のイベントかもしれませんが、これを機に多くの方が訪れる機会になってほしいですね!

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信濃竹原駅で交換する3500系と元小田急特急ロマンスカーHiSE。

長野電鉄は1日乗車券を購入するとなんと特急料金無料、なかなか面白い車両も走っているので是非乗ってみてください!

 

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このイベントを企画していただいた長野電鉄の皆様、本当にありがとうございました。
 

 

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【9/1より無料化】上田と松本の短絡ルート、三才山トンネルが便利

三才山トンネルが無料化されました

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最後の夜となった8/31の三才山トンネル料金所。

上田市と松本市を結ぶ三才山トンネル有料道路は2020年9月1日より無料化されました。

長野県の中信地方と東信地方を結ぶ、盆地と盆地を結ぶ地方都市間の移動に便利な道路です。

 

今回は、このトンネルの有料道路最終日の様子や、利便性、周辺地域の魅力について見ていきます!

 

 

三才山トンネル最終日の夜

三才山トンネルに近づく道路では表示板で無料開放の宣伝をしていました。

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無料化の宣伝をする表示板。

2020年8月31日、有料道路最後の日となった三才山トンネル料金所。

「ありがとうございました」の横断幕が張られ、名残惜しい雨(?)となりました。

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三才山トンネル料金所、最後の夜。

ETCが非対応の有料道路でしたので、係員の方に小銭や通行券を直接渡していたんですよね~

安く移動できるようになるのは大変うれしいですが、無料化と同時に、この光景は見られなくなってしまうのはどこか寂しい気分にもなります。

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最後まで人の手で通行料金を徴収していた。

管理事務所はしばらく通行券(回数券)の払い戻しのため営業するようですが、隣接するトイレ、駐車場は無料化と同時に閉鎖されるようです。

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三才山トンネル料金所のトイレと管理事務所。トイレは8/31を持って閉鎖された。

かつてはトンネルの手前にあるセブンイレブンで(松本側にも上田側にも存在)回数券をばら売りしていて、通行料の1割引きで通行券を購入することができました。

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三才山トンネル、普通車用の通行券。これを購入するか直接現金で支払っていた。

そのため、このトンネル周辺のセブンイレブンはお客さんも多めでした。

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松本市側のセブンイレブン。回数券のばら売りが販売されていた。

 

三才山トンネルの利便性

三才山トンネルの利便性はどれほどのものなのでしょうか?

松本駅から上田駅までの移動を例に比較していきます。

 

高速道路を利用すると遠回り

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高速道路を利用すると大型車も通行できるが、遠回りでコストも時間もかかる。

高速道路を利用して松本駅から上田駅まで移動すると、山地を迂回するようなルートになるため、長野市近辺までの遠回りを強いられます。

 

普通車で1900円、所要時間は約1時間31分です。

 

ちなみに松本駅から上田駅まで、鉄道で移動する場合は松本→(篠ノ井線・信越線)→長野→(北陸新幹線)→上田と移動するのが最短です。

こちらも最短で1時間30分くらいで、新幹線を利用しても所要時間はあまり変わりません。

 

かつての無料最速ルート、青木峠越えは酷道が連続

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青木峠越えは国道であるが、酷道でもある。

 

三才山トンネルが開通する前はこちらのルートが最短ルートでした。

国道143号線と、名前こそ「国道」を名乗っていますが大型車は通行できず、途中からセンターラインもありません。

 

明治時代に開通した歴史ある国道ですが、もともと馬車の通行を考慮して高低差を少なくした結果、等高線を縫うようなルートとなっているため、急カーブが連続します。

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国道143号線は途中で酷道区間がある。舗装されているが路面状態は悪く、センターラインもない。

明治時代に開通した当時のトンネルが今も使用され、国道最古のトンネル「明通トンネル」や、同じく明治時代開通の片側交互通行のトンネル「会吉トンネル」は、趣がありますが通行はしづらいのが現状です。

 

松本駅から上田駅までの所要時間は1時間25分です。

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会吉トンネルは片側交互通行。手掘りのトンネルを現在でも使用している。

ちなみにこちらのルート、かつて存在した松本市内の路面電車「松本電気鉄道浅間線」と、上田温泉電軌青木線(現在の上田電鉄)を直通させ、松本ー上田間に鉄道を通すという夢物語までありました。

 

 

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美ケ原越えは標高差700m超、現在通行止め

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美ケ原越えは長い峠道が連続し、時間がかかる。

「美ケ原」というとビーナスラインなどのドライブコースとして有名ですが、こちらのルートは華々しいルートの裏側にある酷道です。

武石峠という峠を越えますが、こちらは標高1340m。

松本盆地からは標高差約700mを駆け上がり、上田盆地へ降ります。

こちらも武石峠より上田側でセンターラインがなく、路面状態も悪いです。

 

現在は災害復旧工事のため、当分の間通行止めとなっています。

松本駅から上田駅までの所要時間は1時間43分です。

 

三才山トンネルは短絡ルートとして開通

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三才山トンネルは直線的なトンネルで大型車も通行できる。

三才山トンネルは全区間2車線で、1976年開通。

大型車も通行でき直線的なトンネルで快適に走行することができます。

 

以前まで普通車で500円→510円→520円ほど通行料金がかかる有料道路でしたが、9/1より無料化されました。


松本駅から上田駅までの所要時間は1時間11分です。

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三才山トンネルは松本市と上田市を直接結ぶトンネル。2車線道路。

三才山トンネルは温泉地と温泉地を結んでいる

三才山トンネルの松本側にも上田側にも、雰囲気の良い温泉があります。

まずは松本市側。

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1300年の歴史を持つ浅間温泉。旅館も日帰り入浴施設も存在。

透明ですがほんの少し硫黄の香りがする浅間温泉

飲泉もでき、胃腸に効くとのことです。

松本市街地からも至近で、バスでもアクセスが可能です。

 

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当ブログでは2つの施設をご紹介していますが、旅館ならこちら、日帰り入浴施設ならこちらとどちらもおすすめNo.1となっています。

他にも複数の日帰り可能な施設、旅館もあります。

 

一方の上田側、こちらも味わい深い温泉があります。

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国民保養温泉地に指定されている鹿教湯温泉。

国民保養温泉地に選ばれた鹿教湯(かけゆ)温泉をはじめ、ディープで個性豊かな丸子温泉郷があります。

 

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 リゾート地的な温泉ではありませんが、古き良き温泉街の面影を現在でもとどめています。

 

三才山トンネルにお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください!